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水素でエンジンを回せ! 電気自動車(EV)への対抗勢力が勢い付いてきた背景を解説する

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VWのEVブランド、ID.。その第一弾がID.3である。

 VWはディーゼル排ガス不正問題で世の中から袋叩きにあった。電動車普及に本気であることを示すためIDシリーズをこれからどんどん世の中に送り出す。しかし、こういうメッセージを添えた。婉曲的な表現を使っており、けして明言したわけではないが、本音は以下のようなものと推察される。


「BEVが欲しい方には提供します。車両価格を極力抑えて性能は妥協していません。ドイツの一部地域では100%再生可能エネルギーによる電力をID.3に充電していただけるオプションを設定しました。しかし、このオプションは地域限定です。で、こう言っては何ですが、ディーゼル車にお乗りいただいても、まったく後ろめたいことはないのですよ、みなさん」

VWのID.3を生産する工場。EVは製造過程でのCO2排出量が多い。

 FVVは以下ように記述した(筆者訳)。

「道路輸送からの有害なCO2排出を大幅に削減するために、さまざまな技術と燃料が現在検討されている。科学的な観点から、運行段階での直接排出だけでなく、車両の生産、エネルギー源や燃料の生成、それらの配送、および最後に排出される温室効果ガスも考慮する必要がある。とくに、車両の寿命末期におけるリサイクリングだ。通常LCAと略されるライフサイクルアセスメントの方法は、最終的かつ全体的なバランスシートを作成する手段としての地位をすでに確立している。ここでのひとつの課題は、LCA研究の結果が、行われた仮定に大きく依存することだ」

 FVVが言いたいのは発電方法やLiB製造方法である。EU政府が語る「もっともらしい数字」は、その前提をひとつ変えるだけで水泡に帰すという、自動車排出CO2分野でのLCA視点の欠如である。果たしてEU政府は、2023年に予定されている再検討作業でLCA視点を導入するだろうか。
 この件についてはあらためて取り上げたいと思う。

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