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基礎からわかる自動車のギヤ講座①なぜ歯車が必要なのか?

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クルマには無数の歯車が使われている。
数が多く用いられるのは変速機、過酷なのは駆動系だろうか。
高速回転に対応するために、強大なトルクを受け止めるために、入力を正確に出力するために、力を増幅するために、さまざまな役割が歯車に与えられ、動力を伝達している。
断るまでもなく、整然と並ぶうちのひとつでも欠ければ動力伝達としての機能は失われてしまう。
いかに小さく軽く、確実に、安く、美しく並べるか。
それぞれの形には理由があり、多くの材質が用いられる。
製法には必然性があり、効率と静粛性を追求する策が採られる。
たかが歯車、されど歯車。クルマが走る手段として考えてみよう。

TEXT◎世良耕太(SERA Kota)

講師役は、歯車の世界的権威である久保愛三先生。自動車のみならず船舶、発電機など歯車が使われるありとあらゆるものに精通していらっしゃる。またポルシェ911(Type993)をこよなく愛するカー・エンスージアストでもいらっしゃる。
 歯車(Gear=ギヤ)といえば、Motor Fan illustratedで『歯車屋から見た世界』を連載中の久保愛三博士にご登場願わなければならない。
 久保愛三博士は、京都大学で教授を長く務めたあと、07年に退官。現在は名誉教授でいらっしゃる。公益財団法人応用科学研究所理事長をであると同時にKBGTクボギヤテクノロジーズの代表でもある。歯車の世界的権威である。

 ポルシェ911をこよなく愛し、現在も日本の歯車界を牽引し続ける久保愛三先生に、自動車に使われる歯車についてモータリングライターの世良耕太氏が教えを乞うた。

「博士、自動車の歯車についてやさしく教えてください!」

 これは、Motor Fan illustrated誌に掲載された記事の再編集版である。
 まずは連載第1回(全5回)として、イントロダクションをお送りします。

小さくて軽くて、そして安い……となると今後も歯車が消えてなくなることはない

取材は、京都にある応用科学研究所で行なわれた。
 歯車は一方に動力源、もう一方に動力を使うところがある場合に初めて必要になります。動力源の特性と、その動力源を必要としているところでの特性が一致しているのであれば、歯車を介さずダイレクトドライブにするのが一番賢い選択です。ところが、動力源にはあまり種類がないし、必要とする動力の性質は千差万別なので、変換する必要が出てきます。そこに歯車の出番があるわけです。

 工学のうえでは、動力源を原動機、動力を使って仕事をするところを作業機と言います。原動機と作業機の間にあって、特性を合わせるために変換する機能を受け持たせるものは、歯車以外にも選択することは可能です。ただし、小さくて、軽くて、安くてといった要求を満たすのは難しく、重量的、空間的、経済的な要求をクリアするための必要悪として、結果的に歯車が用いられているのが現状です。

 電気モーターの場合はインホイールモーターも含めて、一部ダイレクトドライブの試みがなされていますが、開発を進めていくとやはり、大きく重たくなる。振動に弱いなどいろいろな問題が出てきて、原動機と作業機は離した方が賢いのではないかという話になる。お金の話も含めてそうなりがちです。どの内燃機関をとってもダイレクトドライブでクルマを動かすのはきつく、今後も必要悪としての歯車が消えてなくなることはないでしょう。


 次回は「エンジンに使われる歯車 省スペースとスラストが発生しない平歯車が基本」をお送りします。お楽しみに!

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