東京〜鈴鹿往復で試す新型パナメーラ。燃費が良かったのは実は…… ポルシェ・パナメーラ・スポーツツーリスモ 選ぶべきはPHEVか素のV6ターボか?
- 2018/09/06
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世良耕太

フル4シーターのポルシェであるパナメーラ。現行モデルは、通常の5ドアセダンのパナメーラとルーフを延ばしたスポーツツーリスモのふたつの車型がある。エンジンは、2.9ℓV6ターボと3.0ℓV6ターボ、そして4.0ℓV8ターボの3種類のエンジンと2.9ℓV6ターボにモーターを組み合わせたPHEVモデルがある。今回、ジャーナリストの世良耕太氏は、東京〜鈴鹿の往路をPHEVモデルで、復路を最も素のV6ターボ・FRモデルでロングドライブした。
TEXT & PHOTO●世良耕太(SERA Kota)




「Eハイブリッド」は14kWhのバッテリーを搭載しており、200Vの普通充電に対応している(急速充電には対応していない)。プラグインハイブリッド車(PHEV)である。試乗車には荷室に充電キットが搭載してあった。バッテリーを搭載しているぶんハイブリッドレス仕様よりも容量は小さくなっているが、それでも大型のスーツケースを軽く飲み込むだけのスペースはある。低い位置から開口するうえに段差がないのは、使い勝手の面で好印象だった。




カタログ上では最大50km程度のEV走行が可能とうたっているようだが、都内を日中移動した印象では30km+αが実用的な数字といったところだ。
トランスミッションは、ZFがパナメーラ向けに新開発した専用品を積んでいる。8速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション。ポルシェの呼称ではPDK)がベースで、Eハイブリッドは湿式多板クラッチの前に100kW(136ps)/400Nmのモーターを収めている。ZFの製品名でいうと8DTだ。
従来の7速DCTと同じ体格で8速DCTを成立させているが、ギヤのレイアウトは一新している。7速DCTは2軸だが、8速DCTは3軸だ。6速より上がオーバードライブなのは7速DCTと変わりなく、レシオカバレッジはなんと11.26だ。80km/h前後で8速に入り、100km/h走行時のエンジン回転数は1300rpmでしかない。


メーター内のインジケーターはEV走行時も変速していることを示しているが、体感上の変化はない。やはりメーター内の表示を前後駆動力配分に切り替えて観察していると(4WDです)、発進時はフロントの配分を増やしているのがわかる。
バッテリー残量が「0」になるとエンジンが始動し、エンジンの力で走り始める。パナメーラ4 Eハイブリッド・スポーツツーリスモが搭載しているのは、240kW(330ps)/450Nmの最高出力/最大トルクを発生する2.9ℓ・V6ツインターボだ。システム総合最高出力/最大トルクは340kW(462ps)/700Nmに達する。


現金なもので、ハイブリッド車に乗っていてEV走行できない状況になり、エンジンが始動していかにも安っぽいエンジン音が耳に届くと残念な気分になる。ところが、パナメーラの2.9ℓ・V6ツインターボは超絶にそそる音を発するので、まったく気にならない。ばかりか、ずっとこの音を聴いていたいと思ってしまう。ホント、人の気分(筆者に限る?)っていい加減だと思う。
エンジン始動後は、回生で発生した電気エネルギーをこまめにバッテリーに蓄えるようになる。アクセルペダルを戻すとエンジンは即停止。ハイブリッドシステムは運動エネルギーの回生を始める。発進時はわずかな機会で蓄えた電気エネルギ−を利用してEV発進。でも、電気エネルギーはすぐに底を突くのでエンジンが始動する。この動きを繰り返す。
バッテリー残量が0の状態で高速道路を巡航するときは基本、エンジン走行だ。先行車との間隔を調整するためにアクセルペダルを戻すとエンジンが停止する。クラッチも離すのでクルマは空走状態になる。だから、エンジンブレーキはかからない。空走感はたっぷりで、下り勾配だと速度が上がったりする。
減速を期待してアクセルペダルを戻しているのに、なかなか減速しないし、状況によっては加速してしまう。仕方なくブレーキを踏むことになるが、運転がヘタな人みたいで(みたいじゃない、という話もあるが)、イヤだ。ステアリング左側のパドルを引けばエンジンが始動。クラッチがつながってエンジンブレーキがかかるが、アクセルペダルを戻した途端にエンジンは停止しているので、エンブレの使用には心理的なブレーキがかかる。せっかく寝た子を起こすようで忍びなく……。
前述のように、エンジンが始動したところで100km/h走行時のエンジン回転数は1300rpmだし、6速より上はオーバードライブなので、たいした減速感は得られない。ちなみに、7速で1600rpm、6速で2000rpm、5速で2600rpmだった。高速道路巡航時のコントロールには、強い空走感に応じたコツと慣れが必要だ。





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