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日産キックス車両開発主管に訊く「なぜジュークでなくてキックス?」そこにはキックスのポテンシャルがあった(前編)

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穏やかな表情でインタビューに応じてくれた山本CVE
MF:日本のキックスはe-POWERだけです。でも、海外仕様のキックスの開発初期には、e-POWERを載せる計画がないまま開発が始まったのではないかと想像するのですが。
山本:確かにそうですね。
MF:ノートのe-POWERが登場したのが2016年11月です。ですから、キックスがデビュー時にはまだe-POWERが載ったクルマはなかったわけです。だから「キックスにもe-POWERを載せるか?」という議論はないままICE(内燃機関)のキックスを作って海外で出したら大ヒットした。今度は「日本にキックスを入れようぜ」となったときに、「じゃあ日本に入れるときはe-POWERとプロパイロットというふたつの飛び道具があるからこれを載せて新しいクルマにしよう」というお話だったと思うんです。最初からe-POWERを載せようと思っていたクルマとそうじゃないクルマだと、作るのが大変なんじゃないかと想像するのですが……。
山本:e-POWERってエンジンルームから床下からすべて違うので、出来上がったものにe-POWERを載せるのは本当に大変なんです。今回良かったのは、タイで生産するということなんです。タイでは初めてキックスを作るので、すべての部品を一から作れるメリットがありました。もともとあるICEのキックスの構造をそのまま転写するのではなくて、e-POWERに合わせたカタチでいろんな部品を変えていくことができました。
MF:タイで電動車を生産するのはタイ国内の税制上、いろいろメリットがあるんですよね。それもあってタイで作るということになったんですか?
山本:それもあるのですが、現在e-POWERは日本にしか出してないのですが、これからはアジア中心にグローバル展開していく計画があるので、その足ががりに、まずタイをe-POWERの拠点にするという方針がありました。
MF:じゃあ、同じキックスでも「アメリカのキックス」と「日本、タイのキックス」は名前は一緒だけど中身は相当違っていると思った方がいい?
山本:そうです。プラットフォームは全部違いますし、逆に同じところはキャビンの周りくらい。エクステリアもフロントとリヤエンドはちょっと違います。本当はキックスって名前じゃなくてもよかったくらい(笑)なんです。そのくらい違っています。

MF:これをそのままジュークって名前にして出しちゃうというのもできたと思うのですが……。
山本:(笑)同じクルマでもアメリカはセントラでこっちはサニーとかヴァーサとか……アメリカはローグで日本はエクストレイルとか。さすがにジュークはちょっとマズイかなと思いますが(笑)。

キックスはプロパイロットを標準装備する
MF:プロパイロットはこれからの日産車には必ず載せなければいけない?
山本:はい。そう思っています。プロパイロットには1.0と2.0のふたつがありますが、当然1.0は入れていかないといまとなっては商品力がなくなってしまうのかな。とくにキックスで標準装備にしましたので、これから登場するモデルは、私が担当ではないのでわからないのですが(笑い)……いろいろなクルマにプロパイロットがないと説明もつかないのかなと思います。プロパイロットには非常に商品力がありますし、乗っていても気持ちいいので。

MF:ノートe-POWERが出たときに、僕らも試乗会に呼んでいただいて、モーター駆動ってやっぱり気持ちいいんだっていうのを実感しました。でも「とはいえね、本当に売れるのか」って思ったんです。でも結果的に爆発的に売れました。たぶんノートの半分くらいはe-POWERですか?
山本:もっとですね。7割くらいじゃないでしょうか。

エンジン形式:直列3気筒DOHC エンジン型式:HR12DE 排気量:1198cc ボア×ストローク:78.0mm×83.6mm 圧縮比:12.0 最高出力:82ps(60kW)/6000rpm 最大トルク:103Nm/3600-5200rpm モーター:EM57型交流同期モーター  定格出力:95ps(70kW)  最高出力:129ps(95kW)/4000-8992rpm  最大トルク260Nm/500-3008rpm

MF:ノートといったらe-POWERじゃないですか。日産社内でも恐る恐るだしたらこんなに当たった、だったと思うんです。それが2016年。キックスが実際にデビューしたときですよ。そのときに、日本でe-POWER出したらすごく売れてるよ、と。それから2017年とか18年にキックスにも載せようぜって開発が始まったと想像します。2018年だとしたら2年くらいしか時間がない。ある意味ゼロからクルマを造ってe-POWER載せるほうが楽なんじゃないかと思うんですけど。逆に時間が余計にかかるのではと思うんですが。そういうものですか?
山本:うーん(考え込んで)ただ、そこは逆にキックスの部品が世界にあるので、最初はいろんな部品を集めてまずe-POWERをキックスに載せてみて、試作車を作ってどういう運転性になるか評価しました。それはかなり早いタイミングでできたので助かりました。ノートから出力を上げたパワートレーンを作って試作車に載っけたんですけど、かなり変な挙動をしてしまいました出力は上がったんですが車両はついてこないとかですね。そういう苦労はしましたが、部品がいろいろあったのと、タイで新規に作れるということあったので、自由に発想できて、逆に短く開発ができました。
MF:タイでゼロから作れるのが大きかったみたいですね。
山本:そうですね。たとえばブラジルとかメキシコにある既存のラインに入れようとすると、両方(コンベとe-POWER)成立させないといけないですよね。どうしても共用だとかなり時間がかかり制約を受けるのですが、今回は新しくラインを引き直したのでそういう点は自由にできました。
(後編へ続く)

WLTCモード燃費:21.6km/ℓ  市街地モード26.8km/ℓ  郊外モード20.2km/ℓ  高速道路モード20.8km/ℓ

日産キックス X(FF)
全長×全幅×全高:4290mm×1760mm×1610mm
ホイールベース:2620mm
車重:1350kg
サスペンション:Fストラット式 Rトーションビーム式
エンジン形式:直列3気筒DOHC
エンジン型式:HR12DE
排気量:1198cc
ボア×ストローク:78.0mm×83.6mm
圧縮比:12.0
最高出力:82ps(60kW)/6000rpm
最大トルク:103Nm/3600-5200rpm
過給機:×
燃料供給:PFI
使用燃料:レギュラー
燃料タンク容量:41ℓ
モーター:EM57型交流同期モーター
 定格出力:95ps(70kW)
 最高出力:129ps(95kW)/4000-8992rpm
 最大トルク260Nm/500-3008rpm
最終減速比:7.388
バッテリー容量:1.47kWh
駆動方式:FF

WLTCモード燃費:21.6km/ℓ
 市街地モード26.8km/ℓ
 郊外モード20.2km/ℓ
 高速道路モード20.8km/ℓ

車両価格○279万9900円

日産キックス車両開発主管に訊く「キックスがe-POWER専用である理由」第一世代e-POWERの完成形を搭載したキックス(後編)

期待のコンパクトSUVキックスのパワートレーンは、日産自慢のe-POWERのみ。ライバルひしめくBセグSUVで勝ち抜くための戦略を...

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