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サスペンション・ウォッチング | フォルクスワーゲン・ゴルフ5/ジェッタ:リヤサスにマルチリンクを採用

  • 2020/09/02
  • Motor Fan illustrated編集部
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FFといえばTBA——というスタンダードを作り上げたフォルクスワーゲン・ゴルフ。しかし5代目ではプラットフォーム展開からリヤには4リンクと称するマルチリンク式を採用していた。
STORY:國政久郎(KUNIMASA Hisao) TEXT:松田勇治(MATSUDA Yuji)

VW/AUDIグループは、2代目AUDIA3からリヤサスを複数リンクで構成してきた。同じPQ35プラットフォームを用いる5代目ゴルフ/ジェッタのリヤサスも、もちろん同形式だ。各リンクは台形を形作るように配置され、全体的な構成はAUDIがA4などに採用する「トラベゾイダル」式とも共通している。

図は上側が車両進行方向。トレーリングリンクで前後方向と回転方向への剛性を確保し、アッパー/ロワーリンクでストロークに対するキャンバーならびにトレッド変化を規制する。各リンク類は台形に配置され、車輪揺動軸への干渉が小さい位置にトーコントロールリンクを置く。矢印は青色が前後力を、オレンジ色が横方向の入力を示している。前後力に対してはトーコントロールリンクがトーを内側に向かせる方向に働き、ロワーリンクの車体側ピボットを回転の中心として破線で示したような動きを見せる。横力に対してはアッパーリンクとトーコントロールリンクが互いに逆方向の力を持ち、やはりトーをイン側に向ける動きを実現する。

上に掲載しているのが、VWによる作動の説明だ。複数リンクで構成されてはいるものの、「いわゆるマルチリンク」式のように、仮想転舵軸によるコントロールを主眼とはしていないと判断できる。ロワー側は大きく長いメインリンクと、車輪揺動軸との干渉が小さい位置に配したトーコントロールリンクで構成。このトーコントロールリンクの配置により、圧側、伸び側ともストロークが大きくなった場合には、ロワーリンクの車体側ピボットを中心として、ナックル側ピボットはトーを若干イン側に向ける方向に動く。

多くを欲張らず、シンプルにストローク時のトー制御に着目することで、スタビリティ確保を目的としている点がミソだ。試乗しても、まず感じるのは舵の剛性感の高さだが、走り全体のしっかり感に、リヤサスの剛性感とスタビリティの高さが大きく貢献していることは、確実に体感できる。

フロントサスペンション

試乗してすぐに感じたのは、ステアリングの電動パワーアシストがさらに洗練されたこと。手応えのしっかり感、回転の滑らかさといった点では、登場直後からトップレベルにあったが、EPSにありがちな「戻され感」などの雑味がいっそう少なくなった。SATで戻しても、40~50km/h程度の速度域ならスムーズにセンターまで戻り、もはやEPS云々というレベルは脱却した。個人的な好みからいうと、特に高G領域ではもう少しだけ手応え感を盛り込みたいところだが、それもこのレベルに到達したからこそ思えることではある。

ロワーアームはベースをプレス成形品とし、要所にリブ状の追加物を溶接した構造。長さ、幅ともたっぷりした設定が目立つ。ロワーアームの前側ピボットは、タイヤ中心より前方に設定し、横力に対するトー保持に貢献する。タイロッドはロワーアームよりやや高いものの、ドライブシャフトとはほぼ同じ高さに配され、バンプステア等の悪影響を最小限に抑える。また、ナックル側へほぼ平行に配置されていることで、伝達効率への悪影響も抑え込んでいる。基本中の基本ともいえる事柄だが、機構部の配置の都合上、なおざりにされているケースも少なくない。

ステアリングラックは、サブフレームとの間はブッシュ類を介さず剛結している。パワーアシストは電動タイプで、独立したラック駆動用ピニオン(★部)を持つ、ダブルピニオン方式を採用。アンチロールバーリンクはストラット直付け、レバー比は良好。フロントナックルは必要最小限の要素だけを残し、 あとは極限まで削り取ったかのような構成。昨今の欧州車ではスタンダードなものとなってきているが、ばね下重量の低減によるサス全体の動き、乗り心地の向上への貢献度は大きい。

サブフレームのメイン部は大きな鋳造品。ロワーアームのピボット部分は別体の、いかにも剛性の高そうな鋳造品をねじ留めし、たっぷりした容量のブッシュを介してアームをマウントしている。

リヤサスペンション

クルマ全体の動きは、昨今の大きな流れである「圧側の減衰をうまく活かす」味付けがなされている。ダンパーの圧側の減衰をしっかり効かせることで、ギャップに乗り上げた際など車体をあまり沈みこませることなく、伸びてゆく動きの中でしっかりと保持するような動きだ。ほぼ1.5tの車重でありながら、3名乗車でも車体のバウンスやピッチが連続することなく、一発でしっかりと収まるため、乗り心地は上々。ダンパーの動きにもガツンとくる部分はなく、「硬いが芯が軽い」といった印象の動きだ。

イラストではアルミ鋳造品に見えるアッパーリンクだが、実物はスチール製。転方向とキャンバー方向の力を補助的に受け持つ。リンク中央部を低く抑えた複雑な形状で、車室空間への干渉を避けている。ロワーリンクは、プレス成形のメイン部分にピボット部を溶接。全体の形状は舟形で、ハブ側にコイルスプリングをマウント。非常に長く設定されており、トー、キャンバーとも変化量をマイルドにしている。トレーリングリンクは要所にリブを立てているが、基本は板状。車体側ピボットを上に持ち上げ、ボディに食い込むようにして高い位置に設定し、アンチダイブ/スクワット効果を高めている。

リヤのナックルはフロント同様、やはり必要最小限の形状で構成され、さらに強度不要部分の肉抜きが徹底されている。ダンパーもナックル直付け、かつロワーリンクのマウント位置との関係によって作動効率を高める配慮が盛り込まれている。サブフレームはスチール製。パイプの機械加工品とプレス成形品を複雑に組み合わせて溶接している。

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