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内燃機関超基礎講座 | 4ストあれこれ。オットーにディーゼルにミラーに……ほかに何がある?

  • 2021/02/13
  • Motor Fan illustrated編集部
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Atkinson Gas Engine as shown in US Patent 367496(FIGURE:Wikipedia)

クランクシャフトが720度回転する間に1サイクル分の行程を完了する4ストロークサイクル。2往復するピストンのストロークを最大限に活かすことで、高い熱効率を引き出す。その4ストのさまざまな種類をご紹介しよう。
TEXT:高橋一平(TAKAHASHI Ippey)

現在、自動車用エンジンとして主流の座にある4ストロークは、ストローク毎に割り当てられる4つの行程と、ポペットバルブと呼ばれるキノコ型弁が特徴。行程をストローク別に分けたことで、新気と排気ガスが混ざり合うことが基本的になく、各行程でピストンのストロークを最大限に活かした確実な動作が可能となっている。

バルブをカムシャフトで駆動することから、作動遅れを意識する必要があり、かつてはあらゆる状態での中庸をとった余裕のある設定が必要とされ、理想的なタイミング設定が難しかったが、近年では可変バルブタイミング機構などの登場で、より正確で理想的なタイミング設定が可能となっている。ちなみに、圧縮行程でも意識的に吸気バルブを開いたままとして圧縮側の有効ストロークを減らすというアトキンソンサイクル(ミラーサイクル)もこれらの機構を応用したものだ。

他にも吸気バルブの開度を連続的に変化させることでスロットルとしての役目を持たせ、スロットルバルブを省略するというスロットルレス機構や、ガソリン直噴技術の導入など、現在主流のエンジン形式ということもあり、周辺技術の開発もめざましく、もはや他に代わるものが見当たらないという状態となりつつある。

今や最大熱効率は30%台後半を迎え、40%以上も実現している4ストロークエンジンだが、ここ数十年に渡って基本的な構造に大きな変化がないというのも、ある意味興味深いところだ。

Otto cycle [オットーサイクル]

最も一般的で基本的な4ストローク火花点火機関。圧縮比と膨張比が同一となっているために、熱効率を向上させるべく膨張比を大きくしようとすると、圧縮比も高くせざるを得ないというジレンマを持つ。高い圧縮比はノッキングにつながると同時にポンプ損失の増大も招くため、その設定が重要なポイントとなる。

Diesel cycle [ディーゼルサイクル]

あらかじめ燃料を混ぜた予混合状態の空気を圧縮するガソリンエンジンに対し、空気のみを圧縮し、そこで発生する熱を利用して筒内に噴射した燃料に点火するディーゼルエンジン。熱が充分に上昇する上死点付近で燃料を噴射すると同時に燃焼が始まり、筒内圧を一定に保ちながらピストンが降下していく。

Sabathe cycle [サバテサイクル]

乗用車などに用いられる高速ディーゼル機関の状態。極めて短い時間のなかで燃料を燃焼させるため、上死点前から燃料を噴射、点火することにより、点火から上死点まではオットーサイクルと同様の等容加熱状態となる。上死点以降は一般的なディーゼルと同様で、定圧加熱状態を経たのちに断熱膨張へと移行する。

Atkinson cycle [アトキンソンサイクル]

圧縮側と膨張側で異なったストロークを持つ。膨張側の長いストロークによりオットーサイクルでは回収不能な領域までエネルギーを回収し続けるため、オットーサイクルのそれと比べるとPV線図の“裾野”が右側に向って細く長く伸びている点が特徴だ。膨張行程の線の高さが大気圧近くまで下がっている点にも注目。

Miller cycle [ミラーサイクル]

吸気バルブを閉じるタイミングによって圧縮時の有効ストロークを短縮、実圧縮比を低くすることで高膨張比とのバランスを取るという手法。吸気バルブを早く閉じるものと遅く閉じるものがあり、その効果はほぼ同じだが、PV線図では上記のような違いとなって現れる。自動車用ではこの手法がアトキンソンサイクルとして使われている。

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