トヨタ・ヤリス HYBRID G 条件さえそろえばリアルな走りで40km/ℓ台!「燃費の破壊力に打ちのめされた」
- 2020/06/11
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世良耕太

翌日、外気温が34℃を示す炎天下、まずまず混雑した道路をエアコンをガンガンに効かせながら神宮外苑まで向かい、往復21.6kmを走った際の燃費は26.3km/ℓだった。ヤリス・ハイブリッドは燃費の破壊力がすごすぎて、それ以外のことはほとんどどうでもいい気分になるのだが、それ以外のこともよく出来ているので始末に負えない。
ヤリス・ハイブリッドは燃費が良いだけで他に取り柄のないクルマでは決してない。走りに瞬発力があるのでストレスがないし、なにより気持ちいい。街なかだけではなく、高速道路でもそうだ。信号が青になった瞬間のダッシュ力にキレがあるし、高速道路で追い越しを仕掛ける際も頼もしい加速力を披露してくれる。モーターらしいレスポンスの良さと、伸びのある力強さが存分に感じられる仕立てになっている。

トヨタ新型ヤリス、WLTCで36.0km/ℓという驚異的な燃費性能を支える新開発1.5ℓ直3エンジンM15A型
2020年2月10日に発売されるトヨタ・ヤリス(現行ヴィッツの後継)は、1.0ℓ直3+CVTと1.5ℓ直3+Direct Shift-CVT、同じく1.5...

エンジンもハイブリッドパワートレーンも新開発だ。先代にあたるヴィッツ・ハイブリッドは1NZ-FXE型の1.3ℓ直4自然吸気(NA)エンジンをベースにハイブリッド化していた。新型ヤリス・ハイブリッドは、新開発のM15A-FXE型、1.5ℓ直3NAエンジンを搭載する。RAV4などが搭載する2.0ℓ4気筒版のM20A系と同じファミリーに属し、強タンブルによる高速燃焼によって熱効率を高めるコンセプトだ。
ヤリス・ハイブリッドの1.5ℓ3気筒エンジンは、2.0ℓ4気筒のM20A系から1気筒切り落としただけでない。最新のエンジンだけあって、それこそ枚挙に暇がないほどの新技術が投入されている。排気量が小さいほどフリクションが損失全体に占める割合が大きくなるので、この点に力を入れて開発した。フリクション低減技術は17にもおよび、オイルリングもそのひとつだ。張力低減によってフリクションロスを30%低減したという。
ヤリスにはハイブリッドではない、1.5ℓ3気筒エンジンだけを搭載したモデルも存在する。このコンベンショナルな1.5ℓ車用のM15A-FKSと、ハイブリッド向けのM15A-FXEでは、それぞれ使い方に応じた専用の技術が投入されている。例えば、ハイブリッド車はエンジン始動と停止を繰り返すため、オイルが暖まりにくい状況が出てくる。そのため、低温域のフリクション低減が効果的で、コンベ版の0W-16に対し、0W-8オイルを開発し、採用した。この低粘度オイルの採用により、WLTCモードで0.2%の燃費向上効果があったという。
ハイブリッドトランスアクスルは、現行プリウスから採用した新しい構造をベースに新技術を入れ、「ドライビングパフォーマンス向上のため」小型化と高出力化の両立を図った。エンジンはヴィッツ・ハイブリッドに対して出力(54kW→68kW)、トルク(111Nm→120Nm)が向上。駆動用モーターの出力も向上(49kW→59kW)させている。

トヨタの発表によれば、エンジンとモーターの出力向上により、0-100km/h加速は旧システム搭載車に対して15%、80-120km/hの追い越し加速は25%向上したという。今回の試乗で体感した気持ちいいフィーリングを裏付けるデータだ。電池はニッケル水素からリチウムイオン電池になってパワー密度が向上し、エネルギーの出し入れがしやすくなってレスポンスが向上。以前よりエンジンに頼る必要がなくなったため、アクセルペダルを踏んだ直後のエンジン回転を抑えることが可能になった。加速要求が続くと、車速の上昇にともなってエンジン回転数を上昇させる制御になっている。
ヤリス・ハイブリッドは決して静かなクルマではないが、エンジンや、モーターなど電動系機器のノイズは上手に遮音されており、耳に届いたとしても気にならないレベルに抑えられている。通常はモーターで発進し、加速要求やバッテリー残量などの条件から低〜中速域でエンジンが始動するが、音の面でも振動の面でも極めてスムーズで、意識してエンジンの存在を嗅ぎ取ろうとしないかぎり、気になることはない。
つまり、エンジンが邪魔ではないのだ。電動ユニットが持つレスポンスの良さと、高出力化したユニットが持つ力強さだけが際立ったハイブリッドシステムになっている。ヤリス・ハイブリッドは、どんなシーンでも気持ち良く走れて、猛烈に燃費がいいハイブリッド車だ。定評があった燃費の良さに走りの気持ち良さが加わったのだから、(小さいけれども)鬼に金棒である。

トヨタ・ヤリス HYBRID G
全長×全幅×全高:3940mm×1695mm×1500mm
ホイールベース:2550mm
車重:1050kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rトーションビーム式
駆動方式:FF
エンジン形式:直列3気筒DOHC+THSⅡ
エンジン型式:M15A-FXE
排気量:1490cc
ボア×ストローク:80.5mm×97.6mm
圧縮比:(未発表)
最高出力:91ps(67kW)/5500rpm
最大トルク:120Nm/3800-4800rpm
過給機:×
燃料供給:PFI
使用燃料:レギュラー
フロントモーター:1NM型交流同期モーター
最高出力:80ps(59kW)
最大トルク:141Nm
リヤモーター:1MM型交流誘導モーター
最高出力:5.3ps(3.9kW)
最大トルク:52Nm
バッテリー:リチウムイオン電池(容量4.3Ah)
燃料タンク容量:36ℓ
WLTCモード燃費:35.8km/ℓ
市街地モード36.9km/ℓ
郊外モード39.8km/ℓ
高速道路モード33.5km/ℓ
車両価格○213万円(試乗車はオプション込みで289万5600円)
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