〈試乗記:メルセデス・ベンツGLE〉3列シート7名乗車のプレミアムSUVは、まるで高級サルーンの如し
- 2019/12/04
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塚田 勝弘
ウルトラスムーズな乗り味
パワーは低回転から密度の濃い加速を引き出すことができ、しかも9速ATのウルトラスムーズな変速フィールもあり、右足を少し踏んで戻すだけで速度のコントロールが可能なジェントルな味付けになっている。「スポーツ」モードにするとより容易に速さを引き出せるものの、操舵感はその巨体にふさわしいもの。速さとは裏腹に、どこかに飛んでいってしまうのではないか、という不安はなく、地に足が付いた安定性が光る。電子多板クラッチにより可能な連続可変トルク配分が効いているはずだが、公道を走らせている分には察知するのは、難しいのではないだろうか。それほど自然なコーナーワーク、加減速になっている。
一方の「GLE 450 4MATIC スポーツ」。Sクラスにも積まれている直列3.0Lエンジン+ISGの組み合わせは、ディーゼルよりもスムーズかつ軽やかな加速フィールが印象的だ。低速では250Nmに達するモーターアシストと、500Nmのエンジントルクにより巨体を感じさせずに速度を乗せていき、高速域で追い越しをかけるようなシーンでは、軽い吹け上がりで欲しい速度域に即達する。試乗車のタイヤは、ピレリの「P ZERO」で、サイズは215/50R20。乗り味は、30kg重い「GLE 400 d 4MATIC」と大差なく、こちらも大きなブーツを履いたようなジェントルで重厚感が漂う。
最後に、乗降性とユーティリティをチェックしておこう。
1列目はAピラーが立ち気味なので頭上には余裕があるが、よじ登るように高いフロアは小さな子どもやお年寄りでは少々荷が重いかもしれない。エアサスペンション装着車は、車高を下げることで乗降や荷物の出し入れが多少容易になるが、ランドローバーやランドクルーザーなどと同じように、ヨイショという感じで乗り降りする。
この1列目は、座面、背もたれともにシートサイズが大きく、高級SUVにふさわしい快適性を備えている。2列目は、前後100mmの電動スライドが可能。しかも先代よりも69mmも膝回りが広くなったことで、3列目乗車時でも空間を都合し合うことが容易にできるのは美点だろう。
3列目の乗降は、2列目の電動前後スライドを使ってスペースを確保してから行う。床面が1列目よりも高くなっているのと、全高が先代よりも低くなったことで、頭上と足元には気を使う。座ってみると身長171cmの筆者でも短時間なら座れるシートサイズ、頭上、足元空間が残っているものの、短時間、非常用の域を出ない。ただし、子どもや小柄な人なら長距離でも実用になりそう。
3列目を起こした状態だと荷室容量は160Lとミニマムだが、2列目と3列目を両方倒すと2055Lまで拡大する。3列目を格納すれば日常使いには不足はない。なお、エアサスペンション装着車は約40mm車高を下げることが可能で、大きな荷物や重い物でもより楽に出し入れできそう。また、開口幅もかなりワイドなので、ゴルフバッグやスーツケースなどの積載も容易にできそうだ。
メルセデス・ベンツGLE400d 4MATIC Sports
全長×全幅×全高:4940×2020×1780mm
ホイールベース:2995mm
車両重量:2420kg
エンジン形式:直列6気筒DOHCディーゼルターボ
排気量:2924cc
ボア×ストローク:82.0×92.3mm
圧縮比:15.5
最高出力:243kw〈330ps〉/3600-4000rpm
最大トルク:700Nm/1200-3000rpm
燃料タンク容量:85L
トランスミッション:9速AT
駆動方式:F・AWD
乗車定員:7名
タイヤサイズ:275/50R20
WLTCモード燃費:11.1km/L
車両価格:1109万円
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