JATO、2020年上半期 欧州二酸化炭素排出量レポート発表 トヨタ、シトロエン、日産が好成績を記録!
- 2020/08/24
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MotorFan編集部
JATOの最新の調査から、自動車業界は欧州での温室効果ガス削減目標へ近づくどころか、2014年度の水準まで逆戻りしているということがわかった。自動車会社による、燃費改善や新技術による改善は、大型車の製造やSUVの人気、ディーゼル車の販売減によって相殺されてしまっている。
CO2排出量95g/kmのハードルは高い
欧州の自動車のCO2排出量(=燃費)の規制値で「95グラム規制」という言葉を聞いたことがあるだろう。これは自動車が1km走るのに排出していい二酸化炭素(CO2)の量を95グラム以下する、というものだ。
現状は、欧州委員会(EC)の「2021年以降(段階的に2020年から)欧州で販売される新車の平均二酸化炭素排出量は95g/km以下でなければならない」という取り決めからほど遠い。2019年において、この目標値と実際の平均値の差は27.2g/kmであった。この時点で達成しているべき数値からかけ離れていることがわかる。
それでも、希望の兆しはある。トヨタ、シトロエン、日産は2019年の実績がもっとも高く、目標値に対しての差をいっそう縮めることに成功した。
トヨタ:97.5g/km 規制クリアまで2.5g
2019年、トヨタは二酸化炭素排出量がメーカーのなかでもっとも少なく、なおかつ2018年比で最も排出量を減らした。毎年平均排出量を減らしている会社としても、唯一である。代替燃料車に集中する方策も報われ、欧州の目標値に対して最も小さい差を記録した。
このことから、ハイブリッド車が増えることと、業界全体の平均排出量が減ることには相関があることがはっきりとわかる。実際、ハイブリッド車の平均排出量はガソリン車と比べて、25.0 g/km少ない。しかしながら、目標値は2025年と2030年により厳しいものになることを考えると、他の戦略も数年以内に導入しない限り、継続的な効果は得られないと言えるだろう。
シトロエン:106.5g/km 規制クリアまで11.5g/km
シトロエンはトヨタに続き、排出量が少ないメーカーとなったが、削減に成功したのにはいくつか理由がある。大型のセダンを段階的に廃止したこと、SUVブームに遅れて参加したことが挙げられる。2017年の販売構成は、スモールカーが49%、コンパクトカーが16%、MPVやバンが31%だった。2019年にはSUVが全体の30%を占めたが、それでも大型のセグメントやスポーツカーは抱えていなかった。
事実、2019年のブランド別平均車重は、欧州で最も軽い数値を記録した。このことで、平均排出量を2015年時の105.6g/kmから、昨年は106.5g/kmと、低く抑えることができたのだ。同時に、シトロエンの電動車はこの期間全体の台数の0.4%に留まっている。このことから、安価なセグメント帯に投資することで、排出量を減らすことができるとわかるが、今後数年にも渡って効果が長続きしそうもないことは、先ほど述べた通りだ。
シトロエンは近い内に、Stellantisと言う名の新しいグループの仲間になる。FCAのブランドと合わさった時にも、このような良い結果をきちんと維持していく必要があるだろう。
日産:112.6g/km 規制クリアまで17.6g/km
日産は長年に渡り、シトロエンよりも平均排出量が多いが、自社の平均値を減らすことには成功してきた。2011年から電気自動車(BEV)のリーフを販売してきたことが貢献している。シトロエンよりも多い理由は、大型のセグメントを廃止した一方で、SUVに注力しているからだ。
2019年に欧州で販売された日産車の9%が電動車であったが、日産販売の72%を占めているSUVは、そのなかに1台も含まれていない。日産の場合は、販売車種のSUV化の方が、電動化よりも早く進んでいる。その結果、平均排出量は110 g/kmをずっと超えたままだ。
その他の主要なメーカー
プレミアムブランドの中では、BMWは安定して排出量を減らしている。メルセデスやアウディより、早くから代替燃料車を導入したことが奏功した。しかし、販売の39%を占めるまでになったSUVの人気上昇によって相殺されてしまっている。それでも、SUV率はボルボほど高くないが……。
三菱は販売台数を増やしながら、同時に平均排出量を減らした。スモールカー(販売9%増)と電動車(販売45%増)に投資したことが理由だ。三菱は、アウトランダー PHEVのような、電動SUVという、人気のあるセグメントにクリーン技術を組み合わせた戦略を取っている点が珍しい。2019年三菱は、レクサス(全体の96%が電動車)、トヨタ(同62%)、ランドローバー(同28%)に続き、4番目に電動車率が高いメーカーであった。
レクサスは2019年に、平均排出量を5.0 g/km減らし、キャデラック、MG、モーガンといった、あまり売れ行きのよくないブランドを除いて、最も削減したメーカーであった。車体の大きな車種を販売しており(平均車重は1,702 kg)、プレミアムブランドとして認知されているが、排出量はニッサンやシュコダといった主流のブランドに近い数値である。加えて、セアト(Seat)、ミニ、スズキといった廉価なブランドよりも排出量が少なかった。この成功は、販売の96%を占めた、ハイブリッドエンジンのおかげである。また、2018年から排出量を減らすことができたのは、コンパクトSUVのUXのおかげでもある。
MGは、中国で製造されるイギリスの会社だが、2019年に排出量を減らすことができたブランドの1つだ。スモールSUVのピュアEV(BEV)であるMG ZSのおかげで、2018年の131.7g/kmから2019年には123.1g/kmへ、大幅に減らすことができた。事実、このモデルによって、イギリス以外の欧州事業を拡大することができ、オランダでは、ほぼ1,100台を売り上げている。とはいえ、欧州での販売台数の内、92%は今もイギリスだが。
どのようにして排出ガスを削減したのか
2019年に排出量を減らしたブランドに共通していたことは、以下の内のひとつか複数の組み合わせを実行していた。
1.車の車重を軽くする
2.SUVの数を減らす
2.電動車の数を増やす
これらの戦略に取り組んだブランドは、今後の達成困難な目標値に近づくことができるだろう。しかしながら、ハイブリッド化は長期的には不十分であり、目に見えて排出量を減らすためには、排出量0の車種を増やすことが必要だ。2019年に排出量を減らしたブランドは、ごく一部の例外を除き、電動車の販売台数が過去最大になったことが理由だった。
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