欧州ライバルに伍する動的上質さ スバル・レヴォーグとライバル車を比較試乗|VS アテンザワゴン×ゴルフ・ヴァリアント×CLAシューティングブレーク
- 2019/07/25
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MotorFan編集部
レヴォーグの動的質感はライバル車と同等以上の出来

レヴォーグは重心の低い水平対向エンジンと4WDによって、ハンドリングや操縦安定性の資質でほかより有利。
だから、ワインディング・ロードの走りではライバルたちに負けないことは事前から予想できていたが、それ以上に驚いたのが、動的質感が大きく向上していたことだ。
走りだしてまず感じたのが静粛性の高さ。日本人は特別にノイズにうるさかったため、日本車は欧州車よりも静かと言われていた。
しかし最近では欧州車がそこに気を遣い始め、本来的なボディの高クオリティも手伝って逆転しているように見える。スバル車はあまり静かではないイメージを持っていたが、ゴルフ・ヴァリアントやCLAシューティングブレークと同等にノイズは低い。
さらに200mぐらい走らせただけで、なんだか乗り味がシットリとしていると気が付いた。ステアリングを左右に振ってみるとフリクションが少なくスッキリとした手応えだ。
センター付近のわかりやすさ、微舵での確かな反応、セルフセンタリングも良好……これはもうプレミアム・カーの領域だ。事前知識のないままでの初試乗では、ビッグマイナーチェンジといってもサスペンションのセッティングの最適化ぐらいかな?と漠然と思い込んでいたので、かなりびっくりした。
後に聞けば、静粛性では吸音材の追加だけではなく、ドアガラスやリヤゲートガラスの板厚アップを始めとして徹底的に行なわれ、サスペンションはストローク延長、パワーステアリングはユニット換装と、モデルサイクルの中で行なうには大掛かり過ぎるほどに手が入れられているのだ。そうでなければ、ここまで大きな変化を感じることはないだろう。
乗り込んでいくうちに、もっと印象は良くなっていった。ステアリングは前述の良さに加え、舵を大きく切っていく時の滑らかな感触もよく、切れば切った分だけ正確に曲がっていくリニア感もある。
シャシーでは動きが上質になっているのが最も印象深い。従来のレヴォーグは、大げさに表現すれば、コーナーでストンと早めにロールして最終的にゴツンと底付きしてしまうようなイメージがあったが、新型はジワリジワリとロールが進行しつつ、明確な底付き感がなく、ある程度のところで粘ってくれる感覚がある。
もう少し詳しく言えば、ほんの初期は早めに動くがその後がジワジワ。それによってスポーティかつ機敏なコーナリングが体感でき、その一方で安心感やフラット感などの懐の深さも感じられる乗り味なのだ。
乗り心地が硬くなったような印象では決してなく、むしろしなやか。ロールはしていくものの、水平対向エンジンの低重心さを利して、ライバルの直4・横置きFFに比べてフラットライド感が高い。
2.0ℓターボ・エンジンは40.8kgmものトルクを誇るので、それはかなり頼もしい。登り区間はアテンザと同様にあまりアクセルを踏みこまなくてもグイグイと登り、さらに右足に力を込めれば300psのパワーであっという間に公道だったらいけない速度域に突入する。
特徴的なのは、ディーゼルや他のダウンサイジングターボに比べると、1000rpm台の低回転域と2000rpm以上のトルク&パワーが盛り上がる領域のギャップが相対的に大きいこと。
日常域のドライバビリティを考えれば、ギャップは少ないほうが有利ではあるが、CVTはギヤ比をササッと細かく変えてくれるので必要に応じて2000rpm以上を使うようになって問題はなし。それでいてターボが効いてグワッと力が盛り上がる楽しさがある。
CVTは一定以上のアクセル開度になると変速比が固定され、AT有段ギヤのようにステップ変速していく。これによってCVTが嫌われる最大の要因である加速時のリニア感のなさが払拭された。
CVTを毛嫌いする人にも「そんなに心配はいらないよ」とオススメできるが、ライバルのATやDCTのほうが一体感の高さでは上回っていることはきちんと言っておかなければならないだろう。とくにアクセルオフ時のダイレクト感には差がある。
それにしてもレヴォーグの動的質感の大幅な向上には驚かされた。秀逸な欧州のライバルと比べても肩を並べるほど。
もとは日本専用と言いながら後に欧州でも発売したことを皮肉る声を聞いたりするが、欧州に出て行ったからこそ、現地のライバルに負けない上質さを身に付けたと見ることもできるのだから、ユーザーにとっても幸せなことのはず。
インテリアは、リフレッシュでセンスが良くなってはいるものの、他の3台も実力が高い。ただ視界の良さはピカイチで、正義がある。誇りを持って乗ることができるはずだ。
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