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高い!? それとも妥当!?  ホンダeの価格は451万円〜。日産リーフ(約332万円〜)といろいろ比べてみた!

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ホンダは新型EV「ホンダe(イー)」を10月30日から発売する。2グレード構成で、価格は標準の「ホンダe」が451万円、装備が充実した「ホンダe Advance(アドバンス)」が495万円だ。販売計画台数は1000台(年間)だ。

「街なかベスト」を目指したスモールEVコミューター、それがホンダe

親しみやすく、かつモダンなエクステリア。機能的な要素はブラックアウトされた部分に集約することで、ボディをシンプルに見せている。
前後オーバーハングの短さは、EVならでは。全長約3.9mとコンパクトだが、ホイールベースを長く取ることで、室内空間を確保している。

ホンダ初の量産電気自動車(EV)となるホンダeは、4人乗りの小型ハッチバックタイプだ。2グレード構成で、ホンダeとホンダeアドバンスを選ぶことができる。後者の専用装備は、以下の通りだ。

【ホンダeアドバンス専用装備】
・マルチビューカメラシステム
・プレミアムサウンドシステム、
・Hondaパーキングパイロット(後述)
・100AC電源
・センターカメラミラーシステム
・フロントガラスデアイサー
・17インチアルミホイール

最近は各自動車メーカーが欧州で強化される燃費規制を見越してEVの開発・販売に取り組んでいる。そこで競われている性能の一つが、航続距離だ。一充電あたり何km走ることができるか、というのがEVではとかく重視されがちである。

ホンダは、ホンダeのコンセプトを「街なかベスト」と設定し、航続距離を割り切ることとした。そうすれば、、バッテリー容量を小さくすることができ、サイズや重量、コストなどの面で有利となる。さらにホンダeは、デザインやダイナミックパフォーマンス、コネクテッドなどの付加価値で既存のEVと勝負しようというわけだ。

では、EVの世界では先輩にあたる日産リーフと比べつつ、ホンダeの特徴をおさらいしてみよう。

■ボディサイズ比較:ホンダeがリーフよりも二回り小さく、取り回し性はバツグン

2017年に登場した、2代目日産リーフ。2019年には62kWhバッテリーを搭載したリーフe+を追加した(標準車のバッテリーは40kWh)。

まずはボディサイズから。「都市型コミューター」を自称するホンダeの全長は、4mを下回る3895mmとかなりコンパクト。同社のフィットよりも100mm短い。それでいてホイールベースはホンダeもフィットも2530mmと同一だ。ホンダeは前後のオーバーハングが短いのだが、この効率的なパッケージングはEVならではのものと言えるだろう。全幅は1750mmと3ナンバーサイズとなる。全高は1510mmだ。

リーフは、全長4480mm(ホイールベース2700mm)、全幅1790mm、全高1540mmとホンダeよりも二回り大きい。ボディサイズでカテゴライズするならば、ホンダeはAセグメント寄りのBセグメント、リーフはCセグメントと言えるだろう。

ホンダe 全長×全幅×全高:3895mm×1750mm×1510mm ホイールベース:2530mm
日産リーフ 全長×全幅×全高:4480mm×1790mm×1540〜1545mm ホイールベース:2700mm ※全高は可倒式ルーフアンテナ装着時のもの

そうしたボディサイズの違いは、室内の広さにも影響している。室内寸法はホンダeが長さ1845mm、幅1385mm、高さ1120mmなのに対して、日産リーフは長さ2030mm、幅1455mm、高さ1185mm。リーフの方が余裕があるのは間違いないが、ホンダeの後席も一般的な体型の大人が乗るには不自由ない。ただし、ホンダeの後席は2人掛けで乗車定員は4名となる。

ホンダeのインテリアはグレーが基調となっており、モダンな雰囲気。ボディサイズの割りには広い、という印象だ。
日産リーフのインテリアはブラック。室内空間にはゆとりがあり、ラゲッジルームもゴルフバッグ2セットを横置きできる広さ。

ホンダeがボディサイズの割りに室内空間が広い秘密は、パワートレーンのレイアウトにある。リーフが一般的なフロントモーター・フロント駆動なのに対して、ホンダeはリヤモーター・リヤ駆動なのだ。そのおかげもあってホンダeは、最小回転半径4.3mを実現している。リーフの最小回転半径は5.2m(17インチホイール装着車は5.4m)、フィットですら4.9mと聞けば、ホンダeの小回り性能がいかに驚異的かがおわかりだろう。「街なかベスト」を謳うホンダeの面目躍如だ。

