トータルバランスの高さが人気 ハイトワゴンクラス4車種の比較 スズキ・ワゴンR、ダイハツ・ムーヴが揃う軽自動車で人気のハイトワゴン4車種まとめ
- 2018/11/05
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MotorFan編集部
軽自動車の市場を牽引してきたツートップ、ダイハツとスズキが送り出すハイトワゴンクラス4車種を総まとめ。ダイハツの主力のムーヴシリーズ、キャスト3モデル、ムーヴキャンバスと不動の軽ベストセラーワゴンRをピックアップ。
<b>ハイトワゴンクラスとは?</b>
全高1600㎜台でスイングドアを備えるのが基本的なスタイルとなっているが、唯一ムーブキャンパスがスライドドアを採用。程よい車格は運転しやすく、ユーティリティも充実している大定番カテゴリーだ。
持てる技術を結集したベンチマークモデル……ダイハツ ムーヴ カスタム・ムーヴ
長く付き合える飽きない意匠
全グレードに4WD車を設定
デビューして以来、早くも4年――今年の末でそうしたタイミングを迎えようとしているのが、ダイハツ軽自動車の主力モデルであるムーヴシリーズだ。
もっとも“主力”とは言っても、タントにウェイク、さらにはキャストなどと同じダイハツ・ラインナップ内にあっても、このところ人気は分散傾向。実際、2015年にブランニューモデルとして登場したキャストシリーズは、「軽自動車の主流がムーヴのようなカテゴリーから移行する可能性も踏まえての開発だった」と、エンジニア氏から耳にした覚えがある。
短いフロントフードに直方体のキャビン部分を組み合わせたボディの造形は、今となっては決して個性的とは言えないものの、誰もが飽きることなく長い期間に渡って付き合えるデザインという印象だ。
表情が控え目な標準モデルに、メッキパーツなどの光り物を多用し、開口部を強調することでよりゴージャスで押し出し感の強いカスタムモデルの2タイプを用意するというのは、今やこの種の軽自動車の定番と言っても良い手法である。
3気筒エンジンには自然吸気仕様とターボ仕様の2タイプを用意し、組み合わせるトランスミッションはすべてCVT。基本的に、すべてのモデルに4WD車も用意するのは、雪国の市場も重要視した、いかにも“日本の国民車”らしいポイントでもある。
使い方に合わせて選べる特別な3モデル……ダイハツ・キャストアクティバ /キャストスポーツ/ キャストスタイル
上級車並みの高質な内外装
見た目以上に機能性が充実
『生活を彩る自分仕様の軽自動車』というキャッチコピーとともに、2015年にブランニューモデルとして登場したのがキャスト。「スタイル」「アクティバ」、そして「スポーツ」と、明確に見栄えの異なる三つのバリエーションを用意するのは、開発当初からの既定コンセプト。もちろん、同一ブランドながらここまで明確に異なる個性を打ち出したことが、冒頭の「自分仕様」というフレーズの根拠であるわけだ。“Dモノコック”と称する軽量高剛性を謳うボディ骨格を筆頭に、搭載するパワーパックやシャシーなど、ハードウェアの多くは現行六代目ムーヴがベース。加えて、「ムーヴと同様」と評することのできるこのモデルならではの美点が、エクステリアやインテリア各部の、小型車にもまったくひけを取ることのない質感の高さだ。
リヤワイパーの間欠モードやルームミラーの防眩機能など、軽自動車ではコストダウンのために省略されてしまうことの多い“安全装備”が、「チーフエンジニアのこだわり」として設定されている点も見逃せない。
さらに、SUV風の装いが特徴の「アクティバ」では、実際により大きな最低地上高が確保されていたり、その4WD車では低ミュー路でさらに大きなグリップ力を得るためのデバイスが用意されていたりと、モデルごとに単なるファッションだけには留まらない機能性の追求が図られている点も見どころだ。
女性が喜ぶ便利さと可愛らしさ……ダイハツ・ムーヴ キャンバス
程よい全高+両側スライドにお洒落さと使い勝手を追求
ダイハツ最新の主力軽自動車のラインナップは、背の低い方からミラ(イース)、ムーヴ、タント、ウェイク……となっている。ただ、ダイハツではそうした主力とは別に「女性向け」を標榜する派生車種を用意するのが伝統である。別項にあるミラトコットもそのひとつだ。
