メルセデス・べンツGLB | セールス絶好調も納得。Gクラス譲りのデザインと3列シートの利便性は強烈な商品力
- 2020/10/22
-
安藤 眞
メルセデス・ベンツのSUVとしては9車種目となるGLBクラスだが、6月の日本上陸以来、すでに中核モデルとしての存在感を発揮中だ。本格オフローダー・Gクラスを彷彿とさせるスタイルと、最大7人乗車が可能なユーティリティの高さ。実際に乗ってみれば、人気が出るのも納得の1台だった。
TEXT●安藤眞(ANDO Makoto) PHOTO●MotorFan.jp
クーペSUVが全盛の昨今、あえてのスクエアボディが新鮮に映る
1997年のMクラスから始まったメルセデス・ベンツのSUV戦略。そのトリを務める形で登場したのが、このGLBクラスだ。セダン系のBクラスが5人乗りのハイトワゴン風であるのに対し、GLBは3列シートを備えた7人乗りのSUVとなる。
ボディサイズは、全長4650mm×全幅1845mm×全高1700mmと、日本の交通環境でも持て余さない大きさ。ちなみにBクラスと較べると、220mm長く、50mmワイドで、135mm背が高い。ホイールベースはBクラスの2730mmに対し、100mm長い2830mmとなっており、単純にBクラスのプラットフォームを使ってSUV化したクルマではないことがわかる。価格帯も512万円からと、100万円弱、GLBのほうが上級だ。
日本向けのラインナップは、2.0Lターボディーゼルエンジンを搭載したFWDのGLB200dと、2.0Lガソリン直噴ターボエンジンを搭載したAWDのGLB250 4MATIC SPORTの2種類。今回、試乗したのは後者となる。
まず、居住性からチェックしていこう。運転席のヒール段差は大きく、乗車姿勢は本格4駆風のコマンドポジション。ハイトアジャスターがいちばん下でも、ボンネットは端のほうまで見渡せる。
2列目席も、1列目同様の着座スタイル。シートには140mmのスライド機構が付いており、身長181cmの僕が座ると、最前端ではヒザ前の余裕はゼロ(というよりマイナス)、最後端なら120mm。頭上の余裕は約100mmと、十分にある。
シート肩口には3列目乗降時に使用するウォークイン機構用のレバーが、腰の横には折りたたみ時に使用するストラップが付いている。折りたたみ機構の作動はこのストラップが唯一なので、格納時にはクルマの両側に回り込まなければならない。レバーとストラップの機能が逆ならば、ラゲッジ側からも格納できて便利だと思う。
3列目の乗り込みスペースは、僕の体格では必要最小限。乗車空間も同様で、2列目席のスライドを最前端にしても、ヒザの前には30mm程度の余裕しか残らない。つま先は前席下に入るのでなんとか座れるが、大人なら短距離移動用と割り切ったほうが良さそうだ。
3列目を使用すると、ラゲッジの前後長も背もたれ上端でほぼゼロになるから、荷物を積んでの移動にも適さない。
クルマとの対話感が高く、飛ばさなくても運転が楽しめる
では、試乗に出かけよう。エンジンを始動すると、車外では直噴インジェクターのカチカチ音がして、ちょっとディーゼルっぽい音質だが、遮音はしっかりしており、乗り込んでドアを閉めれば気になることはない。
トランスミッションはデュアルクラッチ式8速AT。クラッチは湿式多板方式なので、発進は滑らか。変速ショックもほとんど感じない。1760kgという車重からすると、2.0Lエンジンというのはダウンサイジングの位置付けになるが、ターボラグらしきものはほとんど感じられない。
高ギヤ段に固定してジワジワッと加速すると、過給圧の高まりとともにトルクが乗ってくることが感じられるが、多くの場合、ATがシフトダウンしてエンジン回転数を上げに行くので、普通に乗っていればターボエンジンであることは意識されない。登り坂でも低回転のままトルクで押していくが、ディーゼルエンジンと較べると、エンジン回転数は1.5倍ぐらい回っていることが多い(レブリミットの差がそのくらいだ)。
乗り心地は総じて快適なのだが、試乗コースに悪名高い西湘バイパスが入っていたため、ジョイント乗り越し時にバウンシングの収斂が少し遅れる感じがあった。ドライブモードをSPORTに切り替えると、ドイツ車っぽい引き締まったフィーリングになるが、エンジンやトランスミッションの制御まで変わってしまうので、INDIVIDUALモードで脚だけSPORTにしておくと良いのではないか。
操縦性能は「俊敏」という感じではないが、操舵感はダイレクトで正確性が高いため、同乗者を不快にさせない滑らかな運転は行ないやすい。クルマとの対話感も高いため、飛ばさなくても運転は十分、楽しめる。
ちょっと驚いたのが、696万円という車両本体価格。あと4万円出せば、GLCならディーゼルエンジンを搭載した220d 4MATICに手が届く。装備の差までは精査していないが、3列目席の必要性が低いなら、GLCと乗り較べてから決めても良いのではないかと思った。
