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陸上自衛隊:【正月特集】戦車の射撃、10式戦車、74式戦車、そして90式戦車の「発砲炎」を見る

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90式戦車の射撃を背後から見ている。戦車砲の砲口から出現した発砲炎は巨大だ。炎の外縁部には衝撃波による大気の揺らめきも見える。

激動の2020年を乗り越え、2021年を迎えました。あけましておめでとうございます。ご自宅で新年を過ごすのに最適と思われる戦車の射撃をご覧ください。10式戦車、74式戦車、そして90式戦車の「発砲炎」を紹介します。
TEXT&PHOTO◎貝方士英樹(KAIHOSHI Hideki)

発砲炎(はっぽうえん)とは、大砲や戦車砲、ライフルや拳銃など「銃砲」の射撃時に銃口・砲口の先に発生する火球のことを指す。銃砲は火薬の燃焼高圧ガスを利用して弾丸を高速射出するもの。このとき、銃口・砲口からは弾丸とともに燃焼ガスなどが噴出し、強烈な閃光を発する。これが発砲炎。英表記ではマズルフラッシュなどという。

10式戦車の射撃。車首の車高を落とし、上り勾配へ乗り上げ、自車の露出を低減させた姿勢で射撃する稜線射撃。放たれた徹甲弾の弾芯が高速で飛翔している。
10式戦車の走行間射撃。高速走行中に激しいスラロームを行ない、その間に射撃している。砲口はピタリと目標を捉え続け、もちろん命中する。
射撃を終えた10式戦車が退場するさいに見せる急旋回。砲口を車体後方の目標地域へ向けたまま急激に右折中、内側の右キャタピラは浮き上がっている。左側の足周りはフルストロークしており、急激な姿勢変化に対応中だ。10式戦車の優秀な脚周りがわかる瞬間。高性能なフットワークに支えられて射撃が成り立っている。
陸上自衛隊、10式戦車。

戦車の発砲炎はとくに凄まじく、装薬量や気象条件にもよるが、おおむね車体サイズ以上の発砲炎が出現する。戦車の射撃音は「ドカン」というよりも「カッ」という表現に近い音で、ほぼ同時に伝播してきた衝撃波を体全体で感じるものだ。放たれた弾頭は瞬時といえるごく短い時間で目標へ達し、命中、標的を貫通もしくは破壊する。

74式戦車の稜線射撃。発砲炎の周囲に見える飛沫状のものは土手の草に付着した水分が弾き飛ばされたものと推測。左の発砲炎はもう1両の74式戦車によるもので、同時射撃している。
陸上自衛隊、74式戦車。稜線射撃を十八番とする。
90式戦車の射撃。雨天後の射撃は周囲の水分が水蒸気となって現れるようで、迫力満点である。
陸上自衛隊、90式戦車。車首にドーザブレード(排土板)を取り付けた車両。

こうしたことが展開されるのが陸上自衛隊・富士総合火力演習だ。見学スタンドの目前で射撃が行なわれ、発砲炎を間近に見るには最適の機会。ここで紹介している写真も総火演で撮影したものだ。射撃というものがどういうことなのか、それがよくわかる機会である。今年は開催できるようになってほしいものだ。

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