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追突事故の加害者が不起訴となった理由が不明なのは何故? 東名あおり運転裁判に実刑判決! 危険運転致死傷罪適用=法律の拡大解釈の功罪とは?【交通取締情報】

  • 2018/12/14
  • 「東新宿交通取締情報局」
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「東名あおり運転裁判に懲役18年の判決!」…すでにネットやTV等で報道されているが、興味深いのはこの歴史的とも言える国民感情vs法律の対決において法律が拡大解釈され、結果的に、ほぼ民意に添った判決が下されたということだ。果たして、この強引とも言える法律の拡大解釈が、今後の交通取り締まりにどんな影響を及ぼしていくのだろうか?

 まず、今回適用された、「危険運転致死傷罪」をおさらいしておこう。自動車運転致死傷処罰法の第二条と三条に、こう定められている。

☆危険運転致死傷罪
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
第三条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する

 このうち、被告が犯したのは第二条の四ということになるが、あくまでも「次に掲げる行為によって、人を負傷させた者、人を死亡させた者」という大前提がある。つまり、被告側も認めている「あおり運転」により「死傷事故」が起こったかどうかが、今回の裁判の争点となったわけだ。目に見える事実だけを追えば、被告は確かに「あおり運転」はしたが、その最中に被害者を死傷させたわけではなく、その後にクルマを高速道路の追い越し車線上に駐め、被害者を恫喝しただけであり、被害者を死傷に至らしめたのは、追突したトラックドライバーということになる。

 が、意外にも、当のトラックドライバーは昨年12月に、横浜地検によりあっさり不起訴処分となっているのだ。「起訴猶予」か「嫌疑不十分」かは明確にされていないが、どちらにしてもほぼ無罪に等しい。もちろん、このトラックドライバーは明らかにとばっちりを受けただけであり、駐停車禁止の高速道路上にしかも、三角表示板、発煙筒といった処置もせずにクルマを駐めた被告と被害者の方が悪いという意見もわからないではない。が、横浜地検がなぜ、不起訴処分にしたかを明らかにしていないというのもなんだかおかしな話だ。もしかして、今回の判決を正当化するための布石だったのかも知れない。この事件に関しての最近の報道や話題において、直接の加害者とも言えるこのトラックドライバーがどうなったか、についてはほとんど触れられていなかったあたりにも、どうもわりきれないものがあるのだ。

 とにかく、今回の裁判において、「あおり運転」「とうせんぼ」「追突事故」という3つの個別の事象を一連の流れと見て因果関係ありという理由で、「危険運転致死傷罪」が適用されたわけだ。もし刑が確定しそれが立派な判例となれば、今後、同様の事件に適用されることになる。が、法律の拡大解釈は判断がフレキシブルになる代わりに「どうとでもとれる」=言いがかりの根拠にもなるという二面性を持っている。現在、警察は車間距離不保持を「あおり運転」につながるとして気合いを入れて取り締まっているが、「車間距離不保持」=「あおり運転」が常説になってしまったら、例えば、自分の運転ミスにもかかわらず「後ろのクルマが車間を詰めてきたので慌てて車線変更しようとしたらハンドルを取られて事故った」などという言いわけがまかりとおり、それがえん罪を生む可能性だってあるということだ。

 この歴史的判決が、今後、どう活かされるのか? 注目です!




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