マツダの縦置きLARGE「マルチソリューションスケーラブルアーキテクチャー」を読み取る 期待していい! マツダのLARGE(FR)商品群 パワートレーンの技術の詳細を写真から分析する
- 2021/06/17
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世良耕太
マツダが6/17日に開催した中期技術・商品方針説明会で間もなく登場予定のLARGE(ラージ)商品群のパワートレーンの画像を公開した。あえて低解像度にしてあるこの画像からわかることを分析してみた。
TEXT◎世良耕太(SERA Kota)
マツダは6月17日、2030年に向けた新たな技術・商品の開発方針を発表した。このなかで、LARGE(ラージ)の縦置きパワーユニットに対応した「マルチソリューションスケーラブルアーキテクチャー」について説明があり、同アーキテクチャーの画像を公開した。次の3点である。
・ガソリンエンジン 48Vマイルドハイブリッド
・ガソリンエンジン プラグインハイブリッド
・ディーゼルエンジン 48Vマイルドハイブリッド
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搭載するエンジンは直列6気筒のSKYACTIV-G(ガソリン)/D(ディーゼル)/X(ガソリン圧縮着火)、もしくは直列4気筒SKYACTIV-Gで、いずれも縦置きに搭載し、後輪を駆動する。
公開された低解像度の画像データから、ラージ商品群用の「マルチソリューションスケーラブルアーキテクチャー」に採用された技術を、想像を交えながら拾い上げてみよう。
ガソリンエンジン+48Vマイルドハイブリッド
まずは、「ガソリンエンジン 48Vマイルドハイブリッド」からだ。マツダは2020年11月9日に「2021年3月期 第2四半期 決算説明会」を行なった。このタイミングで「縦置き6気筒/縦置き4気筒とプラグインハイブリッド」の画像を公開しており、この画像から、縦置きエンジンは車載状態で右側が排気、左側が吸気であることがわかる。
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マツダが開発を進めている縦置き(Largeプラットフォーム)パワートレーンの写真を初公開した。その写真から、マツダの直6、...
縦置き6気筒ガソリンエンジンはターボチャージャーを1基搭載していることがその画像からわかる。今回公開された画像では、左側、つまり吸気側の様子がよくわかる。右タイヤ寄りの様子やパイプ類のレイアウトから、ターボエンジンと見て間違いないだろう。タービンで圧縮されて高温高圧になった空気は、既存のSKYACTIV-Xのように水冷インタークーラーで冷却されて吸気ポートに向かっているのだろうか。様子が似ている(1)。
となると、縦置き6気筒のSKYACTIV-Xはルーツ式スーパーチャージャーではなくターボチャージャーで大量の空気を供給? との疑問が湧く。マツダは後日、LARGE商品群の技術について詳細説明の機会を設けるとしている。答え合わせはそのタイミングまで待つことにしよう。
エンジンの後方には、縦置きのトランスミッションが見える(2)。表面がつるんとしているのが特徴で、ロードスターが搭載するトランスミッションケースを連想させる。そのトランスミッションケースと同様、三次元的に肉厚を変化させ、軽量化と高剛性の両立を図っているのだろうか。
トランスミッションの手前にプロペラシャフトが見える(3)ことから、この画像が示すプラットフォームはAWDであることがわかる。トランスミッションの後方にあるのが、前後のトルク配分を担うカップリングユニットだろう(4)。その後方、車両搭載状態で左側にある黒い箱は、48Vハイブリッドシステムのバッテリーだろうか(5)。
フロントサスペンションを見てみよう。ダンパーのトップマウント付近にAアームが確認できることから(6)、ハイマウントタイプのダブルウィッシュボーン式を採用していること推測できる。色から判断するに、Aアームの材料はスチールだろう。下のほうはよく確認できないが、短い4気筒自然吸気エンジンを搭載する「ガソリンエンジン プラグインハイブリッド」の画像に目を移すと、もう少し様子がわかる。ナックル(7)はアルミだろうか。
ロワーアームの様子まではわからないが、その代わり、ステアリングギヤボックス(8)が見える。ナックルとの位置関係から縦置きプラットフォームに一般的な「前引き」で、電動パワーステアリングのアシストはデュアルピニオンのように見える(だとすると、ロードスターと同じ方式)。
ガソリンエンジン プラグインハイブリッド(PHEV)
プラグインハイブリッドは、いわゆるフロントミッドシップになっていることが、フロントデフの位置(9)から確認できる。プロペラシャフトの左右に大容量のバッテリーを搭載している(10)のが、48Vハイブリッドシステム搭載車との顕著な違い。トランスミッション左横の低い位置にあるのは、インバーターなどを含むコントロールユニットだろう。
ディーゼルエンジン 48Vマイルドハイブリッド」
「ディーゼルエンジン 48Vマイルドハイブリッド」の画像を見てみよう。吸気側となるエンジン左側の様子はガソリンエンジンと異なる。大きな四角い箱(11)は水冷インタークーラーだろう。リヤサブフレーム後方の様子もガソリンとディーゼルでは異なっている。左リヤタイヤの後方内側にあるのは、排ガスに含まれるNOxの浄化に用いる尿素水のタンク(12)だろうか。だとすれば、SCRを搭載していることになる。
リヤサスペンションを見てみよう。井桁状のサブフレームから右リヤタイヤ側に向けて、2本の銀色のリンクが見えている(13)。全体は確認できないが、アッパー、ロワーそれぞれ2本のリンクとトーコントロールリンクを持つマルチリンク式だろう。2本のアッパーリンクが銀色なのは、材質がアルミであることを示唆している。低解像度の画像からも、しっかりした作りであることが見てとれる。
縦置きパワーユニットに対応したアーキテクチャーにどんな上屋が載るのかも気になるところだが、パワートレーンとシャシーを見る限り、「走り」は期待できそうだ。続報を楽しみに待つことにしよう。
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