サスペンションは、ホンダeが前ストラット/後ストラットの四輪独立懸架を採用。リーフは前ストラット/後トーションビームだ。

「真っ直ぐシンプル、低く中央に凝縮」がコンセプトだったホンダeのプラットフォーム。写真の向かって右側が、モーターが搭載されている車体後部。
リーフのプラットフォームは、同社のFF用・Bプラットフォームをベースに専用設計されたもの。フロントにモーターを搭載し、フロントタイヤを駆動する。

■装備比較:先進的な機能を惜しげもなく搭載したホンダe

ホンダeの大きな魅力は、先進的な装備の数々だ。ドアを開けて乗り込むと、目の前には5つのディスプレイが水平に並んでいる。左右はサイドカメラミラーの映像を映す6インチモニター、センターには12.3インチのモニターが2つ、そしてメーター部には8.8インチモニターが水平に並ぶ様は圧巻だ。

リーフのインテリアは、ホンダeと比べるとコンサバティブだ。モニターは運転席前のアナログ速度計の横に置かれる7インチタイプと、センター部の9インチタイプの2つのみ。

ホンダeのインパネは、モニターを水平に配置しつつスイッチ類を極力排した先進的なもの。それでいて、リビングテーブルを模して木目調パネルを大胆にあしらうことで暖かさを演出している。
ホンダeのインパネの左右端には、サイドカメラミラー用のモニターが備わる。
車体サイドのカメラは張り出しが少ない。ウインカーも内蔵している。
日産リーフのインパネは、既存のクルマから乗り換えても違和感がない。EVらしさを主張しているのは、メーター左側の7インチモニターと半球状のシフトノブくらい。

また、ホンダeはコネクティッド機能にも力が入っている。クラウドAIによる音声認識で情報を提供してくれるアシスタント機能、スマホをデジタルキーとして解錠・施錠だけでなくパワーオンまで行える機能、車内Wi-Fiなどが目新しい。

「OKホンダ」と呼びかけると音声認識機能が起動。イラストキャラクターが動きながら情報を提供してくれる。「疲れた」と言うと、癒しの言葉をかけてくれる機能も。
スマホをピラーにかざすとロック解除、乗り込むとパワーオン。正直なところ使い勝手はリモコンキーの方がいいが、将来的には、キーをシェアすることを想定した技術だ。
大画面を生かした機能も多い。中央のモニターは好みの壁紙に変更できる。
Hondaアプリセンター経由で大画面対応アプリも配信予定だ。

リーフには「ニッサンコネクト」が搭載されており、車内Wi-Fiがオプションで利用できるほか、スマホを使ってリモート操作でエアコン操作や充電開始が可能。しかし、この辺りの技術は日進月歩なだけに、最新のホンダeの方が多機能だ。

■航続距離比較:ホンダeは最長308kmだが、リーフは約1.5倍の最長570km走行が可能

EVの場合、どうしても比較の俎上に上りやすい航続距離はどうだろうか。ホンダeのバッテリー容量は35.5kWhなのに対して、リーフは40kWhと62kWh、2タイプのバッテリーサイズが用意されており、一充電走行距離はそれぞれ以下の通りだ。

【一充電走行距離】
ホンダe:308km(JC08モード)/283km(WLTCモード)
ホンダeアドバンス:274km(JC08モード)/259km(WLTCモード)
日産リーフ(40kWh車):400km(JC08モード)/322km(WLTCモード)
日産リーフ(62kWh車):570km(JC08モード)/458km(WLTCモード)

ホンダeのバッテリー。容量は35.5kWh。
リーフのバッテリー容量は、40kWhと62kWh(写真)の2種類。

航続距離に関しては、日産リーフの圧勝である。ホンダeは最初から航続距離では勝負しないことを明言しているので、この結果は致したかないところだろう。

ホンダeは、そのディスアドバンテージを優れた急速充電性能でカバーする。公共の急速充電施設は1クール30分となっていることが多いが、ホンダeは30分の急速充電で202kmの走行が可能となる。一方、リーフの40kWh車は144km、62kWh車は137kmだという。ホンダeではバッテリー専用ヒーターや、ラジエターによる水冷システムでバッテリーの温度管理を行っていることが効いているようだ。

