コンセプトX7 iパフォーマンス/i Visionダイナミクス/コンセプト8シリーズ/コンセプトZ4 難波治のデザインウォッチングフランクフルト・モーターショー編 1 BMW編
- 2017/09/21
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Motor Fan illustrated編集部 鈴木慎一
フランクフルト・モーターショーの会場となっているフランクフルト・メッセは、広大だ。世界中の自動車メーカー、部品メーカーが、最新モデル、コンセプトモデルを展示している。コンセプトカーのデザインをチェックするために、スバルの前デザイン部長である難波治さんと会場を歩いて回った。聞き手は、鈴木慎一MotorFan.jp編集長である。
9月12日、13日は、フランクフルト・モーターショーのプレスデーである。翌14-15日は、いわゆるトレードデー。
広大なフランクフルト・メッセ。まず、難波さんと向かった先は、会場の一番奥のホール11。BWM/MINIのホールである。ここはホール全体がBMW/MINI。ホールの中をクルマが走り回るという大きなスケールのホールだ。難波さんは、スバルの前デザイン部長で現在は首都大学東京の准教授である。
プレスデーから一夜明けたトレードデーになると、クルマの並べ方も前日とは違っている。プレスデーと同じ位置にクルマがないのだ。僕がまず、BMWで難波さんにコメントを求めたかったのは、i Visionダイナミクスだった。iブランドのセダンである。ところが、昨日まで置いてあった場所にクルマがない! 探し回っていると、まず目に入ったのは、コンセプトX7 iパフォーマンスだった。
コンセプトX7 iパフォーマンス
ーまずBMWのコンセプトX7 iパフォーマンスです。
難波:立派なSUVで7というだけあって、本当に堂々としていますけど、特に魅力的なところはそんなにないんですね。BMWは実際に現在、ちょっと全体に鮮度がないというか、テーマがやっぱりもう、古くさいですね。そういう感じがずっとしています。それは、このX7でもあんまり変えられてないです。
ーこのでっかいキドニーグリルはどうですか。
難波:まあ、これ、ショーモデルですからね、相当意識してやっていると思います。でかいキドニーグリルも、それからフラッシュサーフェスのドアハンドルも含めて、全部、ショーモデルということでやっているんじゃないですかね。最近はデザイン全体でやっぱりちょっと脅かしが多いじゃないですか。今回もどうしてもその傾向がありますね。
コンセプト8シリーズ
ー次は新しい8シリーズです。
難波:新しい8シリーズはオーソドックスなクルマとしてよくできて、魅力的だと思いますよ。「スポーティの定義」を全部ちゃんとしっかりと持っていますよ。バランスもいい、プロポーションもいい。それから、スポーティさも表現しているし、もう純粋にカッコいいっす。
ーこれは、そのまま市販されてもいいですか?
難波:もう、これはそういう感じがしますけどね。これってトヨタと絡んでる? レクサスのアンダーボディ使うとか?
ートヨタとの関連っていえば、それはZ4の方だと思いますけど。
難波:なるほどね。ちょっと縦横比がそれっぽいなーと思ったとこもあったものですから。でも、これはなかなか純粋にかっこいいと思います。ノーズの辺りもすごくいいですよね。うん。切れ味がいい。滑らかさと強さとが非常にうまくバランスされたクルマです。
ーああいうグリルのところとか凝ってますよね。ああいうのはデザイナーとしてやりたくなるものですか?
難波:やっぱり少し変化つけたいんだとは思いますね。いつもただの縦棒だけだと、キドニーグリルもつまらないですから。
ーじゃあ、薄いクルマのほうはこういうふうになって、厚いクルマはさっきのX7みたいにガーンっていうのになるんでしょうか?
難波:どうでしょうね、わからないですね。これでもテールランプとかすごく面白かったですよね。両脇がフィンのように立ってるじゃないですか。これはね、なかなか新しいですよ。見え方も面白い。いまやっぱりランプが面白いし、これランプがランプだけじゃなくて、もう空力デバイスのひとつになっているんじゃないですかね。カッコいいと思います。新しい世代のテールランプですよね。ただ、窓周りのクロームのフィニッシュとかは量産レベルじゃないですよね。やっぱりショーモデルとしての仕上げだと思いました。多分。もしくはクロームじゃなくて、こういうふうにアルミを磨いたようなようなものになっていくのかもしれないですけど。これはね、純粋にカッコいいと思っています。だから、従来の落ち着いたバランスなのかもしれません。
コンセプトZ4
ーZ4。これが次期スープラとかぶってるはずです。
難波:これはかっこいいですよ。
ーこれ、コンセプトなんで、Aピラーがないんですよね。
難波:ないです。ガラスだけ。
ーだからこれが将来市販されたとき、こうできるのかに、僕は非常に興味がある。
難波:これ、そうですね、明快でね。非常に強いキャラクターが全部スポーツカーの構成に役立っていますね。これもし、こういうツヤ消しの塗装じゃなかったら、またもうちょっと感覚も違った部分もあるかもしれない。それはそれで、もっと魅力的になったかもしれないですね。
ーこれ、僕は今までのZ4のなかで一番カッコいい気がしますけど……。
難波:今までの流れをどうのこうのって考えじゃないですね、今回は。だからこそトヨタとのプラットフォームの共用があるんで、まったく従来とは関係がないですね。Z4という名前だけ使っているだけで、継続の感じは全然しないですね。
ーでも、テールはBMWって昔の7シリーズこんなのありましたよね。
難波:これもさっきの8と同じですよ。テールランプ、同じですよ。これ、テーマとしては、リヤのバンパーの開口とかああいう形状も結局同じでしょ。ね? そういう意味ではサイドも似ていますから、すごく。やっぱり一貫していて勝手気ままなことはやっていないですね。うん。4は4なりに、8は8なりにって感じだと思うんで、こっちはライトウェイトだからもっと本当にスポーティスポーティしていますよね。
あのウイングのつまみ出しも、どうやって作るのかわからないですけど、大変だと思いますが。ノーズのこういう感じもいいじゃないですか。これはアストンマーティン含めて、王道ですよね。ノーズのなかにパワーが入っているっていうようなボンネットの膨らみがあって。凝ってますね。それから組み合わせ、ノーズの組み合わせがやっぱりちょっとまた新鮮になりましたね。また、日本の自動車メーカーの多くのデザイナーがこれ見て、「あ、真似しよう」って思うんですよ。また。ええ。
次ページは、いよいよi Visionダイナミクスにご対面です。
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