先代レクサスLS600hのメカニズムを得て三代目へ進化 “走る伝統工芸品”トヨタ・センチュリーが21年ぶりに世代交代!
- 2018/06/25
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遠藤正賢
昨年の東京モーターショーにプロトタイプが参考出品された、トヨタブランドの頂点に立つショーファーカー「センチュリー」の新型三代目が6月22日、遂に正式デビュー。同日よりトヨタ店(東京地区は東京トヨペットおよび東京トヨタ)で発売された。
21年ぶりのフルモデルチェンジとなる三代目センチュリーの開発テーマは「継承と進化」。
全長×全幅×全高=65×40×30mm拡大され5335×1930×1505mm 、ホイールベースが65mm拡大され3090mmとなったエクステリアは、前後左右とも水平基調の面構成に、後席最重視であることを明確に主張する太く傾斜の少ないCピラーを継承。
フロントマスクは工匠が金型を約1カ月半かけて手彫りして作り込み、躍動する翼のうねりや繊細な羽毛の表情をより鮮やかに描き出した「鳳凰」エンブレムを継承・進化させながら、縦格子のフロントグリル奥には新たに「七宝(しっぽう)文様」を採用している。
側面ショルダー部のキャラクターラインには「几帳面」と呼ばれる、平安時代の屏障具(へいしょうぐ)の柱にあしらわれた面処理の技法を採用。端正に並んで走る2本の線を角として研ぎ出し、わずかな隙に淀みなく通した面を1本の線として際立たせることで、高い格調を表現した。
設定されるボディカラーは神威(かむい)エターナルブラック、摩周(ましゅう)シリーンブルーマイカ、飛鳥(あすか)ブラッキッシュレッドマイカ、精華(せいか)レイディエントシルバーメタリックの全4色。全色とも自己修復型対スリ傷性クリヤー「セルフリストアリングコート」を採用している。
このうち新開発の神威(かむい)エターナルブラックは、漆黒感を高める黒染料入りのカラークリアなどを含む7コート5ベーク構造。流水の中で微細な凹凸を修正する「水研ぎ」を2人の職人の手で約90分×3回実施し、さらに一点のくもりも残さないよう「鏡面仕上げ」を施す工程も追加される。
ショーファーカーにおいて最も重要な後席は、前述のホイールベース65mm拡大によってレッグスペースを拡大しただけではなく、スカッフプレートとフロアとの段差を15mm縮小、フロアマット装着時に段差をほぼゼロにすることで、乗降性をさらに改善した。
室内には、タモ杢を用いたブラウンまたはアッシュ杢を用いたシルバーの加飾を随所に用いることで前後席の空間を区切りながら、居室天井の中央部を上方へ一段高く凹ませる建築様式「折り上げ天井様式」を採用。さらに天井には、卍を組み合わせた「紗綾形(さやがた)崩し柄」の織物を用いることで、後席の格の高さを表現している。
そのほか、12chオーディオアンプと20個のスピーカーを搭載するとともに、11.6インチモニターをフロントセンターコンソール後背部に配置。Blu-rayディスクプレイヤーやSDカードスロット、HDMI入力端子、ボリューム付きヘッドホン出力端子2個を備え、さらにMiracastやDLNAにも対応することで、モバイル端末やPCに保存された映像・音楽の再生も可能にした。
また、後席アームレストの7インチ大型タッチパネルから、オーディオに加えエアコン、シート、リフレッシュ機能、カーテンなどを操作できる。
そして、最も重要な後席左側には、無段階に調整可能な電動オットマンや、座り心地を追求したリフレッシュ機能付き電動シートを採用した。
シート生地は、繊細なジャカード織り柄を採用した高級ウールファブリック仕様「瑞響(ずいきょう)」が標準で、カラーはグレー、ブラウン、ベージュの3色。本杢加飾はいずれもブラウンのタモ杢が組み合わされる。
また、54万8000円のメーカーオプションで、傷のない部分を厳選した上質な革を丹念になめした本革仕様「極美革(きわみがわ」を設定。カラーはブラックとフロマージュの2色で、本杢加飾はいずれもブラウンのタモ杢またはシルバーのアッシュ杢から選択可能だ。
走りのメカニズムは先代レクサスLS600hをFR化したものが基本となっており、381ps/510Nmを発する2UR-FSE型5.0L V8直噴+ポート噴射エンジンに1KM型224ps/300Nmのモーター、6.5Ahのニッケル水素バッテリーを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。絶対的な動力性能のみならず、燃費もJC08モードで13.8km/Lへと大幅に改善している。
前後マルチリンク式のアームには車高と減衰力を電子制御するエアサスペンションを組み合わせるとともに、18×7.5Jのノイズリダクションアルミホイールと、専用開発の225/55R18 98Hタイヤを装着。
ホットスタンプ材や構造用接着剤を多用したボディには、熟練の専任作業者が大量のサイレンサーやアスファルトシートなどの吸・遮音材を手作業で貼り付ける「音止め」を実施。さらに、車内に伝わるエンジンのこもり音を逆位相の音で打ち消す「アクティブノイズコントロール」を採用することで、室外の騒音から隔絶される圧倒的な静粛性と、走り出したことに気付かないほど滑らかな乗り心地を実現した。
安全技術も大幅にアップデートされ、ミリ波レーダーと単眼カメラを併用した「トヨタセーフティセンス」を標準装備。昼間の歩行者検知に対応するプリクラッシュセーフティ、ステアリング制御機能付きレーンディパーチャーアラート、全車速追従機能付きレーダークルーズコントロールを実装している。
そのほか、前後バンパーに超音波センサーを4個ずつ、リヤバンパーにはさらに準ミリ波レーダーを搭載。ブラインドスポットモニターとパーキングサポートアラートを採用した。
さらに、片側24個のLEDを内蔵したヘッドランプにより、照射エリアと遮光エリアを細かく配光制御するアレイ式のアダプティブハイビームシステムを搭載。また、発進時などの低速時に左右のLEDコーナリングランプを同時点灯することで、側方の歩行者認識を容易にしている。
クルマとして21年分の進化を遂げたのはもちろん、“匠の技”をこれまで以上に数多く採り入れることで、“走る伝統工芸品”としての価値も大幅に高められた新型三代目センチュリーの価格は1960万円。生産は先代センチュリーと同じく、トヨタ自動車東日本(旧・関東自動車工業)東富士工場が担当する。
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