モーターは、ホンダeはアコードハイブリッドで使われているものを流用。ただし、パワー・コントロール・ユニット(PCU)をモーターの上から横に移動して、コンパクト化を実現している。また、標準モデルとアドバンスではスペックに違いがあり、アドバンスの方が最高出力・トルクともに上回っている。一充電走行距離で、両者に違いがあったのはそのためだ。

では、リーフとモーターの諸元を比べてみよう。

【モーター諸元】
ホンダe:最高出力136ps(100kW)・最大トルク315Nm
ホンダeアドバンス:最高出力154ps(113kW)・最大トルク315Nm
日産リーフ(40kWh車):最高出力150ps(110kW)・最大トルク340Nm
日産リーフ(62kWh車):最高出力218ps(160kW)・最大トルク340Nm

ホンダeのモーターは定格出力60kW。
リーフのモーターは定格出力85kW。

実は、両者の車両重量は、バッテリー容量の違いから想像するほど大きな差がない。ホンダeが1510〜1540kgで、リーフは40kWh車が1490〜1520kg、62kWh車が1670〜1680kgだ。となると、パワーがほぼ同等のホンダeアドバンスとリーフの40kWh車が同等の加速力、ダントツでハイパワーなリーフの62kWh車が最速…と推測できる。

ホンダeとリーフで共通するのは、アクセルペダルだけで加減速をコントロールできること。アクセルペダルを戻すと、ブレーキをかけたのと同程度の減速が可能だ。ホンダeでは、パドルシフトを操作することによって、減速度合いをコントロールできるのがユニークである。

ホンダeのステアリング裏にはパドル=減速セレクターが備わる。

現行型リーフが登場した際に話題となったのは、自動駐車支援システムだ。ステアリングを制御してくれるだけでなく、ブレーキもシフト操作(前進→後退の切り替え等)もクルマが行ってくれるというもの。ホンダeも同様のシステムを採用しているが、斜めになっている駐車枠にも対応しているのと、縦列出庫を支援してくれるという違いがある(リーフは出庫は支援しない)。

ホンダeの自動駐車支援システム(Hondaパーキングパイロット)は斜め駐車にも対応。
縦列出庫に対応しているのも、ホンダeならでは(リーフは出庫に非対応)。

■価格比較:ホンダeは451万円〜、リーフは332万円〜。が、価格と数字で測れない価値がホンダeにはある

最後に、気になる価格を比較してみよう。

【車両価格】
ホンダe:451万円
ホンダeアドバンス:495万円
日産リーフ(40kWh車):332万6400円~418万9900円
日産リーフ(62kWh車):441万1000円~499万8400円

ホンダeの価格は、決して安くない。はっきりとリーフの方が安い価格帯だ。また、両者はクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金(CEV補助金)を受けられるが、補助金の金額は一充電あたりの走行距離によって計算されるため、補助金額はリーフの方が多い。そうすると、ますます両者の支払い金額差は広がることとなる。

【CEV補助金額】
ホンダe:23万6000円
ホンダeアドバンス:16万8000円
日産リーフ(40kWh車):42万円
日産リーフ(62kWh車):42万円

しかもリーフの方が大きくて広くて長い距離を走ることができるのだから、「ホンダe、大丈夫か!?」と外野は勝手に心配してしまう。だが、そんなことはホンダも百も承知で、リーフが2019年に国内で約2万台を販売したのに対して、ホンダeの年間販売台数計画はわずか1000台。ホンダもホンダeがバカ売れするとは思っていないのである。

ホンダeは、リーフとは別の土俵で勝負をしようとしている。ホンダeは、ホンダが考える未来のモビリティーの技術のショーケースなのだ。それは、高級サルーンのレクサスESでさえオプション設定(22万円)としているサイドミラーカメラを、ホンダeでは量産車として初めて標準採用化したことからもうかがえる。既存のクルマと同じ物差しでは、ホンダeの真価を測ることはできない。

ホンダeは、ホンダのEV計画の一里塚だ。これから、ホンダがどのようにEVを展開しようとしていくのか。ホンダeを見ていると、EVにおいてもホンダらしさが存分に発揮されており、いちクルマ好きとして嬉しくなってくるのは確かである。

ホンダeボディカラー

プラチナホワイトパール(3万8500円高)
ルナシルバー・メタリック
モダンスティール・メタリック
クリスタルブラック・パール
プレミアムクリスタルブルー・メタリック(6万500円高)
プレミアムクリスタルレッド・メタリック(6万500円高)
チャージイエロー

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