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「隣に座っている人」を傷つけない。VWのEV、ID.3に採用されたセンターエアバッグとは何モノか?

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運転席と助手席の間に展開するセンターエアバッグを世界で最初に開発・実用化したのはGMだった。技術発表は2011年9月29日で、2013年モデルから市販車に採用することを明らかにした。また、このエアバッグの開発には日本のタカタ(当時)が参画したことも明らかにされた。技術発表を受けて保険業界の団体であるIIHS(Insurance Institute for Highway Safety)は「GMとタカタの安全性向上への取り組みを賞賛する」とコメントした。

ちなみに現在議論されている衝突安全基準の追加および強化は、保険業界や医学界からの提案が出発点であるものが多い。保険業界は「保険金の支払いを抑える」ことが目的であり、医学界は「死者数の減少とケガ人の早期社会復帰促進、それにともなう社会的コスト負担の軽減」が狙いである。

【写真9】:トヨタ自動車が実用化した後席センターエアバッグ。センターコンソールから真上に展開し、左右乗員の接触を防ぐ。

いっぽう、トヨタ自動車と豊田合成は、後席センターコンソールから真上に展開するSRS後席センターエアバッグ【写真9】を2009年3月11日に技術発表した。最初に装備されたのは同年3月26日発売の5代目「クラウンマジェスタ」だった。後席にセンターコンソールを備えた「Fパッケージ」の専用装備であり、このセンターエアバッグとセットで衝突直前に後席背もたれの角度を衝撃吸収の最適位置に強制的に起き上がらせるプリクラッシュシートバックが装備された。

近年では、ドイツの大手サプライヤーであるZFフリードリヒスハーフェンが2017年06月06日に発表したアドバンスド・ファーサイド・センターエアバッグがある。自動車向けSRSエアバッグで世界トップシェアのオートリブ(スウェーデン)も2019年11月に同様のフロントセンターエアバッグを開発したと発表した。

VWが「ID.3」に採用したフロントセンターエアバッグのサプライヤー(供給元)は公式発表されていないが、サプライヤーでの開発および製品化が進んでいることは間違いなく、いずれ標準装備化されるように思える。

たとえば7〜8年後はどうなっているだろう。乗用車1台の中に、運転席・助手席の正面エアバッグ、運転席のヒザ用ニーエアバッグ、運転席・助手席のサイドエアバッグとセンターエアバッグ、左右側面ガラス部分を覆うカーテンエアバッグ、後席用サイドエアバッグ……10個くらいのエアバッグの装備が「すべての乗用車」に義務付けられ、その作動状況が車載の5G通信端末を使って外部ネットワークに通報され、すぐに緊急車両が駆けつける。こんな姿かもしれない。

で、そのコスト負担はだれが?

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