メルセデスVISION EQS「これってEV時代のSクラス?」難波治教授がデザインを分析する
- 2019/12/16
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MotorFan編集部
スバルの前デザイン部長で現在は、首都大学東京で教鞭をとる難波治教授が、MFスタッフとともに東京モーターショーを取材。デザインチェックと写真撮影をおこなった。東京モーターショーが終わって1ヵ月半。あらためて、東京モーターショーで登場した注目モデルのデザインをチェックしよう。今回はメルセデスのVISION EQSを取り上げる
COMMENT◎難波 治(NAMBA Osamu/首都大学東京教授) まとめ&PHOTO◎MotorFan.jp編集部
MF:メルセデス・ベンツのブースにあったEQシリーズの4ドアセダンというか4ドアクーペはいかがでしたか。
EQSについては、こちらを
メルセデス・ベンツ「ビジョンEQS」は高級EVサルーンの未来像 【フランクフルトモーターショー2019】
ダイムラーは9月10日に開幕したフランクフルトモーターショーで「メルセデス・ベンツ・ビジョンEQS」を世界初公開した。
難波教授:VISION EQSですね。日本の自動車メーカーと「車」に対するスタンスが違います。クルマの持つ美しさとか、存在の綺麗さとか、そういったことをちゃんと造形に入れて、尚且つ、未来を提案しているということが、やはり日本の自動車メーカーとは手法がちょっと違うと思いますね。
MF:これ、どうなんでしょうか?
難波教授:このカタチが好きとか嫌いとか、それはそれぞれにあると思いますが、やっぱり新しさを見せるとか、次世代感を感じさせる造形感であるとか、サーフェイスの雰囲気だとか、造形上でそういう「次の時代の魅力」というものをちゃんと見せてくれています。とてもいいと思いますし、こうあるべきだと思います。インテリアはショーモデル用にちょっとLEDのラインを多用していますけど、エクステリアのボディサイドにもブルーのラインが入ってるでしょ。これは会場で流れている画像の中でも出てくるのですが、真っ暗な中でもヘッドライトとこのブルーのこの波がボディを一周回っていて、これだけは見えるようになっている。やっぱりそこにデザインのテーマとエアフローみたいな感じの、滑らかさ表現を見せてくれています。テーマがはっきりしているのと、新しいSクラスなりのゆったり感みたいなのも表現していると思います。それと次世代のラグジュアリー表現はクロームにかわって光をうまく使うんだと思いますね。もうゴリゴリのクロームのグリルで偉そうぶるのではなくて、光の演出に変わってゆくのだなと感じます。法規上も、ある光量以下であればヘッドランプ以外でも光っても良くなってますから。今後は自動運転のためにクルマ中にセンサーやレーダー、カメラなどが必要になるとこれまでのようなグリル表現は難しい。しかもEVですからフロントにはラジエーター用のグリルは必要ないですからね。このフロントエンドの光の細工は本当に芸が細かいです。
MF:これってEV時代のSクラスってことなんですか!
難波教授:そうだと思いますよ!高級車のセオリーといわれているAピラーの延長線がフロントタイヤの中心にこなければ、なんてことはもうこのEQSでは関係ないですね。次の世代のことをやってますね。EVとしての性能達成のためのエアロダイナミクス要素を取り入れて、昔風のボリュームモチーフなどではなくスムースで滑らかな表現を使いながら「次の時代のメルセデスの表現」を提示しています。Aピラーの延長線がフロントタイヤの中心にきていなくとも、堂々とした、しっかりした佇まいが見えている。なかなかよろしいんじゃないでしょうかね。ヨーロッパの自動車文化の懐の深さと、根強さを感じます。やはり「これが欲しい」と思わせなくてはなりませんからね。
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