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「PEUGEOT 9X8」プジョーが2022年のWECに送り込むLMH プジョーのハイパーカー「9X8」登場!「ナイン・エックス・エイト」リヤウイングのない意欲的なスタイルだ

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パワートレーンは2020年12月に発表された内容と変わっていない。バンク角90度の2.6ℓV6ツインターボガソリンエンジンを車両ミッドに搭載。これに7速ギヤボックスを組み合わせる。フロントにはモーターを搭載。

プジョーは2022年のWEC(FIA世界耐久選手権)に投入するル・マン・ハイパーカー(LMH)を発表した。LMHは従来の最上位カテゴリーであるLMP1にかわって2021年シーズンから導入されたカテゴリーで、今シーズンはトヨタとアメリカのプライベーターであるグリッケンハウス、アルピーヌ(特例でLMP1車両を使用)が参戦している。
TEXT◎世良耕太(SERA Kota) PHOTO◎Peugeot

プジョーが2022年のWECに送り込むLMHの車名は、「9X8」だ。「ナイン・エックス・エイト」と読む。「9」は1992年〜93年のル・マン24時間を制した905と、09年のル・マン24時間で優勝を飾った908の正統な後継車であることを示すもの。「X」は全輪駆動とハイブリッドであることを意味。「8」は208や2008、308に3008、5008など、プジョーの現行モデルに使用されている末尾の数字にならったものだ。

プジョー9X8(ナイン・エックス・エイトと読む)

パワートレーンは2020年12月に発表された内容と変わっていない。バンク角90度の2.6ℓV6ツインターボガソリンエンジンを車両ミッドに搭載。これに7速ギヤボックスを組み合わせる。フロントにはモーターを搭載。LMH規定ではハイブリッドとする場合にモーターをフロントに搭載する決まりで、トヨタGR010ハイブリッドも同じレイアウトだ(ただし、エンジンは3.5ℓV6ツインターボ)。

モーターの最高出力は200kW(272ps)、エンジンの最高出力は500kW(680ps)で、これはレギュレーションで規定された数値である。エンジンとモーターの出力を合わせた総合最高出力も500kWに規定されているので、モーターが200kWの出力を発生させているとき、エンジンは最大300kWまでしか発生できない決まりだ。バッテリーはプジョー・スポールとトタルエナジーズの子会社であるサフトが共同開発している。エンジンのベンチテストは4月から始めているという。

エンジンとモーターの出力を合わせた総合最高出力も500kWに規定されている
フロントモーターで回生している間はエンジンは500kW以上となってもいい。

プジョーが耐久レースへの復帰を決めたのは、「市販車で推進している電動化の技術力と強いリンクがあり、自社の技術力を示すチャンスだから」と、プジョーCEOのリンダ・ジャクソンは説明。「耐久信頼性の確保や、革新的な技術を鍛え、市販車の技術に生かしていく点についても、耐久レースは最適」と説明した。

フロントとリヤのライティングシグネチャーは、最新のプジョーのロードカーと共通の、3本の爪で引っかいたようなグラフィックだ。フロントマスクの中央と左右のサイドポンツーンには、新しいライオンヘッドのロゴが鎮座し、バックライトによって点灯する仕掛け。リヤビューミラーはフロントフェンダーと一体化したデザインとなっている。

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それより目を引くのは、「リヤウイングがない」ことだ。「リヤウイングは、1967年にル・マン24時間に参戦したシャパラル2Fで初めて採用されたものです。半世紀以上もの期間、採用されてきたそれが疑問視されたのは今回が初めてでしょう。9X8の革新的なリヤエンドは、プジョー・スポールのエンジニアリングチームの研究から生まれたものです」と、プジョーは説明している。

9X8にはリヤウイングがない!

ダウンフォースの獲得を諦めたわけではない。リヤウイングがなくても、床下で必要なダウンフォースを確保できるので、リヤウイングを取り去ったのだ。LMP1の時代は空力性能に規定は設けられていなかったが、LMHではダウンフォースの最大値とドラッグの下限値、それに、ダウンフォースとドラッグの関係で導き出される空力効率(L/D)に上限が設けられることになった。過度の開発競争によるコスト上昇を抑えるためだ。

TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表の村田久武氏は、「(LMP1のトヨタ)050ハイブリッドはダウンフォースが相当出ていました。軽いクルマ(最低重量878kg)を大きなダウンフォースで押さえていたのが050です。新しいハイパーカー(LMH)は、車重が重くなり(最低重量1030kg)、ダウンフォースは相当削られています。ダウンフォースで押さえつけることができないので、横Gが出るようなセクターでは横滑りしてしまい、タイヤを傷めてしまいます」と説明している。

ダウンフォースは相当に違うようだ。理論上はリヤウイングに頼らなくても規定のダウンフォースを発生できるとしても、これまで長らくあって当たり前だったものをなくしてしまうのはいかにも大胆で、冒険には違いない。

9X8はインテリアのデザインにも力を入れている。機能一辺倒ではないということだ。車載カメラで映したときの「映え」を意識しているということなので、実際のところどうなのか、楽しみに待つことにしよう。9X8の本格的なテスト開始は12月に始める予定。7月16日〜18日に行なわれる2021年WEC第3戦モンツァ6時間では、現地の観客に9X8を披露する予定だという。

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PEUGEOT 9X8 – テクニカルデータ
クラス:ル・マン・ハイパーカー(LMH)

全長:5000mm

全幅:2080mm

全高: 1180mm

ホイールベース:3045mm

パワートレーン:PEUGEOT HYBRID4 500KW (全輪駆動)

リヤドライブトレーン:500kW(680hp)、2.6ℓツインターボ90度V6、ガソリン内燃機関+7速シーケンシャルトランスミッション

フロントドライブトレイン:200kW 電動モータージェネレーター+1速減速機

バッテリー:プジョー・スポール、トタルエナジーズ、サフトの共同開発による高密度の900Vバッテリー
燃料と潤滑油 :トタルエナジーズ

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