ムーヴ キャンバス(以下、キャンバス)はその車名のとおり、マーケティング的にはムーヴの派生商品で、実質的にはムーヴコンテの後継機種にあたる(最初の半年ほどはコンテとキャンバスが併売状態だったが)。ただ、キャンバスはリヤにスライドドアを持つ点がベース(であるはず)のムーヴと大きく異なり、そのボディ構造はムーヴよりタントに近い。それに対して1.6m台という全高値はムーヴを含めたハイトワゴンの平均的なそれで、ダイハツがキャンバスをムーヴ一族と定義する最大の理由は、この全高にあるわけだ。
知ってのとおり、現在のハイトワゴン軽のリヤドアはスイング式がお約束。それに対して「ハイトワゴンの全高+スライドドア」というのが、キャンバスのハードウェアで、良くも悪くも最大の特徴となる。
その上で、女性ユーザーを想定したキャンバスは、往年の某ドイツ車を思わせるレトロ風もしくはポップな1〜2人乗車時に「荷物室」として使う際のリヤシートの使い勝手を追求している。エンジンが実用的な自然吸気のみなのも、キャンバスの目指すところを象徴している。
アイデア装備満載で王者復権を目指す六代目……スズキ・ワゴンRスティングレー /ワゴンR
エンジンと意匠は各3種類
使い勝手と視認性に隙なし
ワゴンRといえば、1990年代半ばから約20年間「不動の軽ベストセラー」であり続けた。しかし、そんなワゴンRも今や販売台数で各社スーパーハイトに譲るようになったのは「そういう時代」というほかないが、最近はムーヴの後塵を拝しがちなのは少し寂しいところだ。
まあ、ワゴンRがかつてのような絶対王者でなくなった理由はいろいろあるだろう。しかし、17年2月に発売された現行の六代目ワゴンRが「絶対王座よ、再び」の執念を込めた力作であることは事実だ。
現時点ではハイトワゴンとして最後発でもあるワゴンRは使い勝手でもスキがない。低いダッシュボードによる視界性能も抜群。テールランプをリヤバンパーに組み込むデザインは初代へのオマージュでもあるが、同時に荷室開口幅を最大限に確保する……という機能的な意味もある。
パワートレーンもなんと3種類。廉価な自然吸気に加えて、そのマイルドハイブッドも併売。そして最上級のターボもマイルドハイブリッドを組み合わせる。さらに一部に5速MTまで用意するスキのなさだ。
加えて、エクステリアデザインも3パターン用意するあたりには「一台でも多く!」の執念が伺える。他社のカスタムに相当する「スティングレー」を類例のないバイソン顔にすると同時に、標準の上級グレードに2階建てメッキグリルを用意。さらに、ベーシックグレードの専用フェイスが加わるわけである。
<b>バリエーションが豊富で幅広いユーザーに適応する</b>
販売台数ではハイトワゴンに及ばないもののワゴンR、ムーヴ、N-WGN、デイズというクルマは各メーカーの屋台骨を支える存在と言えるだろう。どの車種も際立った個性よりもクルマに求められる能力を高い次元で調和させ、買って損のない手堅い選択として認知されている。
全高は概ね1565㎜〜1665㎜で、軽自動車規格いっぱいまで広げた全幅と相まって、室内は広々としたスペースが確保されている。室内長、室内高ともにゆとりがあるので、大人4名で乗車した場合でも窮屈に感じることはないだろう。室内の広さを活かし、実用的な装備が満載されたクルマが多いのも特徴として挙げられる。パーソナルユースはもちろん、ファミリーユースも十分に許容できる能力を持つ。
全高が高めの設定となっているが、走りは安定志向でステアリングの操作に対する反応が良く、市街地走行はもちろん、カーブが連続するような場面でも小気味良く走れる。高度な運転支援システムが備わっているので、あらゆる状況で安心してドライブできるはずだ。燃費についてはクラスの水準を超える実力を発揮するので経済的なメリットもしっかりと享受できる。また、車種のバリエーションが豊富なので、老若男女問わず、幅広い層に適応できるのもワゴンの特徴と言えるだろう。すべてにおいて不足がない、まさに優等生揃いのカテゴリーと言える。
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