オフロードでの乗り心地の良さに驚く! ヤマハYPJ MT Proで野山を走る 【モーターファン 自転車部】 66万円(税込)のe-MTB ”ヤマハYPJ-MT Pro” に乗ってみた! 時速10kmのダイナミズムを堪能しよう!
- 2020/11/07
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CAR STYLING編集部 松永 大演
電動アシスト自転車はかなりの普及を見せているが、それはシティサイクル(=いわゆるママチャリなど)の世界だけにとどまらない。ロードバイクやMTB(マウンテンバイク)などe-BIKEと呼ばれる、スポーツバイクにも及んでいる。そしてヤマハよりe-MTBのハイエンドモデル、YPJ-MT Proが発表された。今回はそのハイエンドモデルの試乗のチャンスを得た。ここではそのレポートを行なっていこう。 (撮影:中野孝次)
電動アシストがスポーツ系自転車にも波及!
ヤマハ発動機といえば、世界初となる電動アシスト自転車PAS(パス)を発売したメーカーでもある。PASという名前は、Power Assist Systemの略。楽するためのアシストから始まったが、さらに楽しむためのアシストを実現し、PASに対してYPJ(ワイピージェー/ Yamaha Pro Ject)というブランドを構築した。
電動アシストはこれまでシティサイクルのための技術だったが、2013年にロードバイクの初期コンセプトモデルYPJ-01が登場し、2015年にYPJ-Rとして商品化された。2016年にはYPJ-Rのコンセプトをベースにバーハンドルで扱いやすいYPJ-Cを発表。当初はロード系のバイクだったが、2018年にはYPJ系第2世代ともいえるバッテリーの大幅向上をはかり、手軽に扱えるライトモデルから、オフロードのMTBモデルのYPJ-XCなどの4車種を登場させた。
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YPJ-XCはフロントに120mmのストロークを持つサスペンションを採用。ドライブユニットも新しいPW-Xが採用された。特にこれまではアシストモードとして、ハイ/スタンダード/エコ/プラスエコの4段階だったものに加え、MTBとしてエクストラパワーモードを追加した。
そして今回登場したのが、XCの上をいくハイエンドモデルだ。フレームはモーターサイクルのツインチューブ技術から生まれたデュアル・ツインフレームを採用。フロントサスペンションは160mmのストロークにアップ。リヤサスも採用され、150mmのトラベル量を持つ。
ドライブユニットは最小、最軽量のPW-X2を採用。ペダルトルク、速度、クランク回転、傾斜角度の4つをセンシングし、ライディングコンディションを管理。ライダーの求める理想的なアシストパワーを提供するという。またアシストモードは、XCの5段階に加えてオートマチックアシストモードを追加。ライディングの状況によって、ハイ/スタンダード/エコのモードを自動で切り替えるもので、ライダーがよりライディングに集中できる設定となっている。
さらに前後ディスクブレーキは油圧式を装備するのはXCと同様だが、なんと4ピストン式を採用するという徹底ぶりだ。
機能美を追求した造形デザイン
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デザイン・コンセプトとして「機能と官能の対置」を掲げている。ツインフレームによる、繊細なフレームが印象的であることに加えて、メカニズムがシンプルに構築されている。機能的にわかりやすい造形が、機能美を表現する。バッテリーやパワーユニットもよりコンパクトなものを採用しているが、その機能を見せる造形も意識されている。3Dデータによるデザイン検討を行ないフレーム各部の断面を見直しながら、光によって表情のある面を作り上げた。そしてこのブルーは、ヤマハのレーシングカラーが採用されているが、これまでは採用されていなかったものだ。
試乗した場所は、横浜のトレイルアドベンチャー。山の斜面に造られたMTBを楽しむための専用オフロードコースだ。ここはトレイル利用料金に加え、MTB / e-MTBをレンタルすることもできる。
まず乗って気がつくのはバーハンドルのワイドさだ。XCで740mmの左右長(全幅)を持つが、こちらは790mmとさらに広い。実はこのサイズは歩道を走行できない寸法で、実質的にオフロードでの車体の保持や自在の操作に最適な寸法として設定されている。
乗り心地の良さはトラクションの高さ
そして、ハンドル中央にあるのがマルチファンクションメーター。速度と走行アシストモード、ケイデンス(回転数)、ペダリングパワー、消費カロリーなどが表示できる。さらにマイクロUSBによってスマホなどへの給電もできるという。このモニターの操作用スイッチはハンドルの左側で、左手でグリップを握りながら親指で操作するスタイルだ。
ギヤについてはフロントがシングルのチェーンリング、リヤスプロケットが11速となる。変速はハンドル右側のレバーで行なう。
左側にも似たレバーがあるのだが、これはドロッパーシートポストの調整用レバーだ。レバーを操作することで、サドルの高さ固定が外れ押し込むことで大きく下げることができる。ヒルダウンなどリヤトラクションを慎重に取りたいときなどは体重をリヤタイヤに大きくかける必要があり、そんなシーンでサドルを瞬間的に一番下まで下げるためのものだ。再度レバーを押すとサドルは戻ってくる。
速度を上げていってもその印象は変わらず、ガンガン走らせたい衝動に駆られる。
リヤサスペンションは、ペダリングによる駆動力を吸収してしまうといわれたのはもはや遠い昔の話らしく、むしろ高い推進力に貢献するという。
それどころかe-BIKEの恐ろしいところは、エクストラパワーモードではヒルクライムでは、路面によってリヤホイールがホイールスピンしてしまうほど恐ろしくパワフルだ。
特に今回の路面コンディションは、粘土質である上にウエッティな状態でもあったので、コーナーでのブレーキ操作にも神経を使うことになった。まったくの自転車好きの素人だから、その走りはお粗末なものだが、スペシャリストはリヤブレーキを常時かけながらトラクションもかけるという走り方をするのだという。
ブレーキに4ピストン式を採用したのも、そんな過酷な条件でも安定した制動を実現するためだという。
e-MTBはヒルクライムの楽しさも与えてくれた
実際のところ、MTBのスポーツとしてはダウンヒルが基本だという。高地までバイクを持っていって、そこから下ってくる醍醐味に魅力があったという。そんなフィールドに、e-BIKEは手軽にヒルクライムの魅力も取り込んでしまうことに成功した。このことは、気軽に楽しめる層を拡大し、ふもとをベースとできるなどプレイスタイルを大きく変えられることともなった。
MTBというスポ魂系プラクティスに、よりカジュアルなランニングスタイルを取り込む大きな一歩となったともいえる。頂点となるのは競技への参戦となるのだろうが、現在e-BIKEにはレギュレーションがないため、競技車両としてのクラスは存在しない。
このe-BIKEでワインディングを走る爽快感や楽しさは、子供の頃に野山を自転車で駆け巡った楽しさの延長線上にある。モトクロスとは違う、自然との相性のよさもさることながら、時速10km、あるいはそれ以下の速度からのダイナミズムは、決して車やバイクでは得られない種類の快感だ。
ヤマハe-BIKEラインナップ
YPJ-R
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YPJ-C
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YPJ-EC
![](/images/articles/10017106/big_3780519_202011071125400000001.jpg)
YPJ-TC
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YPJ-ER
![](/images/articles/10017106/big_3780523_202011071125420000001.jpg)
YPJ-XC
![](/images/articles/10017106/big_3780525_202011071125420000001.jpg)
YPJ-MT Pro
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