わずか1.8リットルでなぜ速い 新型アルピーヌA110はトップスピード250km/hオーバー!
- 2017/06/29
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CAR STYLING編集部 松永 大演
2017年3月のジュネーブショーで姿を現した、アルピーヌA110。予想以上の小さなボディはまさに、待ちに待ったスポーツカーだ。その概要をデザインレポートとして、カースタイリング誌でいち早く取材。ここではそのエッセンスをお伝えしよう。
全長4180mm、全幅1798mm、全高1252mm(ジュネーブショーでの公表値)という極めてコンパクトなボディで登場するのが、新型アルピーヌA110。ルノー・アルピーヌは1973年WRCの最初のマニファクチャラーズチェンピオンを獲得しており、その時のマシンがA110だった。とにかく、ラリー好きの方ならばその勇姿はすぐに思い出されるだろう。
搭載されるエンジンは、直列4気筒の1.8リットルターボと小さい。アルピーヌチューンにより最高出力は250ps程度となるが、現状では驚くほどハイパワーというわけでもない。ところが車両重量は1100kg程度と軽量で、スーパーカーとは一線を画する。
しかし、欧州の250km/hで作動する速度リミッターは採用されており、そのポテンシャルは極めて高い。
つまりは、この新型A110は究極のライトウエイトスポーツとして誕生したのだ。
ではどのように高速でのパフォーマンスを実現できたのかといえば、当初から計画されていたグランドエフェクトによりリフトを抑えることができているのだ。
最近、アンダーフロアをフラットにする車は多いが、そのほとんどの目的は空気抵抗の低減だ。とりわけ、下面にあるサスペンションやマフラー、燃料タンクといったものをカバーするためのものだ。
ところが、新型A110は、下面でグランドエフェクトを得ることを目的として開発された。つまり、下面の流速を高めることが狙いとなっている。
具体的には、フロント部分をやや上向きにし、フロントタイヤ近辺を一番低くする。そこから、ディフューザー形状として、吸い出す構造となっている。
このリヤに向かったディフューザーがうまく構成さていることがポイントで、それによって全くウイングのないまま、250km/hにまで出せるポテンシャルを得たのだ。
実はこのディフューザー構造を実現するために、重大なパッケージの決定がなされた。それがエンジンのミッドシップ・レイアウトだ。
アルピーヌではこれまでにいくつかのコンセプトカーなどをショーに出品しながら、アルピーヌが復活するに足る魅力があるのかなどを調査をしていた。その中で出された答えが、アルピーヌブランドの復活は十分にあり隣、そのベストな表現としてA110のイメージを継承することが決められたのだ。
そこでデザインとしてはどうしても実現したかったのが、コンパクトでリヤの下がったスタイルだった。
決してくさび型ではないし、また高速でウイングなどが出てきても興ざめだと考えられた。
そこで出された答えが、下面の流速を高めるグランドエフェクトだったのだ。その際に、最も重要だったのがリヤに向けてのディフーザー構造だった。
ところが、それがリヤエンジンであったならば実現することができない。そこでオリジナルのレイアウトを捨ててまで、ミッドシップを採用したのだという。
逆に言えば、ポルシェ911はグランドエフェクトが利用できない構造なのでウイングが必要となるとも言える。
アルピーヌの発祥である、アルプスを駆け抜ける俊敏なモデル。その熱いスピリットが蘇ってくる。
詳細はぜひともカースタイリングVol.13(6/26売)で確認してほしい。
また、オフィシャル動画もぜひ確認いただきたい。ここで聞こえるサウンドは、まったく脚色されていないオリジナルだという。
A110デザイン&メカ情報は発売中のカースタイリングVol.13より。
アルピーヌA110は一見すると、単にオリジナルのオマージュとして誕生したように思われがちだが、このモデルが提案するスポーツカー観は極めて挑戦的なものだ。わずか1100kg程度のボディもカーボンを持ちたのではなく、アルミで構築された。
この驚きの軽さも俊敏なハンドリングを実現している上、乗り心地も極めて良いという。今回の取材では、量産モデルが仕上がっていなかったために試乗はできなかったが、スポーツカーとは思えない快適さだという。もちろんパリの石畳でも、想像以上の快適さだという。
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