マツダ美祢テストコースでSKYACTIV-X(スカイアクティブX)国内初試乗 素性の良さはすぐにわかる。SKYACTIV-X(スカイアクティブX)+スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャーのプロトタイプ
- 2017/10/12
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Motor Fan illustrated編集部 鈴木慎一
マツダの次世代エンジン技術「スカイアクティブX」と次世代ボディ&シャシー技術「スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー」を載せたプロトタイプの試乗を美祢テストコースで行なった。乗ってどうだったか?
マツダが美祢テストコースで報道陣に公開、試乗が許されたスカイアクティブXエンジンについては、下記の記事で紹介した。
マツダ・SKYACTIV-X(スカイアクティブX)エンジンは、内燃機関を次のステージに引き上げる
マツダ・SKYACTIV-X(スカイアクティブX)エンジンは、カプセル・エンジンだった!
ここでは、スカイアクティブ・ボディ&シャシーGEN.2について、試乗記を含めて書いてみたい。
スカイアクティブ・ボディ&シャシーGEN.2と言われていたものは、このMAZDA Japan Tech Forum 2017の直前に、「スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー(SKYACTIV VEHICLE ARCHITECTURE)」と新しい名称になった。シャシーとボディを切り分けて考えられない、といって、プラットフォーム、という言葉より包括する範囲が広いから、ビークル・アーキテクチャーということになったのだろう。
ここで告白しておくが、ドイツのプレス試乗会の写真を見せてもらった際に、「次期型ボディ&シャシーの考え方を現行シャシーに一部載せたものにスカイアクティブXエンジンを積んだプロトタイプカー」だと思っていた。
それは大きな誤解で、まさに、「次期型ボディ&シャシーそのもの」にスカイアクティブXをとりあえず載せたプロトタイプカー、というのが正解だった。
写真にあるBIW(ボディ・イン・ホワイト=ホワイトボディ)は、ほぼ次期型そのものだという。
現在のマツダ(第6商品群)のプラットフォームは、スカイアクティブ・ボディ(GEN.1)である。その前のプラットフォームは、フォード主導でマツダ、ボルボが参加したケルン・プロジェクトで作られたものだった。いまモデル末期となっているボルボV40の基本プラットフォームがそれだ。
今回、発表されたスカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャーには、新しい考えや知見が盛り込まれるが、工場の製造設備自体に大きな変更はなしで造れるようになっているという。
具体的には、スチールからアルミ、樹脂などへの材料置換はせず、工法も抵抗スポット溶接からレーザー溶接、構造接着剤の多用などの変更はしない。
プレゼンテーションを行なった松本浩幸氏(マツダ執行役員車両開発本部長)は、「鋼を使い切ることを考えました。剛性もNVHも鋼を使いこなして性能を出すことを考えました」と説明していた。
使用している鋼板は、
・引っ張り強度1.5GPa級の熱間成形材:6%
・1.3GPa級:5%
・1.2GPa級:17%
・980MPa級:8%
・780MPa級:9%
・590MPa級:9%
残りの46%が軟鋼だ。
今回のスカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャーの考え方は、「剛性の”節”(ふし=変曲点)のないボディを作る」ということだろう。路面反力は乗員まで伝わる伝達経路と伝達時間(時間軸)について人間中心の考え方で徹底的に分析した結果を反映しているという。
「左前輪に入った入力をそのまま素早く右後輪に伝わるようにする。その際に、途中に節がないようにする」というのがキーだ。
シャシーの作り方も従来はばね上のピークを抑えることを狙っていたが、スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャーは、ばね上に伝わる力を遅れなく滑らかにコントロールすることに主眼が置かれている。
リヤサスペンションは、リヤが現行のマルチリンクからTBA(トーションビームアクスル)に改められた。
これは、「コストダウンを狙ったわけでない」という。
「タイヤの位置決めや動きの連続性でTBAにはメリットがあります。この車両重量ならTBAの良さが活かせるからです」ということだった。
乗ってみてどうだったか? さて、試乗の時間である。
(次ページに続く)
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