ハスラーに採用されたスズキ初の構造用接着剤と軽自動車初の高減衰マスチックシーラーはどんな効果をもたらすのか? 【新型スズキ・ハスラー:試乗インプレッション】「なんだこれ!?」と思わず驚くインテリアの斬新さとパワートレインの完成度。だがボディの新技術は走りのバランスを崩す?
- 2020/02/12
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遠藤正賢
これらの効果は、良くも悪くも、走り始めてすぐに体感できる。細かな凹凸を乗り上げた際に姿勢変化を減衰するのが素早く、操舵に対する応答性とリニアリティは初代と比較にならないほど改善された。また粗粒路ではルーフからのこもり音が少なく、前後席間で会話しやすくなっているのを体感できた。
端的に言えば、初代ハスラーよりは進化していても、これまでの「ハーテクト」採用車種と比べると、新技術の採用によってむしろバランスが崩れてしまっている。開発陣によれば、これらの技術は当初の予定より前倒しで投入されたようだが、これでは他の部位とのバランスを取る時間もコストもなかったのだろうと邪推せざるを得ない。
NAエンジンは新開発の「R06D」型となり、スズキの軽自動車では初めてデュアルインジェクションシステムとクールドEGRを採用。従来のR06A型に対しシリンダーブロック高やボアピッチ、バルブ挟み角などを維持して混流生産やエンジンルーム高の低い車種への搭載にも対応しつつ、ボア×ストロークを64.0×68.2mmから61.5×73.8mmに変更し、圧縮比を11.5から12.0へ高めている。
そのほか、ターボ車にはモーターアシストトルク増大などの制御変更を行う「パワーモード」、4WD車には発進時のエンジン出力を抑えるとともにブレーキ制御も併用する「スノーモード」が追加された。
ただし高速道路では、NA車は90km/h付近を境に「空気の壁を感じる」(野崎編集長)ほど加速が鈍化。初代ハスラーと比較しても、3ps&5Nm低い最高出力&最大トルクの数値以上に追い越し加速が苦しく感じられた。これはWLTCモード対応と実用燃費向上を主眼として低中回転域重視の設計になったエンジンのみならず、各部のコーナー形状が工夫されつつもスクエアになったボディ形状も、大きく影響している可能性がある。
このうちACCとLKAを高速道路で試したが、ACCは従来のスズキ車より加速制御がスムーズになったものの、依然として車間距離は取り過ぎ、減速制御も若干ラフな傾向にある。だが、使用するとかえって危険というほどではなく、疲労軽減と事故防止には一定の効果があると思われるだけに、特に疲労軽減の観点からはNA車にこそむしろ標準装備してほしい所だ。
またLKAは警告・操舵アシストとも、介入のタイミングが遅く感じられた。しかしそれ以前に、他の軽自動車メーカーが車線中央を維持するレーントレースアシスト(LTA)を投入しているのに対し、スズキだけいまだにLKAに留まっているということ自体、寂しい話ではある。
デザインや使い勝手のみならず走りも大幅に進化した新型ハスラーだが、技術面ではその使い所も含めて煮詰め不足が散見される。とはいえここから熟成が進めば、ハスラーや今後デビューする新しい軽自動車が、今やベンチマークとなっている最新世代のホンダ「N」シリーズに肉薄し追い越す可能性は決して低くない。その日が訪れることを心から期待している。
【Specifications】
<スズキ・ハスラー ハイブリッドX(FF・CVT)>
全長×全幅×全高:3395×1475×1680mm ホイールベース:2460mm 車両重量:820kg エンジン形式:直列3気筒DOHC 排気量:657cc ボア×ストローク:61.5×73.8mm 圧縮比:12.0 エンジン最高出力:36kW(49ps)/6500rpm エンジン最大トルク:58Nm(5.9kgm)/5000rpm モーター最高出力:1.9kW(2.6ps)/1500rpm モーター最大トルク:40Nm(4.1kgm)/100rpm WLTC総合モード燃費:25.0km/L 車両価格:151万8000円
<スズキ・ハスラー ハイブリッドXターボ(4WD・CVT)>
全長×全幅×全高:3395×1475×1680mm ホイールベース:2460mm 車両重量:880kg エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ 排気量:658cc ボア×ストローク:64.0×68.2mm 圧縮比:9.1 エンジン最高出力:47kW(64ps)/6000rpm エンジン最大トルク:98Nm(10.0kgm)/3000rpm モーター最高出力:2.3kW(3.1ps)/1000rpm モーター最大トルク:50Nm(5.1kgm)/100rpm WLTC総合モード燃費:20.8km/L 車両価格:174万6800円

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