【Renault KADJAR】 Long term test 付き合うごとに味が出てくる予感 〈ルノー・カジャー長期レポートVol.4〉
- 2018/08/24
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CAR STYLING編集部 松永 大演
夏休みにちょっと多人数となってしまい、自分のクーペでは何なのでMFカジャーを駆り出した。行き先は箱根のホテル。夏休みのど真ん中は、東名高速は川崎-厚木が完全な大渋滞。その先もノロノロ&アップダウンの連続なので、先出のみんなのような燃費は出ず。なんと9.1km/Lを出してしまった!
レポート日:2018年8月24日
オドメーター:6198km
TEXT&PHOTO●松永大演/カースタイリング
(MATSUNAGA Hironobu/CARSTYLING)
ファミリーの旅行ならやっぱりSUV!
当たり前の日程で夏休みを取ってしまえば、渋滞は避けられない。しかし周囲のクルマに埋もれずに、前方の景色が見えるのはちょっとしたメリットだ。
通常クーペに乗っているため、この高いアイポイントは快感。SUVのよさの一つに、この見晴らしのよさを加えるのは、すごく説得力があるなと思ってたりしたのが大渋滞の東名高速道路の上。
川崎ICで入って、厚木ICを抜けるまで極端にいうならブレーキしか踏んでいない。前車が動いても7速DCTの擬似的クリープで済んでしまったという感じの大渋滞。
さらに言えば、真夏の高速道路上でエンジンストップによるエアコンの停止(送風のみ機能)は、だんだんきつくなってくる。そんなこともあって、アイドリングストップは早々にOFFにしてしまった。(それもいけなかったのか、300kmほど走ったオーバーオールの燃費はお恥ずかしながら9.1km/Lと最悪値を記録)
オプションのカーナビに好感触
クーペじゃなくSUVが必要だったのは、大人3人と小学2年生のお嬢と、保育園に通うわからんちんの小僧という組み合わせ。箱根に一泊してプールで遊ぼうという計画を立ててしまったから。さらに言えばこのお嬢が、クーペが嫌い。なぜかと言えば外が見えないとか。
というわけで、カジャーを見せると2人とも「おお!」と声をあげた。好感触…。
リヤシートにはともに這い上がるように乗り込むが、座った感触はいいらしい。
いつもよりおとなしいのだ。
「これなら酔わないかも…」とお嬢。
酔うような運転をしているつもりはないが、クーペの穴蔵感は
確かに快適ではないかもしれないな、と思う。
そして突っ込んだのが、東名の大渋滞。
しばらくすると…
「あとなんぷん?」の大合唱。
ホテルについたら早速プール! と子供たちを喜ばせていただけに、子供にとって到着時間の遅延は死活問題なのだ。
そんな時、ふと見たのがオプションのカーナビ。
あらかじめホテルを目的地にしておいたのだが、その距離と一般的な到着時間のイメージが合わない感じに気がつく。なんでそんなにかかるんだ!? という感じ。
よく見てみると、どうもこの渋滞を予測した到着時間が表示されている。
後でわかったのだが、実際にホテルに到着した時間と、この東名高速上で見た時間に大きな違和感がない。
正確にいうならば、渋滞を考慮したカーナビはこの先の渋滞も刻一刻と変わっていくので、到着時間は変化していくのは当然なのだが、このカーナビは大体予定通りついたな、と感じられるものになっている。
これはパナソニックの最新製品(CN-G1200VD)でデカゴリラ7との愛称のつけられた機種。渋滞に強いのが大きな売りで、リアルタイムの渋滞情報だけでなく統計データにもよって、回避案内などの機能が優れているらしい。
おまけに言えば、このカーナビはグロナスにも対応している。このグロナスとはロシアから打ち上げた位置情報衛星(全24基)の受信ができるという。業界で先駆けたものとのことで、GPSと併せて受信でき、かなり精度が高まるらしいのだがその実感は残念ながらなかった。
「あと50分くらいかな…」
カーナビに助けられて、時間を告げると
お嬢「わかったぁ」、小僧「はぁい」の返事。
(素直じゃないか…)と思うのもつかの間、勝手気ままのおしゃべりタイム。2人揃ってよくもここまで噛み合わない話ができるもんだと感心するほど。
それどころか、後席から小僧が自分の髪をひっぱり始める。「やめなさい!」の言葉も虚しい。
フランスのSUVなんておしゃれなクルマに乗っていながら、旅行での渋滞の内情はやはりこんなもの。お菓子が飛び交い、歌が始まる。
運転手はひたすら運転に集中して何も気にしないのが、
気楽になれる唯一の手段だろう。
ところで……カジャーに初めて乗って、なんじゃこりゃと感じたことがある。
それが、ステアリングの軽さだ。据切りはまるで人差し指で動かせるほどの、
