内外装のデザインと走りの軽快感ならCX-8、居住性と悪路走破性ならデリカD:5 < 300km試乗:三菱デリカD:5> 1BOXの不利をものともしない操縦安定性と快適性の高さに脱帽。これはマツダCX-8の強力なライバルだ!
- 2019/08/16
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遠藤正賢
自他共に「唯一無二」と認めるオールラウンドミニバン、三菱デリカD:5が2月、デビュー12年目にして初のフェイスリフトをディーゼル車において実施。外観のみならず走りや機能も大きな変貌を遂げている。その新たなエアロ仕様「アーバンギア」の上級グレード「G-Powerパッケージ」7人乗り仕様に、都内から首都高速道路湾岸線、東京湾アクアライン、館山自動車道を経て千葉県南部の館山市内を周回する、総計約300kmのルートを走行した。
REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
PHOTO●遠藤正賢、三菱自動車工業

それほどに長い歴史を持ちながら、デリカシリーズ、そしてデリカD:5に明確な競合車が現れることはなく、「1BOXミニバンと本格SUVのクロスオーバー」という独自のポジションを維持し、月に1000台前後を販売していた。


その最たるものが、エクステリアデザインだろう。「アウトドア色が強すぎる」として主婦層から敬遠されがちだった傾向への対策として、新世代のフロントデザインコンセプト「アドバンスド・ダイナミックシールド」やマルチLEDヘッドライトを採用。さらにエアロ仕様の「アーバンギア」には専用のメッキグリルやロアスカート、18インチアルミホイールを与えることで、オンロードテイストをさらに強めている。
大きなマスを感じさせ、光り物をこれでもかと身に付けたその出で立ちは、分かりやすく高級だが威圧感に満ちており、公道でこのクルマに出くわしたら近寄りたくない、後ろに着かれたら早々に道を譲りたくなる…というのが率直な印象だ。

しかしながらインテリアは、掛け値なしに「上質」「洗練」「プレステージ」「フォーマル」「都会的」なものへと進化している。インパネとドアトリムが一新され、新たに木目調パネルも装着されたことで質感は劇的に向上。

またシートも、1列目はヘッドレストやショルダーサポート、2列目もヘッドレストの大型化で、ホールド性が改善された。
ただし、ステアリングスイッチの文字がアクセサリーONで非常に見づらくなることと、シフトレバーをNポジションより下に入れるとそれにEPB(電動パーキングブレーキ)のスイッチが遮られて操作しにくくなる点は玉に瑕か。


また館山市内の一般道でもNVHは非常に少なく、かつロールとヨーの出方も穏やかかつリニア。予想を遥かに上回るレベルで、快適かつ意のままにハンドリングを楽しめた。
デリカD:5は従来より「リブボーンフレーム」と呼ぶ環状骨格構造を採用しており、ボディ剛性は充分に高かったのだが、デザイン変更や歩行者脚部保護基準強化への対応に伴い、フロントエンドの構造を見直すことで、特にフロントまわりのボディ剛性をより一層高めている。


そして、4N14型2.2L直4ディーゼルエンジンは、全車に尿素SCR(選択還元触媒)を搭載し、幅広い領域で排ガス浄化性能を高めつつ、インジェクターを最新世代のものにアップデート。ムービングパーツの重量を総計約17%軽量化し、フリクションも最大27%低減したことに加え、ATを従来の6速から8速に変更しトルク容量も拡大したことで、最大トルク20Nmアップを実現している。
最後に、改めて思い知らされたのは、1BOXミニバンでしか得られない室内空間の広さ、開放感の高さだ。こればかりは、通常のSUVがどんなに頑張っても、1BOXミニバンには太刀打ちできない。だからこそ、1BOXミニバンの居住性とSUVの悪路走破性を兼ね備えたデリカD:5は、今なおオンリーワンの存在であり続けているのだろう。
この大幅に進化したデリカD:5に唯一対抗しうるのは、ミニバンの代替モデルとして生み出されたマツダCX-8のみ。価格帯・ボディサイズ・性能とも近い両車だが、内外装のデザインと質感、走りの軽快感を優先するならCX-8、居住性と悪路走破性を重視するなら迷わずデリカD:5を選ぶべきである。
【Specifications】
<三菱デリカD:5アーバンギアG-Powerパッケージ7人乗り(F-AWD・8速AT)>
全長×全幅×全高:4800×1795×1875mm ホイールベース:2850mm 車両重量:1940kg エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ 排気量:2267cc ボア×ストローク:86.0×97.6mm 圧縮比:14.4 最高出力:107kW(145ps)/3500rpm 最大トルク:380Nm(38.7kgm)/2000rpm WLTCモード平均燃費:12.6km/L 車両価格:420万7680円
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