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日本で一番売れているN-BOXは車椅子移動車でも販売台数ナンバー1。その強さの秘密とは?

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ホンダは3月10日にオンライン取材会を開催した。テーマは”What’s 福祉車両”。あまりメディアで取り上げられる機会のない、ホンダの福祉車両に対する取り組みについて伺うことができた。そこで分かったのは、福祉車両でもN-BOXが高い支持を集めていること。その秘密は、福祉車両を特別な存在にしないというホンダのポリシーにあった。

超高齢化社会の日本。福祉車両のニーズはますます高まる

まずは、福祉車両を取り巻く環境についてご紹介しよう。

日本が超高齢化社会に突入していることはご存知のとおりだ。2018年時点で、65歳以上の高齢者がいる世帯は、全世帯の約半数に達している。また、当然のことながら高齢者の増加に伴い、介護や支援を受ける人も増えている。約20年で、要介護・要支援の認定者の数は約3倍になったというから驚きだ。

その一方で、介護側の負担軽減も課題となっている。主に介護に携わっているのは要介護者の配偶者・子ども・子どもの配偶者といった同居家族なのだが、大半を女性が占めており、年齢も60代以上が大半とこちらも高齢化が進んでいるのだ。

そして、のっぴきならないのが「2025年問題」だ。いわゆる団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になるタイミングで、じつに国民の4人に1人が後期高齢者になる計算なのである。

こうした急激な少子高齢化に伴い、老人医療費・社会保障費は上昇する一方だ。そこで政府は「地域包括ケアシステム」を提唱している。高齢者は施設に入居して人生の最後を迎えるのではなく、在宅サービスを充実させることで、できる限り住み慣れた自宅で高齢者が過ごすことを目指すというものだ。

となると自宅が介護の拠点となるわけで、高齢者のための移動手段が必要となる。そこで近年は女性でも扱いやすい福祉車両のニーズが高まっている。また、デイサービスの施設側も人手不足で専用ドライバーを雇うことが難しくなり、ミニバンや軽といった介護職員が運転しやすい送迎車両へ移行する傾向がある。

なお、福祉車両は大別すると、「介護式」と「自操式」に分類できる。介護式は身体の不自由な方の介護や送迎に利用するもので、回転シート車、昇降シート車、車椅子移動車が含まれる。一方、自操式は身体の不自由な方が自分で運転できるように補助装置が付いているものだ。

福祉車両は日本で年間約4万台が販売されている。そのうち7割が車椅子移動車だ。

ホンダは「移動の喜び」を旗頭に12モデルの福祉車両をラインナップ

続いてホンダの福祉車両に対する取り組みについて見てみよう。

ホンダでは「移動の喜びを一人ひとりに」を合言葉に福祉事業を展開。介護式と自操式、両方の福祉車両を扱っており、軽自動車からミニバンまで全12モデルをラインナップしている。

ホンダの福祉車両には3つのこだわりがあるという。まず、介護車両に関してのこだわりだが、標準車と同様に安全運転支援システム「ホンダセンシング」を標準装備していること、車椅子仕様車に電動ウインチを標準装備していること、そして降雪地域のユーザーも安心して利用できるよう4WDを設定していることだ。

そして運転補助装置に関してのこだわりは、純正用品として提供していること。ホンダは1976年からテックマチックシステム(手のみで運転可能)、82年からフランツシステム(足だけで運転可能)を発売しているが、現在、国内の自動車メーカーでは、唯一ホンダが純正用品として運転補助装置を提供しているのだ。

最後は、デザインに対するこだわり。介護車に関しては標準車のイメージを損なわないスタイリングを採用している。これは福祉車両に乗っていることを周囲に知られたなくないというユーザーの嗜好に配慮したもの。また、自操式では純正部品として車体の内装とのマッチングを考慮しているという。

テックマチックシステム
フランツシステム

福祉車両の販売環境を整える取り組みも重要

オレンジディーラー
ホンダの全福祉車両は全国のホンダカーズで取り扱われてきた。しかし、当然ながら各店舗の対応力には差がある。急に家族の介護が必要になり福祉車両を購入することになったユーザーは不安を抱えながらディーラーを訪れるものだが、そんなユーザーに寄り添って対応できる販売現場の体制づくりとして、ホンダは2002年からオレンジディーラー制度をスタートした。

オレンジディーラーは福祉に強い販売店の認定制度で、店舗・デモカー・スタッフの要件を満たすことで認定を受けることができる。これまで何度か要件は改訂されてきたが、2015年からは4台の福祉車両(車椅子仕様車2台・リフトアップシート車1台・助手席回転シート車1台)を備え、介助士が2名以上いる販売店を「マスター店」、車椅子仕様車1台を備え、介助士が1名以上いる販売店を「ベスト店」としている。また、どちらも店舗のトイレはバリアフリーであることも条件だ。

