内燃機関超基礎講座 | ホンダの作った最後のディーゼルエンジン[N16B]
- 2020/09/25
- Motor Fan illustrated編集部
それまでの2.2ℓDEからダウンサイジング、1.6ℓの排気量で登場したホンダのディーゼルエンジン。残念ながらすでに退場してしまったが、当時のトレンドを盛り込んだ意欲作である。デビュー時のレポートを振り返ってみよう。
EARTH DREAMS TECHNOLOGYの目玉のひとつが、この1.6ℓ直4ディーゼルターボだ。「世界最軽量小型ディーゼル」で、ディーゼルのダウンサイジングという世界的な技術トレンドの先頭を走る意欲作である。
それまでの2.2ℓ・i-DTECよりパワートレーン全体で50kg軽量になるという。i-DTECもアルミブロックだったが、今回の1.6ℓエンジンは、オープンデッキブロック(従来はクローズドデッキ)となったのがポイントだ。これも技術トレンドに沿っている。この世界最軽量骨格にトータル熱マネージメント、ガソリンエンジン同等まで下げたフリクションなどで環境性能(EURO6対応)とFUNを両立させた。「運転して楽しいディーゼルエンジン」だとホンダは説明する。
ターボチャージャーは、小型高効率な可変ベーンタイプを採用。現在は最大トルク300Nmだが、350Nmまでは視野に入っているという。このエンジンのもうひとつのポイントは、LP-EGR(ロープレッシャーEGR)システムを採用したこと。HP(ハイプレッシャー)との切り換えが可能で、VWの2ℓBlueTDIが先駆けたLP-EGRをホンダも採用したというわけだ。LP-EGRは燃費にもNOxの低減にも効果がある。
ピストンスカートが短いピストン。ピストンリングも低張力タイプにし、フリクションをガソリンエンジン並に下げている。また補機類の小型化、主運動系軽量化もフリクション低減に貢献している。排気後処理は、リーンNOx触媒を装備。EURO 6対応予定で、まずは欧州のシビックが搭載。シビックに積んだ場合、CO2排出量は100g/km以下となり、燃費トップランナーの仲間入りを果たせる。ポスト新長期規制も当然クリアするだろう。
噴射圧180MPaのボッシュ製ソレノイド式インジェクターを持つコモンレールシステムを採用。従来のi-DTEC(N22B1)はピエゾ式200MPaのインジェクターだった。インジェクターの進歩で、低コストのソレノイド式でも十分に性能を確保することできるようになったためだと思われる。おそらくインジェクターの能力的には8回の多段噴射が可能のはずだが、現状では最大5回の多段噴射を行なっているという。CO2排出量は、N22B1より15%以上低減している。
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