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スバルはチェーン式。チェーン式CVTとベルト式CVT それぞれの違いと特徴は? [メカニズム解説]

  • 2018/02/25
  • Motor Fan illustrated編集部
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一般的なCVTに使われているベルト。

日本の小型車の多くが採用するCVT。Continuously Variable Transmissionの名前のとおり、「連続」「可変」のトランスミッションだ。CVTには、一般的なベルト式とスバルのリニアトロニックに代表さえるチェーン式がある。その違いは?
TEXT◎高橋一平(Ippey TAKAHASHI)

CVTではその多くで金属製のベルトが使われるが、なかにはチェーンを使うものも存在する。溝幅を可変式としたプーリーセットを用い、ベルト(チェーン)の巻きつき径の変化によって変速するという原理と機構については、両者ともに共通となっているため、さほど違いがないように思えるが、これらには似て非なるものと言った方が良いほどに大きな違いがある。

減速比を連続的に変化させるCVTは、どんな仕組みで変速するの?

BELT(ベルト)

ベルト式CVTのエレメント エレメントを拡大したところ(3枚が重なった状態)。写真は。上部にはそれらが整列することを助け、押された時の逸脱を防止するための、ディンプルと呼ばれる突起があり、裏側にはそれを受け止める窪みが設けられている。
CVTベルトはマルエージング鋼の薄板を積層したリング二組と、エレメントと呼ばれるコマ数百枚から構成される。上の写真は構造がわかりやすいようにエレメントが間引かれた状態で、実際には全周に渡って隙間なくエレメントが並ぶ。

ひとつは、トルク(動力)伝達の方法だ。一般的によく見るゴムベルトとプーリーという組み合わせでは“引っ張る”方向でトルク伝達を行うわけだが、CVTに用いられる金属製のベルトでは、引っ張るのではなく押す方向でトルクを伝達する。これに対し、チェーンではゴムベルト同様の引っ張る方向を用いる。

プーリーとの間で摩擦力を産み出すメカニズムも若干異なっており、ベルトではエレメントの両端でプーリーと接触するのに対し、チェーンでは、チェーンの主構造とも言えるコマ同士を連結するためのピンが、プーリーとの接触、駆動力の受け渡しを行うという役目を果たす。ベルトではエレメント両端がプーリーとの間に形成する線状の接触部が連続的に続くかたちで、チェーンではピン先端による断続的な点接触だ。

CHAIN(チェーン)

自転車や二輪車の駆動系に用いられる一般的なチェーンと同様に金属製のコマをピンで連結したかたちを持つが、スプロケットを用いずプーリーと組み合わせて使うということで横幅いっぱいにコマが積層される。
最大の特徴ともいえるのがピン部分。二本で一組となっており、プーリー内側の傾斜と角度を合わせるかたちでピン端面が斜めに仕上げられる。チェーンではピン端面がプーリーとの接触部で、この部分を介して駆動力の受け渡しを行う。

CVTの性能確保において重要な意味を持つ、最小巻きつけ径(プーリーに最も小さく巻きつけた時の径)の小ささにおいては、ベルトよりもチェーンの方が有利で、ほかにも伝達効率など、チェーンがベルトを凌ぐ面が多いのだが、音の大きさとコストという要素から、ベルトが圧倒的に多数を占めることとなっている。すべてよしのメリットだけで済まないのは技術の世界においては常ということだが、そもそもCVTに用いられている金属ベルトも長い年月をかけて磨き上げられてきたという歴史がある。

CVTに自動車用途の道を拓いたのは、金属ベルトの登場と思って間違いない。薄い金属を積層したリングで、エレメントと呼ばれる小さなコマを束ねただけのシンプルな構造でありながら、ゴムのようなしなやかさを持ち、自動車用途に十分な強度と耐久性を持ち合わせるという、金属部品のイメージを超える性質は、金属材料のミクロンレベルの欠陥まで見出すという地道な技術開発が積み重ねられた結果によるもの。なかでもカギとなるのは、リング部分に用いられるマルエージング鋼の扱い方だ。近年では新しいアプローチも見え始めたが、これまでのベルトに取って代わるほどのものはまだ現れそうにない。

ボッシュが開発するCVT用新ベルト

BOSCHの新ベルト

金属のみでベルトを成立させることが困難だったということもあり、CVTベルトは登場以来ほとんど姿を変えていないが、ボッシュは基本構造まで踏み込む新たなCVTベルトを提案。リング要素が一組だけということで、構造的にリングが脱落しにくく、プーリーの外周部ギリギリまでを使えるようになるという。

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