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歴史が育む至高の移動空間 トヨタ・センチュリーをメルセデス・マイバッハSクラス、ロールスロイス・ファントムと徹底比較!「ライバル車比較インプレッション」

  • 2019/06/07
  • ニューモデル速報
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最新技術の投入と調律で運転席も後席も心地良い

 これら2台の概要を認識した上でセンチュリーに接すると、まず圧倒されるのは塗装の品質だ。7コートの間に3回の水研ぎ、そしてポリッシュによる仕上げを手作業で行なうというそれは、大袈裟でなく鏡のような平滑さをみせる。オーナーは乗降の際にこの映り込みで身だしなみをササッと整える―と、そんなドラマのような話が本当にあるそうで、Cピラーの磨きはことのほか入念に施しているという。

 センチュリーのサイドシルは前席と後席とで高さが違う。これは後席側の乗降の所作を美しく見せるための工夫で、初代の後期型から続く伝統として新型でも踏襲されている。また、後席のウインドウサッシュは乗り込んだ賓客が額装された肖像にみえるように枠取ってあるというエピソードも初代から続くものだ。

 センチュリーの骨格レベルの徹底的な後席優先ぶりは着座感ひとつにも現れる。優しく沈み込むアンコの中に身体を支える張りをもたせつつ、乗降部位のヘタリを抑えるべく、座面には片席5つのコイルスプリングが仕込まれており、その着座感は確かに上質な硬さを備えたソファのそれに近い。レザーはレクサスでいうところのLアニリンと同等のオーガニックな鞣しのものが用いられるが、表面にベンチレーション用のパンチングが施されるぶん、ウールよりも若干柔らかいフィット感が出ているという。後日、ウール仕様に乗ることができたが、確かにざっくりとした毛足感もあってタッチはレザーよりも気持ち硬めの印象だった。

 後席から見る内装の仕立ては華美さを程よく抑えたいかにもセンチュリーらしいものだ。ウインドウスイッチがアームレスト付けとなり、シートや空調などのコントローラーはアームレストの液晶パネル内に集約されるなど、時流に沿ったアップデートも散見されるが、引き上げ式のドアインナーノブやBピラー部に画された靴べら差しなど、独自の世界観も大事に守られている。リクライニング機能はアーキテクチャーのベースとなった先代LS600hL譲りで調整しろが一気に大きくなった。

 前席に回ると目につくのは一枚板を切削して土台をつくり、そこに杢目を貼り付けることで複雑な曲げ表情をつくり出したウッドのコンビパネルに思わず目が奪われる。が、他の仕立てに高級車らしい加飾はない。レザーラップのステッチの仕立てやセンターコンソールにどさっと並んだスイッチ類をみるに、運転手はプロとして仕事に徹してくださいねと求められているようでもある。

 ところがそこにいて走り始めると驚くのが、ハイブリッドシステムの絶妙な調律だ。加速感も減速感も思い通りに引き出せるという点でいえば、ファントムにも劣らないだろう。さらに100㎞/h以下くらいまでの速度域では積極的にモーターを多用するマネジメントによって、自ずと静粛性も高まっている。特に微妙なGの加減を足裏でコントロールできる回生ブレーキとの減速協調ぶりはお見事の一言に尽きる。

 音・振動での雑味要素となる4WDから敢えてFR化されたことによる操舵フィールもさることながら、新型センチュリーは曲がりの味つけもしっかりしている。ショーファードリブンらしくロールを抑え気味にしながらも、荷重移動にはしっかり姿勢で応える足まわりのマナーはベースである先代LSを超えているかもしれない。ちなみにセンチュリーはスポーツモードなどの設定も用意されるが、それを必要としないほどデフォルトのドライバビリティが優れている。長時間に渡る慎重な運転を終えたショーファーも、これなら主を降ろした帰り道にストレスが溜まることはないだろう。

 と、運転席の意外なご馳走ぶりを知っても、センチュリーの本懐はやはり後席にあると思う。日本の常速域にピタリとチューニングが合わせられた足まわりは、ごく低速域から極めて滑らかな凹凸のいなし感をもって、乗員に不快な音・振動を伝えない。マンホールや目地などの鋭利な入力では専用設計されたレグノの減衰効果も効いているのだろう。ストッストッとその気配を極力丸めながら気持ち良さすら感じる乗り心地をみせてくれる。但し、80㎞/h付近を境に少しずつロードノイズが目立ち始めるのは惜しい。高速巡航ではさすがにファントムのような静かさというわけにはいかないが、下まわりからのノイズをもう少し封じ込めれば肉薄できるレベルにくると思う。

 先にも触れたように、センチュリーの後席は一流の工芸を多用しながら、他の2台のように華美にみせるための特別な設えは少ない。むしろ外からみての様式美的な存在感に比例して主の、偉大が故の慎ましさを表すものでなければならないと留意しているようだ。その慮りがセンチュリーを孤高のものとしていることは言うまでもない。なにせそれは、つくり手自ら、念頭に置く筆頭の顧客は皇室と仰せるほどの存在なわけである。

〈メルセデス・マイバッハSクラス S 560 4MATIC〉

1920年代のヨーロッパやアメリカで、美しいスタイルと高級感で当時の王侯貴族やセレブリティを魅了したと言われるマイバッハが、2002年に復活。12年にモデルチェンジが行なわれた現行型はメルセデスブランドの車種として仕立て直された。ボンネットマスコットはスリーポインテッドスターとなり、アピアランスもSクラスと同様のテイストで、メルセデスのフラッグシップを印象付ける。

V型8気筒DOHCツインターボ/3982㏄
最高出力:469㎰/5250-5500rpm 
最大トルク:71.4㎏m/2000-4000rpm
JC08モード燃費:8.4㎞/ℓ 
車両本体価格:2278万円

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