冷却装置が不要で省スペースかつ-40~85℃の広い温度域で作動可能 JTEKT「高耐熱リチウムイオンキャパシタ」は重量級乗用車へEPS搭載を可能にするに留まらない!? [人とくるまのテクノロジー展2018横浜]
- 2018/05/23
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遠藤正賢
自動車技術会主催の自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2018横浜」が5月23~25日の3日間、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催されている。開幕前の23日早朝、プレスブリーフィングツアーで展示内容をいち早く披露した5社のうち、JTEKT(ジェイテクト)を紹介する。
光洋精工および豊田工機をルーツとする操舵系および駆動系部品大手のジェイテクトは、昨年10月の東京モーターショー2017で「EPS用補助電源システム」として参考出品されていた「高耐熱リチウムイオンキャパシタ」を中心として、各種ステアリングシステムや駆動ユニットを出品している。
超高級サルーンやフルサイズSUV、ピックアップトラックなど重量級の乗用車や小型トラックに、油圧パワーステアリングに代えてEPS(電動パワーステアリング)を搭載可能とするには、瞬時に大きな電力を放電できるキャパシタを補助電源として追加する必要がある。
しかし、電気二重層キャパシタでは冷却システムとDC/DCコンバーターが、従来型のリチウムイオンキャパシタでも冷却システムは必要となるため、コストアップと搭載性の双方で大きな課題となっていた。
そこで、電解液の沸点を高めるとともに高温時の分解を抑制し、同時に低温時の凝固点も低下。さらに正負極材を変更し内部抵抗の上昇を抑えることで、冷却装置を不要とし省スペース化しつつ、-40~85℃の広い温度域で作動可能としている。
この「高耐熱リチウムイオンキャパシタ」を補助電源として用いることで、出力を最大45%向上させ、さらに電力ピークを抑えることでメインバッテリーの負荷を低減。何らかの不具合でメイン電源が落ちた時でも操舵補助機能を維持する、バックアップ電源としても機能する。また、油圧からモーターへの代替による燃費低減、そして自動操舵に対応するのはいうまでもない。
また、「高耐熱リチウムイオンキャパシタ」を「EPS補助電源システム高出力ユニット」として使用し、レクサスLCなどで採用されているラックアシスト式EPS「ラックパラレルタイプEPS(RP-EPS)」を組み合わせたものを、想定される使用例として展示。
市販化に向けてはさらなるコスト削減が必要だというが、JTEKTでは「高耐熱リチウムイオンキャパシタ」をプレス機や航空機、人工衛星や医療機器など自動車以外の用途にも幅広く活用できるものとしてアピール。もしその狙いが的中すれば、JTEKTの新たな事業領域のひとつにまで成長するかもしれない。
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