冬休みにオススメ! 千葉県の房総半島をイタリアの熱血ホットハッチで駆け抜ける アバルト595コンペティツィオーネの5速MTは週末ドライブの最高の相棒だった〈試乗記:ABARTH 595〉 PR
- 2019/12/29
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MotorFan編集部 小泉 建治
とにかく熱く、過激なスポーツカーを生み出すことで知られるイタリアの名門、アバルト。その魅力溢れるラインナップのなかでも究極の存在と言える「595コンペティツィオーネ」を孟冬の房総半島に連れ出し、ワンデードライブを愉しんだ。
■テストカー:アバルト595コンペティツィオーネ 5速MT
■ロケーション:千葉県 房総半島
REPORT●小泉建治(KOIZUMI Kenji)
PHOTO●宮門秀行(MIYAKADO Hideyuki)
サーキット直系のテクノロジーで武装
アバルト595ほどホットハッチの名に相応しいクルマもないだろう。全長約3.7m、全幅1.6mあまりのコンパクトなボディに強力なエンジンと鍛え上げられた足まわりを組み合わせ、スーパースポーツ顔負けの速さとドライビングプレジャーが味わえる。
とりわけ最上級グレードの595コンペティツィオーネには最高出力180ps、最大トルク250Nmという強心臓が与えられ、パワーウェイトレシオは6.2kg/ps、0-100km/h加速に要する時間はわずか6.7秒と並外れた動力性能を誇っている。
このコンペティツィオーネは5速RMT(クラッチ操作を必要とせず、ATと同じように運転できる「ロボタイズドMT」の略で、アバルトではATモード付シーケンシャルトランスミッションと呼ぶ)のみならず、昔ながらの3ペダル式5速MTも選択可能だ。
さらにはサベルト製スポーツシート、ブレンボ製4ポッドフロントブレーキキャリパー、コニ製FSDショックアブソーバー(595コンペティツィオーネはフロント&リヤに、595トゥーリズモはリヤにのみ装着)など、その武装パーツを見るに、もはやサーキットスペックと呼んで差し支えない。
だが、晴れて595コンペティツィオーネのオーナーになれたとしても、多くの人が年中サーキットにばかり行くわけではないだろう。毎日の通勤、買い物、そして週末のドライブで活躍してもらわねばならないはずだ。
そんな日常シーンにおける595コンペティツィオーネの魅力を探るべく、日帰り250kmほどのワンデートリップに連れ出した。
目的地は千葉県の房総半島だ。東京からのアクセスが良く、海沿いの眺望が愉しめ、ほどほどのワインディングもあり、それでいて寒い季節でも路面凍結の心配がない。冬のドライブルートとして、関東圏在住の読者のみなさんにオススメ出来るロケーションである。
早朝、東京は新宿にある編集部を出発し、首都高速と東京湾アクアラインを経由して館山自動車道に入る。
595コンペティツィオーネに乗って誰もが最初に驚かされるのが、アバルト御謹製の「レコードモンツァ」が奏でるサウンドだろう。
左右4本出しのエキゾーストエンドは停止状態から迫力のあるアイドリング音を轟かせているが、そこからアクセルペダルを踏み込めば、まさに快音と言うほかない高らかなエキゾーストノートを歌い上げる。
このレコードモンツァはとても凝ったつくりになっている。エキゾーストマニホールドから後方に伸びるエキゾーストパイプは、サイレンサーの手前で三つ叉に分かれ、二本はそのまま外側のエキゾーストエンドへ、一本はいわゆるタイコ部と呼ばれるサイレンサーを経由して、内側の二本のエキゾーストエンドへつながる。
そして三つ叉の手前には排気バルブが備わっている。低負荷時には外側二本へのバルブは閉じられ、排圧を高めて低速域のトルクを稼ぐとともに音量も抑え、高負荷時には外側二本への排気ルートも解放することで排気の抜けを良くし、伸びのいい回転フィールと弾けるようなサウンドを実現しているのだ。
いったいどれだけ手間がかかってんのよ、と言いたくなるような贅沢なエキゾーストシステムなのである。
現行ラインナップにおいては、四桁万円もするようなスーパースポーツモデルでもなければ、なかなかこれだけの快音は楽しめないのではないか。ああそうだ、ドゥカティ・パニガーレV4であれば280万円ほど用意するだけで同じくらいの快感に浸れるだろう。ただしタイヤが2本しかないことをお忘れなく。
いずれにせよ、このレコードモンツァのおかげで一定速度での高速巡航も退屈になることはない。
そして何より感心したのがペダルレイアウトだ。Aセグメントという、軽自動車を除けば最小クラスとなるコンパクトなボディとなれば、当然ながら足元スペースは厳しい。とりわけ右ハンドル車はフロントのホイールハウスの干渉を受けやすく、3つのペダルを配置しなければならないMT車となるとレイアウトの自由度などないに等しい……はずなのだが、595コンペティツィオーネにはペダル類のオフセットがなく、アクセルもブレーキもクラッチも然るべき場所にあって違和感なく操作できる。ヒールアンドトーも思いのままだ。
さらにはセンターコンソールをわずかにえぐり、しっかりフットレストまで用意している! スポーツドライブをする上では、左足をフットレストに置いてしっかりと身体を支える必要があるのだが、アバルトの開発陣はしっかりそれを理解し、販売ボリューム的には少数派であろう右ハンドル車といえども手を抜かなかった。
そんなわけで、頻繁なシフトチェンジを必要としない穏やかな海岸沿いの道でも、何かとチャンスを見ては無駄なシフトチェンジを繰り返してしまう。ブレーキを掛けて止まればいいだけの赤信号でも、わざわざシフトダウンしてしまう。回転合わせのために中ブカシを入れると、前述のレコードモンツァがいちいち勇ましくブボッと吠えてくれるから快感も倍増だ。
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