【毎日更新・人生最高の3台(森口将之編)】第3位:スバル360/第2位:プリンス・スカイライン2000GT-B/第1位:トヨタ・スポーツ800 【最高の国産車・ベスト3】軽快きわまる身のこなしのヨタハチは、日本らしいスポーツカーだった(森口将之)
- 2020/08/22
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森口 将之
これまでの人生において、所有したり試乗したりした国産車の中からベスト3を自動車評論家をはじめとする業界人に選んでいただく本企画。森口将之さんの生涯最高国産車は、トヨタ・スポーツ800。同時代の名車、2000GTよりも操る楽しさは上だという。
TEXT●森口将之(MORIGUCHI Masayuki)
第3位:スバル360(1958年-)
「フランス車のようなソフトな乗り心地は本当に驚いた!」
若い頃にカー・マガジンというエンスー雑誌の編集部にいたこともあり、その後現在までヒストリックカーの取材が多く、メジャーな車種はひととおり体験できた。そこで今回はその頃のモデルから選ばせていただく。まず3位はスバル360だ。
たしかに美しさではトヨタ2000GT、エンジンでは日産スカイライン2000GT-Rをまず思い出す。しかしスバル360にはそれらとは違う凄さがあった。今の軽自動車よりはるかに小さいのに大人4人が乗れるし、航空機技術を生かした軽量ボディのおかげで満足に加速するし、フランス車のようなソフトな乗り心地は本当に驚かされる。
箱根で乗ったときもあって、ギアは1速しか使えず、スピードは15㎞/hぐらいしか出なかった。つまり人間より遅かったけれど、逆にクルマを箱根の山の上まで持ってきてくれたオーナーに感謝したくなった。
第2位:プリンス・スカイライン2000GT-B(1965年-)
「ハコスカ2000GT-Rよりも荒削りだが、たくましさを感じる」
カー・マガジン編集部に入って間もない頃。スカイラインの特集本を作ることになり、歴代スポーツモデルを集めて日産のテストコースで取材をした。
往復ともに全車自走。新人の僕が担当したのが、もっとも古いS54Bだった。3基のウェーバーキャブレターを唸らせ東北自動車道を往復。次のハコスカ2000GT-Rと比べると荒削りだったけれど、それが野武士っぽいたくましさで、昔の日本グラングプリでポルシェ相手に戦ったシーンが、見たこともないのにフラッシュバックしてきた。
ところが帰り道。途中で給油するとトランクの床からガソリンがダダ漏れ。レース用タンクを装着していたので給油口が筒抜けだったのだ。周囲にいた先輩たちは「洗礼だよ」と笑っていた。いい時代だった。
第1位:トヨタ・スポーツ800(1965年-)
「頭を使った速さにライバルよりもインテリジェンスを感じた」
やっぱり1位はトヨタ2000GT、じゃなくてヨタハチことスポーツ800だ。2000GTは美しすぎるし、走りはGT的。操る楽しさならヨタハチが上だ。
昔からシングルやツインのモーターサイクルに乗っていたので、空冷の水平対向2気筒の鼓動は好みだったし、航空機のノウハウを活用した空力的で軽量低重心のボディには感心した。足元を覗くとフロントサスペンションのトーションバーがむき出し。おかげで軽快きわまる身のこなしと安定したコーナリングが満喫できた。
ライバルだったホンダのS600やS800も何度か乗ったけれど、頭を使った速さにインテリジェンスを感じるヨタハチのほうが好みだった。なにしろ耐久レースで無給油を武器に優勝してしまったのだから。日本らしいスポーツカーだと思う。
選者:森口将之(もりぐち・まさゆき)
【近況報告】
愛機トライアンフ・ボンネビルのリヤサスペンションを交換した。昔ながらの2本サスなので交換は簡単。なのに走りは激変。クルマより手軽にカスタムを満喫しています。
【プロフィール】
カー・マガジン編集部を経てフリーに。2輪車、自転車、公共交通などモビリティ全般を守備範囲とする。フランス車を中心に乗り継ぎ現在の愛車はルノー・アヴァンタイム。
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