かつてのアメリカ車と同じくらいと言ったらいいだろうか。
駐車場を走り出すとまったく、路面の感触がわからないノーインフォメーションのフィーリング。
それともうひとつは、トランスミッションの特性。マニュアルミッションの構成をベースとする、デュアルクラッチ式であるために一般のトルコンのような発進時の大きなトルクが出にくい特性。そのために、トルコンの意識で運転すると発進にちょっと力のない感じがする。
フランス的ではないが好感触の”走り”の性能
ファーストコンタクトは、こうしたネガな部分が目立ったのだが、
この箱根旅を通してどんなふうに感じられていくのかが注目ポイントだ。
渋滞の厚木ICを抜け、オダアツ(小田原厚木道路)に入る頃には渋滞が解消。
一気に道が開ける。
厚木ICを抜けオダアツに行くには、分岐を右に進む。周囲をリードするため、やや強めの加速しながら右カーブへ。そこで、あの頼りないステアリングに、おおっという感動が湧いてきた。
これまでも速度が上がってくるとがらりとアシストを変えてくる特性には気がつくものだったが、ここからのフィーリングが実にいい。
加速とともに確実にロールする車の感触、その車体を保ちながらラインをトレースできる実感と安心感。いいじゃん…と思わず心の中で、声をあげる感じ。
その先のはハイウエイは規制速度70km/hとなるが、覆面が多いので慎重な運転が必要。仕事がら(!?) か、この道路は絶対に安全運転に徹することにしている。
そんな70km/hクルーズに、大きなボディの動きをしっかりと保持する印象があるのがこのステアリング。
締め上げられたようなフィーリングは、ちょっとフランステイストとは違うと感じられるが、動きがクリアで気持ちがいい。
こんな特性が出せているのならば、ごく低速ではフィーリングより何より軽いほどいい、と考えるのはかなりフランス的で納得。なるほど、と思い直す。
そしてこのステアリングの好感触を助けているのがサスペンションで、こちらもまた継ぎ目などではちょっと硬いと感じるものではあるが、緩さのないしっかりとした足腰が、自在の動きに呼応してくれる。
しかしテイストでいうとフランス流というより、インターナショナルな感じ。今回の走行条件では路面状態の収め方やいなし方は、オペルや欧州フォードのテイストに似ているとも感じた。
と思いながら、道はワインディングへ。空いた区間を気持ち良いペースで走るとこのサスペンションの硬さの意味がわかってきた。
箱根新道くらいのタイトな道では、軽い身のこなしが気持ちいい。初期の揺れを抑え込み、ゆっくりとした動きを見せるところに安心感がある。これよりもソフトであったならば、積載の多いときはちょっとしんどくなってくるかもしれない。
エンジンも1.2リットルターボとは思えない、トルクの太さを感じる。それもターボの存在感があまりなく、ノンターボの感触に近い。とりわけ、あまりアクセルを踏み込まない状態でも、リアルな加速感が得られるのも扱いやすい。
ただし、絶対的な加速が必要な時は、ちょっと今までと違った表情を見せるのも事実。
登坂での追い越しなどの際に、試しにアクセルを床まで踏んでみるとキックダウンスイッチを押し込むことになる。
そこまで踏み込んでもシフトダウンはそれほど早くなく、ちょっと待たされてダウンシフト。
この状況では2速下に落ちるので、エンジン音がかなり高まる。それも小排気量エンジンをぶん回す感じなので、ちょっと高級感はない。ここだけは残念なポイントだ。
しかしながら、このトランスミッションと付き合っていると、マニュアルミッション的な感触に好感を持つようになってきた。全てのギヤがダイレクトにつながるので、知らずにエンジンの特性を感じやすい。
また、通常のATのようにアクセルをべたっと踏んでいるだけでなく、マニュアルのように踏んで、戻してと操作すればある程度アクセル操作によってアップシフトができる。
そのあたりのリニア感を知ってしまうと、これはこれで悪くないなと思える。
余談だが、これってジェミニやアスカのNAVI5の感触で、デュアルクラッチによりもちろん洗練はされているが、ちょっと懐かしいことを思い出させてくれた。
ようやくホテルへ到着。今回イージーパーキングアシストは使わなかったが、車両360度を感知するパーキングセンサーと、解像度の高いリヤカメラは便利。SUVでも安心して駐車ができた。
……と思ったら2人とも就寝中、
無理に起こすと大変なことになるらしいので、まずは荷物下ろしから。
本来、専門のデザインのことが書けなかったが、それは次の機会に。また、燃費ももっと伸ばしてやるぞと心に決めた。
なんだか仕事になってしまった、旅行でした。
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