「e-Pedal」と「プロパイロット」は熟成不足だが「プロパイロットパーキング」はすでに熟練ドライバーを超える水準 【新型日産リーフ試乗インプレ】走りの性能と質感は確実に進化。だが全体的にはビッグマイナーチェンジの域を出ず
- 2018/05/07
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遠藤正賢
高速道路での走り、プロパイロットパーキングの性能は?
気を取り直して高速道路へ入ると、リーフが新型になって進化したことを感じ取れるようになる。その主なポイントは、加速性能と静粛性、ハンドリングと乗り心地だ。
約300kg軽いノートe-POWERが初代リーフと同じスペックのモーターを搭載したため、相対的に初代リーフは発進加速、高速域での伸びとも物足りなく感じられたが、新型では同等以上の性能に。パワートレインからのNVが少ないEVではかえって目立ちやすいロードノイズや風切り音も、初代に対しさらに減少している。
そして、重量物であるバッテリーをホイールベース間に搭載するため、リーフは初代の頃から重心が低くヨー慣性モーメントも少なく、車重が約1500kgに達するとは思えないほど軽快かつ安定感のある乗り味を備えていたが、新型ではそれがさらにレベルアップ。
10mmのローダウン、リヤトレッドの20mm拡大、ボディのねじり剛性15%アップ、ステアリングのねじり剛性10%アップと合わせ、前後ダンパーの減衰力が10%下げられ、リヤバンプストッパーがゴムからウレタンに変更されたことで、ロールを適度に許容しながら応答遅れがより少なく、かつ大きな段差を乗り越えた時の突き上げがよりマイルドになった。
日産自慢の「プロパイロット」は、反応速度に優れるモーターの方がエンジンより相性が良く、滑らかに挙動を制御してくれるものと期待していたのだが、残念ながら車線中央をさほど積極的に維持しようとせず、かつ巡航時は車間距離を取り過ぎで加速のタイミング・量とも遅く、停止時はカックンブレーキになりがちな傾向は、最初に搭載された現行セレナのガソリン車と何ら変わらない。
今回は「C1」こと首都高速道路都心環状線でも試したが、やはり少しでも暗い、白線が薄い、カーブがキツいなど、条件が厳しくなるとすぐに制御を停止する。また、ジャンクションでは本線ではなく支線に向かって自動操舵したり、他の車両に割り込まれてもなかなか減速せず適切な車間距離を取らなかったりすることもあり、単眼カメラだけでセンシングすることの限界を如実に感じさせた。
しかしながら、新型リーフが初採用となる「プロパイロットパーキング」は、熟練ドライバーを超えたと思わせるほど、非常に完成度の高い駐車の技を見せてくれる。
その主な流れは上記写真の通りだが、キッチリ左右対称かつ後方は適度に余裕を持たせた位置に駐車してくれるのは、見事と言うより他にない。なお、通常の車庫入れ駐車のほか、縦列駐車と前向き駐車にも対応しているのだが、その切り替えボタンが右側画面左下ということが直感的に分かりにくいのは要改善点だろう。
新型日産リーフの進化を総括すると、走りの性能と質感は確かにレベルアップしたが、荷室を除くパッケージングとシートがほぼ手付かずのままキャリーオーバーされるなど、全体的にはビッグマイナーチェンジの域を出ていない、というのが率直な印象だ。
今回日産がこのような形でリーフを世代交代したのは、2011~16年の中期経営計画「日産パワー88」で、ルノーと合わせて累計150万台のEVを販売するという計画が大幅未達に終わる一方、欧州や中国などでの電動化に向けた急激な動きへの対応に各自動車メーカーが追われる中、先駆者である日産はやがて来る他社のニューモデルに対抗できるクルマをいち早く投入する必要に迫られた、という事情がある。
初代リーフへの投下資本を全く回収できておらず、販売台数もジリ貧という状況で起死回生を図るには、こうするより他になかったのだろうが、そうした台所事情はユーザーにとって一切関係のない話である。また、「e-Pedal」や「プロパイロット」を、かえって事故を誘発しかねない状況が多い仕上がりのまま目玉機能としてリリースしたことにも、疑問を抱かざるを得ない。
【Specifications】
<日産リーフG(FF)>
全長×全幅×全高:4480×1790×1540mm ホイールベース:2700mm 車両重量:1520kg 最高出力:110kW(150ps)/3283-9795rpm 最大トルク:320Nm(32.6kgm)/0-3283rpm JC08モード交流電力消費率:120Wh/km JC08モード一充電走行距離:400km 価格:3,990,600円
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