新型BMW1シリーズ「M135i」をMINI JCWクラブマンと乗り比べてみた! 同じエンジンだしボディサイズもほとんど同じ……では走りは?
- 2019/11/22
-
MotorFan編集部 小泉 建治
BMW M135i xDrive
では実際に走ってみたらどうだったのか?
……まったく違った。
いや、本来の言葉の意味で言えば、さすがに「まったく違う」ということはないだろう。パワーも同じ、車重もほとんど同じなのだから、速さという軸で見れば似通った運動性能を発揮するのは当然だ。
ただ、読者のみなさんならわかっていただけると思うが、スポーツカーのポテンシャルや魅力というものは必ずしも速さだけで計れるものではない。
とにかく印象がまったく違ったのだ。
MINI JOHN COOPER WORKS CLUBMAN
違いを生み出しているのはサスペンションのセッティングと、ARBの働きだろう。
JCWクラブマンはゴーカート・フィーリングとも呼ばれるMINI伝統の味付けで、路面の凹凸をダイレクトに伝えてくるセッティングだ。
さらにはフラットな路面でも、アスファルトのザラザラ感が常にタイヤを通して伝わってくるようで、良くも悪くも昔ながらの味わいだ。
一方のM135i xDriveは一定のロールを許容し、しなやかに足が動く。ただしこちらも路面からのインフォメーションはしっかり伝え、さらにはタイヤの僅かなたわみまでも感じられるから安心してアクセルを開けられる。そこへARBの制御も加わり、FFベースのAWDとは思えぬほどアクセルを思いっきり踏みつけて曲げていけるのだ。
もちろんJCWクラブマンにもLSDが備わるうえ、AWDであることもあってトラクション性能は高い。ただ、サスペンションのセッティングの違いによる路面追従性はM135i xDriveに分があり、そうなるとエンジンまでが洗練されているような印象になり、逆にJCWクラブマンのエンジンには荒々しさを感じてしまうから不思議なものである。
エキゾーストサウンドも、心なしかJCWクラブマンの方がブロロロロッと「R」の音が強調されているような気がした。ただ、M135i xDriveの後にJCWクラブマンに乗り、その後にもう一度M135i xDriveに乗って再確認することはできなかったから、これについての真偽は定かではない。気のせい……かもしれない。スミマセン。
BMW M135i xDrive
BMW M135i xDrive
全長×全幅×全高:4355×1800×1465mm ホイールベース:2670mm 車両重量:1580kg 駆動方式:フロントエンジン・オールホイールドライブ(AWD)エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ 総排気量:1998cc 最高出力:225kW(306ps)/5000rpm 最大トルク:450Nm/1750-4500rpm トランスミッション:8速AT サスペンション形式:ⒻマクファーソンストラットⓇマルチリンク ブレーキ:ⒻⓇベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:225/40R18 WLTCモード燃費:12.0km/L 市街地モード燃費:8.9km/L 郊外モード燃費:12.2km/L 高速道路モード燃費:14.0km/L 車両価格:630万円
ともあれ、スポーツカーとしての完成度はどちらがが高いかと聞かれれば、M135i xDriveと答えるしかないだろう。
だが、これをもって「M135i xDriveが優れていて、JCWクラブマンが劣っている」という結論には至らないのがスポーツカーの面白いところだ。
好みにもよるだろうが、スポーツカーを操っているという実感はJCWクラブマンのほうが得やすいとも言え、とりわけ低い速度域でも欲求が満たされるのはJCWクラブマンのほうだろう。
いずれにせよ、これだけコンポーネントを共有しながら、ここまで違うキャラクターに作り込んでくるとは、BMWもMINIも天晴れというほかない。
MINI JOHN COOPER WORKS CLUBMAN
MINI JCW CLUBMAN
全長×全幅×全高:4275×1800×1470mm ホイールベース:2670mm 車両重量:1600kg 駆動方式:フロントエンジン・オールホイールドライブ(AWD)エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ 総排気量:1998cc 最高出力:225kW(306ps)/5000rpm 最大トルク:450Nm/1750-4500rpm トランスミッション:8速AT サスペンション形式:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡマルチリンク ブレーキ:ⒻベンチレーテッドディスクⓇソリッドディスク タイヤサイズ:225/40R18 WLTCモード燃費:12.1km/L 市街地モード燃費:8.9km/L 郊外モード燃費:12.3km/L 高速道路モード燃費:14.2km/L 車両価格:568万円
FFでも心配無用! 新型1シリーズはバリバリBMWだった【試乗インプレッション:118i】
新型1シリーズが日本に上陸した。これまでクラス唯一のFRレイアウトを採用し、それが最大のアイデンティティでもあったのだが...
新型BMW1シリーズに向かって「眠い」とボヤいたら、海辺や大草原に連れていってくれた! 活性化プログラムが微妙に面白い
日本に上陸した新型BMW1シリーズ。FF化されて、BMWらしさはどうなった? ……なんて意気込んで試乗に臨んだのだが、いかんせん...
- 前へ
- 2/2
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebこれが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費...
- 2021/03/26
- インプレッション
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形...
- 2021/04/03
- インプレッション
日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に...
- 2021/02/20
- インプレッション
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこ...
- 2019/08/11
- インプレッション
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4と...
- 2021/06/28
- インプレッション
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ
フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chap...
- 2018/08/28
- 新車情報
マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善...
- 2020/04/26
- コラム・連載記事
マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエン...
- 2019/07/15
- テクノロジー
ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態
- 2020/04/19
- テクノロジー
林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えて...
- 2020/02/24
- テクノロジー
マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレイ...
- 2019/07/27
- テクノロジー