現在は全国で409の販売店がオレンジディーラーの認定を受けている(マスター店が78、ベスト店が331)。福祉車両の実車を見ながら、専門知識に長けた販売スタッフに疑問をぶつけることができるので、ユーザーにとっては心強い存在となっているはずだ。

車椅子仕様車(ステップワゴン)
サイドリフトアップシート(ステップワゴン)
助手席リフトアップシート(ステップワゴン)
助手席回転シート(フィット)

ホンダカーズ岐阜長良店の営業スタッフ、小池晃雄さんは、福祉車両を販売している現場のエピソードを教えてくれた。

「ホンダの福祉車両の認知度はまだ低く、展示車を見て知るパターンが多い。商談で心掛けているのは、遠慮しすぎると肝心なことが聞けないので、細やかな質問をしている。現在の身体の状態や将来の身体の変化、サポートしてくれる家族の有無など。

こだわっているのは、お客様の生活を再現し、自宅やよく行く場所で使いやすいかどうかを体感してもらうこと。奥様が病気で下半身不随になり、趣味の釣りに行けなくなったご夫婦がいらっしゃったが、福祉車両を紹介するにあたって、釣りにもう一回行くことを目標にすることを提案。そのために必要なことを一緒に考えながら商談し、実際に福祉車両が納車された後、釣りに行かれた時の笑顔の写真を見せてもらったのが印象に残っている」


さらにホンダでは、安全運転に向けた環境づくりにも取り組んでいる。ホンダと各地域が連携して、個人や介護施設で送迎を担当しているドライバーに安全運転のプログラムを提供中だ。

特別な存在ではなく、日常でも扱いやすい。それがN-BOXが人気の理由

4年連続国内販売台数ナンバー1、6年連続軽販売台数ナンバー1と、ホンダを代表する1台になっているN-BOXは、福祉車両でも人気の車種だ。N-BOXの車椅子移動車は2012年8月の登場以来、車椅子移動車カテゴリーにおいて、販売台数No.1を5回獲得している。争っている他の2台は法人需要が大半なのに対して、N-BOXは個人ユーザーが大半という明確な違いもある。

なぜN-BOXが福祉車両としても多くのユーザーから選ばれているのだろうか。N-BOXスロープの開発にあたって重視したことを、開発責任者の白土清成さんが語った。

「車椅子の利用者にとって、車椅子で車に乗るのは日常のこと。だから特別な車と思ってほしくないし、快適に乗っていただきたい。そして、介護する方も我慢してほしくない。子育てユーザーに向けて助手席スーパースライド仕様があるように、N-BOXの中の一つの仕様としてスロープ仕様が存在し、大人4人が乗ったときに普通の使い方ができるようにしたかった。

実は、N-BOXシリーズの中では4 人乗車時で積める荷物が一番多いのがスロープ仕様。デザインも違和感がないように、テールゲートを見比べても差は小さい。スロープ仕様がN-BOXの一つの仕様になったことで、ホンダセンシングが標準となっただけでなく、オプションやカラーが他の仕様と同様に豊富に選ぶことができる。そうしたことが悩めるのがお客様にとっては重要だ」


N-BOXスロープ仕様の大半は個人ユース。使用状況のうち、2〜3割が車椅子モード(通院など)、残りは普通の車として利用されている。そこで、N-BOXの便利さ・快適さはそのままに、車椅子モードへの切り替えを簡素化することにもこだわった。

「4人乗車状態から車椅子を乗せる際にリヤシートを畳むのだが、ヘッドレストを収納タイプにしたので取り外す必要がなくなった。最大の特徴は、荷室の床を引っ張るとそれがそのままスロープになるという画期的な構造を採用したこと。

また、車椅子搭載モードにした際、車椅子の乗員も物を置きやすく、手すりを掴みやすいように配慮した。乗り心地にもこだわり、リヤのサスペンションをソフトにしている」

N-BOXの車椅子仕様車のスロープ

ホンダカーズ岐阜長良店の小池さんによると、N-BOXスロープ仕様はユーザーからも評価が高いようだ。

「車椅子仕様車の場合は、介助する側も楽でないといけないが、N-BOXは使い方が簡素化されているところが好評。また、エンジンがかかっていなくてもウインチ操作ができるのもポイントで、車椅子で乗り込む際、車内に排気ガスが入る不安がない。

そして、福祉車両ということを隠したいお客様が多い中、一般車と比べて見分けがつきにくいことも喜ばれている。N-BOXカスタムも用意されており、クルマを選ぶ楽しみが広がっている」

N-BOXカスタムの車椅子仕様車

介護を必要とする方が、躊躇なく外出できるような社会を実現するためには、福祉車両の存在がますます重要となる。そんなことを改めて考えさせられた取材会であった。

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