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【海外技術情報】New Flyer:北米初となるレベル4の自動路線バス『Xcelsior AV』が発表された。

  • 2021/02/15
  • 川島礼二郎
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世界有数の独立系企業の一つであるNFI Group Inc。その子会社であり1930年創立と豊かな歴史を有する世界的な路線バスメーカーであるNew Flyer of America Inc.(以下、New Flyer)が、北米初となるレベル4の自動路線バスを発表した。今回は、New Flyerが発表したリリースを翻訳・要約してお届けしよう。
TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)

「今回発表した『Xcelsior AV』は、未来の公共交通機関に求められる安全と、New Flyerの飛躍とを端的に表現しています。私たちは自動路線バスの構築に取り組み、5年以内に業界を変える車両を提供しました。提供されるテクノロジーは本物であり、それがここにあるのです。

将来的には、自動バスの一群が交通安全を改善しつつ通勤時間を短縮して、エネルギー効率を高め、渋滞を減らす可能性があると期待しています。今後、規格・基準が社会実装されることで、自動バスが北米全体に展開されます。それにつれて『Xcelsior AV』によって、公共交通機関のユーザーエクスペリエンスが大幅に向上し、乗客数の増加に繋がることが期待されます。当社は、Robotic Researchと協力して、クリーンでアクセスしやすい、信頼性が高く、そして全員にとって安全な公共交通をリードして行きます」と、New FlyerおよびMCIの社長であるChris Stoddart氏は述べている。

Velodyne LIDAR © New Flyer

Robotic Researchとは、アメリカを拠点とする非公開のエンジニアリングおよびテクノロジー企業のことである。同社はソフトウェア、ロボットテクノロジー、および自動化ソリューションを一般企業および政府に提供している。メリーランド州ゲーサーズバーグとクラークスバーグに試験施設を保有している。Robotic Research社長のAlberto Lacazeは以下のように述べている。

「自律技術は、輸送の安全性を高めるだけでなく、車両の処理能力と利用率を高めることも期待されています。自動バスは交通パターンを改善し、ストップアンドゴーの交通を減らす可能性があり、大量輸送機関のユーザーだけでなく、インフラストラクチャ全体にもメリットを提供します。
New Flyerは現在の輸送ソリューションに欠けている部分を埋めることができるでしょう。この車両はサービスとしての輸送の新時代を切り開き、業界全体の技術の進歩を活用して、より安全で、よりクリーンで、より効率的で、よりアクセスしやすい輸送ソリューションとなることでしょう」

Xcelsior AVのLIDARとレーダーセンサー機器の概要 © New Flyer

Xcelsior AVが搭載する主要なテクノロジーは二つ。一つ目は、Robotic Research が所有するAutoDrive®という自動運転技術である。自律システムの「目と頭脳」として機能し、環境のマッピング、意思決定、ルートのナビゲートなど、バスを取り巻く世界を処理する。二つ目は、同じくRobotic ResearchのAutoDriveByWire™(ドライブバイワイヤシステム)である。こちらは自動システムの「手と足」として機能し、ステアリング、ブレーキ、スロットルを制御して、実際にバスの動きを操作する。これらのシステムが有する機能は次のとおり。

・環境の視覚化:ナビゲートする世界の3次元モデルを作成するセンサー(LIDAR、レーダー、カメラなど)を使用して、現在の環境を視覚化できる。
・歩行者の検出と回避:歩行者の存在を検出し回避するようにコースを調整できる。
・車両検出:360°センサーを使用して他の車両の存在を検出して、必要に応じてコース調整で応答する。
・精密なドッキング:バスへの乗降に助けを必要とする乗客のために、バスプラットフォームから水平に搭乗できるように正確に操作される。
・Vehicle-to-Vehicle(V2V):他の車両と直接通信する機能を備えており、安全な隊列走行が可能である。
・Vehicle-to-Infrastructure(V2I):信号のある交差点または歩行者や車両のアラートといった他のインフラストラクチャベースのアラートと通信する。これらの機能はセルフパーキング、給油、清掃などを通じて、バス停の安全性、効率化、スペース使用量の向上にも役立つ。
・昼夜を問わない運行:定義された運用設計ドメインに基づいて、照明や天候に関係なく、昼夜を問わず運行できる。
・安全で冗長なシステム:GPSが利用できない場合でも運行できる。事前にマッピングされたルート、建物、インフラストラクチャだけに依存するのではなく、発生したリアルタイムのデータやイベントに応答する。
・パフォーマンス分析:分析テクノロジーNSightのエンド・トゥ・エンドのデータ収集と統合されている。パフォーマンスとルートおよび運用を通じて、他の車両やインフラストラクチャとの相互作用に関する深い洞察を提供する。

Xcelsior AVの屋根上に搭載されたカメラとLIDAR © New Flyer

Xcelsior AVはアメリカ連邦公共交通局(FTA)の戦略的輸送自動化研究計画を推進し、輸送バスでの自動化技術の実装に関連する潜在的リスク、障壁等を評価する。New Flyerは2020年、FTAのIntegrated Mobility Innovationイニシアチブにより資金提供されたコネチカット運輸省とのパイロットプロジェクトにおいて、北米初となる自動路線バスの収益サービスへの展開を発表し、公共交通機関の有効性を高める革新的で効果的な実践を実証するプロジェクトを支援している。

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