軽ワゴンの新たなるベンチマーク 〈新型日産デイズ公道試乗〉フーガ並みの広さ、キューブ並みの静かさ…体感的にはそのレベルを超えている!
- 2019/05/06
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遠藤正賢
3月28日に新型二代目へとスイッチした軽ワゴン・日産デイズに、同社本社がある横浜周辺で試乗。今回もエアロ仕様「ハイウェイスター」のターボとNA、それぞれのFF車に試乗した。追浜工場内のテストコース「グランドライブ」では見えなかった、真の実力とは。
REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●遠藤正賢、日産自動車
【新型日産デイズ最速試乗】メカニズムの一新で静粛性が劇的に向上。NAも軽快だがターボ車のゴキゲンな走りに脱帽!
追浜のテストコースでの試乗、発売当日の発表会、そして今回の公道試乗と、三度新型デイズを目にして改めて実感させられるのは、日産が「パーシブド・クオリティ」(perceived quality)と呼ぶ、見た目品質の高さ。
追浜で初めて新型デイズハイウェイスターを目にした時、遠目にはそれをセレナハイウェイスターと見紛うほどだったが、それは内外装の造形だけではなく品質においても変わらない。
むしろこの新型デイズに対し、日産車で見た目品質において匹敵するのはセレナやエクストレイルなどのCセグメントカーがやっとで、それを上回る比較対象はインフィニティ系の車種のみ、というのが率直な印象だ。
今回テストしたのはターボ車が標準内装、NA車がオプションの「プレミアムコンビネーションインテリア」だったが、後者ではより一層強く、そのクオリティの高さを見せつけられる。
初代デイズも決して見た目品質は低くないどころかむしろ高かったのだが、日産の開発陣が新型デイズでこの「パーシブド・クオリティ」向上にかなりのこだわりを持っていたであろうことは、プレゼンテーションの中で「登録車メーカーである我々日産」という言葉が異口同音に聞かれたことからも窺える。
そして同様に大きな開発テーマとして掲げられていたのは、後席と荷室の空間、小物入れの充実度、静粛性、加速性能、予防安全性能の5つ。これらを一つずつ、改めてチェックしていこう。
まず後席と荷室の空間だが、これを拡大するために、ホイールベースを65mm延長して2495mmとし、これを実現するためにパワートレインも一新し小型軽量化、エンジンルームを65mm縮小している。
その結果、後席のニールームを70mm延長し710mmとして、足を組めるほどの広さを実現した。これは日産開発陣によれば「フーガなみの広さ」だそうだが、あくまで数値上の話であって、体感的にはそれ以上と言っていい。これは、全高がフーガの1500mm(370GT)に対しデイズは1640mm(FF車)と圧倒的に高く、必然的に背中が起きたアップライトなポジションとなっているのが主な要因だろう。
人間が持つ空間把握のセンサーは上下方向に最も敏感で、前後左右方向は意外に鈍感…というのはあくまで筆者の経験則だが、ミニバンが代替わりで全高を下げると軒並み、寸法上は同程度の室内空間を確保していてもユーザーからソッポを向かれている歴史を見るに、そう大きくは外していないはずだ。
ただし、身長176cmの筆者にはシートサイズが絶対的に不足しており、フィット感・ホールド性ともフーガのそれには遠く及ばない。上体をより広い範囲で支持するよう、中折れ形状の背もたれパッドを採用したというフロントシートも、フィット感こそ良好だがサイズとホールド性に関しては大きく変わらなかった。
荷室の奥行きは135mm拡大され、後席を最も後ろに下げた状態でも385mmが確保されているが、実際に手荷物や撮影機材を積んでみても「これだけあればスーパーマーケットで食料品を買い込む程度なら全く困らないだろう」というのが率直な印象。5:5分割可倒式の後席背もたれを倒すと、若干ながらその部分に段差ができるのは残念ではあるが、長尺物や大きな箱物を積むのに苦労するほど傾斜が強くないのは救いか。
小物入れは単純に数が増えただけではなく、それぞれの形状や使い勝手もよく煮詰められている。また、助手席側ドアトリムに車検証・説明書入れを収めるボックスを設けたのはアイデア賞ものだが、フタが上端のダイヤル式ロックと各部の溝&フックで保持する構造となっているため、その開閉、正確には脱着が決して容易ではない。
「車検証やメンテナンスノートは車検・点検の時にメカニックが使うだけ。説明書はまず読まれない」という、極めて現実的な視点に立った設計なのだが、わざわざメーカーが自ら、日常点検と正しい使い方の学習からユーザーを遠ざけるのは、いかがなものだろうか?
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