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〈AVL RACING〉スピーディにソリューションを提供するエンジニアリング企業 AVLレーシング「車両を速くするのが私たちの仕事です」 PR

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「メイク」はコンポーネントの「製造」の意味だ。AVLはエンジンやシャシーを構成するパーツの製造も行なっている。例えば、エンジンのシリンダーブロック、クランクシャフト、カムシャフト、タービンインペラー、バッテリーケース、モーターハウジング、ウィッシュボー ンやアップライトといった具合だ。

 これらレース用の高精度部品、あるいは量産試作車用部品、小規模量産車用部品はドイツ・デュッセルドルフ近郊にあるグループ会社、 AVL Schrick(シュリック)が担当しており、「AVL-HPM」のブランド名で供給している。HPMはHigh Precision Manufacturing(高精度部品製造)の略だ。

「簡単な形状ならどこでも造ることができます。私たちが造るのは、高い精度が求められるコンポーネントです。シリンダーブロックはソリッドブロックからの削り出しも行ないます。5軸マシニング、電子ビーム溶接、熱処理、コーティング、ニッケルめっき、DLCコーティングなど、必要な技術はそろっています。コンポー ネントの製造で重要なのは、レースに間に合わせることです。そこは重々承知しています」

「テスト」の重要性は近年とみに増している。 F1では14年に複雑なエネルギー回生システムが導入されたのに合わせ、ブレーキ・バイ・ワイヤ(協調回生ブレーキ)が導入された。油圧ブレーキと回生ブレーキの配分を制御することは、エネルギーマネジメントの観点からも、ドライバビリティの観点からも重要である。カテゴリーを問わず共通の傾向だが、F1では実走行の機会が限られていることもあり、試験装置でのテストが重要な意味を持つ。

「フルビークルテストがポピュラーになっています。レースにおけるすべての状況を、レーストラックに行く前に確認することができるからです。コース条件をシルバーストンから鈴鹿に簡単に切り換えることが可能ですし、寒くすることも、暖かくすることも、タービュランスを再現することも可能です。今日では、テストできない条件はないと言ってもいいくらいです。例えば、オーストラリアのメルボルンは、コースの片側が陰になり、もう半分は日が当たります。そのため、右と左でタイヤ温度が異なり、摩耗特性が影響を受けます。エンジンに与えるストレスも異なりますが、限りなくリアルに近いデータを得ることができます」   

〈RACE〉若手ドライバーの育成に活用

コンスタントに横Gが掛かる定常状態を再現することも一面で重要だが、レーシングで適用する場合は「イニシャルの動きが重要で、リアルワールドを正確に再現する必要はない」とレスル氏。ゆえに、大きな設備を必要としない。将来的には、ロボットアームでポッドを自在に動かし、映像はゴーグルに映すシステムを考えている。

「レース」に分類されるセグメントの内容のひとつは、ドライビングシミュレーターだ。さまざまなドライバーが活用しており、若手の育成にも活用している。AVLレーシングではドライバーテレメトリーシステムを開発しており、この技術によりドライバーの呼吸や心拍数などからストレスレベルを求める。ドライバーはストレスを感じるとミスを犯しやすくなる。そこで、ドライビングシミュレーターを活用して、感情をコントロールする術を身につける訓練を行なうのだ。

  ドライビングシミュレーターに乗っているときはミスを犯しても壁にぶつかることはないので、現実の環境でレース車両を運転しているときに比べてリラックスした状態にある。それでは正確な評価はできない。そこで、人工的なストレス、例えば無線の指示を意図的に聞こえづらくしたり、スクリーンに投影する映像を霞ませたりし、イライラを誘発するわけだ。

  開発中の技術が、リアルタイムに映像を表示するバイザーだ。若手ドライバーはバイザーに表示されるゴーストカーを追いかけることで、理想のブレーキングポイントや理想のラインを学ぶことができる。

「私たちはドライビングシミュレーターを、エンジニアの育成にも活用しています。ドライバーにはセットアップの変更内容を伝えずに運転してもらい、エンジニアはドライバーの反応から、セットアップ変更の効果に対する知見を深めていくのです」

  ここまではAVLレーシングの「現在」の技術に関する説明だ。ここからは「明日」、すなわち将来的に投入を見込む技術について説明する。現在取り組んでいる技術のひとつが、自動運転(AD)と先進運転支援システム(ADAS)である。といって、完全自動運転の車両を開発して走らせようというのではない。例えば、AD/ADAS技術を活用することで、ピットレーンを走行する際にメカニックとの衝突を防ぐことができる。一足飛びに未来に向かうのではなく、現行フォーマットの延長線上に新技術を織り込んでいく考えだ。

  また、自分のピット位置を自動的に見つけ、自動的にピットに停車させることも可能になる。中位~下位カテゴリーでは車両同士の衝突が絶えないが、車車間通信など最先端のAD/ADAS技術を用いれば、衝突を回避することが技術的に可能になる。技術によって回避していなければ衝突していた場合、原因を作ったドライバーに対して一定の時間エンジン出力を低下させるなどのペナルティを科せば、危険な運転の防止につながり、車両の破損や人的被害を防ぐことができる。AVLレーシングはそこまで考え、開発を進めている。

  エンジンや電動パワートレーンの開発に限らず、高精度コンポーネントの製造やドライバー育成、そして自動運転やコネクティビティなど、およそ世界のレースカテゴリーをとりまく「技術」を網羅し、カスタマーの要求に寄り添った形態でソリューションを提供できるのが、AVLレーシングである。

AVLレーシングのTOMORROW

AD/ADAS技術を活用し、新たな価値を提案していくのがAVLレーシングの将来ビジョンだ。VSC(バーチャル・セーフティ・カー)への対応も検討しており、エンジンあるいはハイブリッドシステムを高効率に運転するモードに自動的に制御する。将来的に重要度を増すことが予想されるAIやディープラーニングについても準備を進めている。

Michael RESL

AVL List GmbH
Director Motorsports
Marketing & Lead Development

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