メルセデス・ベンツGLB 250 4MATIC スポーツ
■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4650×1845×1700mm
ホイールベース:2830mm
車両重量:1760kg
乗車定員:7名
最小回転半径:5.5m
燃料タンク容量:60L(無鉛プレミアム)
■エンジン
型式:260
形式:水冷直列4気筒DOHCターボ
排気量:1991cc
ボア×ストローク:83.0×92.0mm
圧縮比:10.5
最高出力:165kW(224ps)/1800-4000rpm
最大トルク:350Nm/1800-4000rpm
燃料供給方式:電子制御式燃料噴射
■駆動系
トランスミッション:8速AT
駆動方式:四輪駆動
■シャシー系
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク・Rディスク
タイヤサイズ:235/45R20
■燃費
WLTCモード:12.0km/L
市街地モード:8.8km/L
郊外モード:12.1km/L
高速道路モード:14.0km/L
■価格
696万円
SUVらしさマシマシ。GLBより引き締まった乗り心地とハンドリングも美点【メルセデス・ベンツGLA試乗】
2014年にデビューし、世界的にスマッシュヒットを記録したGLAがフルモデルチェンジを実施した。2代目はサイズアップを果たす...
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費...
- 2021/03/26
- インプレッション
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形...
- 2021/04/03
- インプレッション
日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に...
- 2021/02/20
- インプレッション
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこ...
- 2019/08/11
- インプレッション
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4と...
- 2021/06/28
- インプレッション
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ
フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chap...
- 2018/08/28
- 新車情報
マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善...
- 2020/04/26
- コラム・連載記事
マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエン...
- 2019/07/15
- テクノロジー
ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態
- 2020/04/19
- テクノロジー
林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えて...
- 2020/02/24
- テクノロジー
マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレイ...
- 2019/07/27
- テクノロジー
Motor-Fanオリジナル自動車カタログ
自動車カタログTOPへMotor-Fan厳選中古車物件情報
メルセデス・ベンツ GLB
GLB200d 4マチック AMGラインパッケージ 新車保証継承 純正ナビ フルセグTV 全方位...
中古価格 514万円
メルセデス・ベンツ GLB
GLB200d 4マチック AMGライン パノラミックスライディングルーフ 純正HDDナビ 36...
中古価格 614.2万円
メルセデス・ベンツ GLB
GLB200d 純正ナビ 全方位カメラ アダプティブクルーズコントロール パワーシート シートヒ...
中古価格 385.7万円
メルセデス・ベンツ GLB
GLB200d AMGレザーエクスクルーシブP 2年保証 レザーEXC 本革 サンルーフ 正規D...
中古価格 479.3万円
メルセデス・ベンツ GLB
GLB180 AMGラインパッケージ シートヒーター パワーシート 3列シート トランクスルー ...
中古価格 489.8万円
メルセデス・ベンツ GLB
GLB200 d 4MATIC AMGラインパッケージ 3列シート Bluetooth接続 ET...
中古価格 647.5万円