シトロエンC3に乗って東京からスーパーカミオカンデまでいく 新型C3。シトロエンらしさ健在。ロングドライブで真価を発揮
- 2017/09/01
-
MotorFan編集部 鈴木慎一
クルマの真価は長距離を走ることでわかる……部分もある。モーターファンVol.9の企画で、ニューモデルをロングドライブに連れ出した。新型シトロエンC3で、往復約1200kmのロングドライブに出かけた。東京〜金沢〜飛騨山中にあるスーパーカミオカンデ〜東京。先代(つまり初代)シトロエンC4のオーナーだったモーターファン編集長がレポートする。
今回、僕がロングドライブの相棒にC3を選んだのは、以前、C4(初代前期型)を所有していた経験から、最新シトロエンを試してみたかったからだ。2006年型C4は、1.6ℓ直4自然吸気エンジンと悪名高かったAL4という4速ATを組み合わせたパワートレインで、お世辞にも速くも燃費の良いクルマでもなかった。
しかし、フランス車らしいデザインと乗り心地、それを支えるシートの出来の良さが魅力だった。高速道路で100km/h前後で走っているとき、すーっと滑るように走る“ゾーン”があって、それがとても心地よかったのだ。最新のパワートレインを持つC3も、同じ味を持っているか。それがテーマのひとつだ。旅を共にしたもう1台は、MINI初のPHEVであるクーパーS E クロスオーバーALL4。向かった先は、岐阜県飛騨市神岡町にあるスーパーカミオカンデである。
カミオカンデは、ご存じの通りニュートリノの研究でノーベル賞を受賞した小柴昌俊東大名誉教授が監修した巨大な観測装置で、その後継であるスーパーカミオカンデは、神岡鉱山内の地下1000mに5万トンの純水を湛えた直径39.3m、高さ41.4mの円筒型タンクとその壁面に設置された約1万3000本の光電子倍増管から構成された巨大施設なのだ。なぜ、スーパーカミオカンデなのか、といえば、人間の技術の粋が詰まった巨大施設が見たかったという単純な理由から。それが飛騨の山奥にあるというのだから、行ってみたくなるわけだ。
午前中の会議を終えて東新宿を出たのは午後1時。一泊二日のロングドライブの出発時間としては遅すぎるが、とにかく、宿泊地である金沢を目指す。金沢工業大学工学部機械系機械工学科の長沼要教授にMINIをテストしてもらうためだ(長沼教授によるMINI クーパーS E クロスオーバーALL4のインプレッションは、MotorFan Vol.9に掲載)。C3は僕が、MINIはYカメラマンがドライブする。
C3は、シトロエンらしい個性的なデザインが気になっていた。ちょっとドイツ車っぽくなった現行C4に食指が動かないフランス車好きにも魅力的に映るデザインだし、MINIに惹かれる女性にもアピールするのでは、と注目していた。メカニズム的には、取り立てて新奇性があるわけではない。ベースとなるのは、従来のプラットフォーム1の改良版。パワートレインは、PureTEC1.2ℓ直3直噴ターボとアイシン・エィ・ダブリュ製6速ATを組み合わせだ。
冒頭にあるとおり、じつは結構フランス車が好きだ。その僕にして当日朝、雨中、東京・目黒のプジョーシトロエン・ジャポンの広報部でクルマを借りて乗り出した時には、「う、これは……」と唸ってしまった。悪い意味で、である。ワイパーは、盛大に軋み音を立てる、路面の段差を越えるとドタンバタン、トランスミッションはまるでAMTのように低速でぎくしゃく。ややや。これでロングドライブか……と少し憂鬱になっていた。
雨の関越道をMINIと連なって走る。100km/h巡航はおおよそ2000rpm。ひと世代前のC4が3000rpmだったことを考えれば、確実にダウンサイジング、ダウンスピーディング=燃費改善している。周囲の流れに乗って走れば17-18km/ℓで走るのは楽勝だ。これまた生涯燃費が10.0km/ℓだったC4から格段の進歩である。気がつけばワイパーからの異音もなくなっている。どうやら、新車で初めて雨だったようだ。
関越トンネルを抜けると夏空になった。青い空、緑の田園。気分も上々だ。しかし、「滑るように走るゾーン」には残念ながら入らない。ただし、シートの良さはやはりシトロエンだ。一度腰を落ち着けてポジションを決めたら、お尻を動かすことは皆無。これはいい。C3の高速ロングツアラーとしての素性の良さに、少し印象が良くなった。
夜、金沢の街に着くと長沼教授が待ち構えていて、MINIを受け取るやいやな、詳細なデータを収集するために夜の街(山?)へ消えていった。ちなみに、MINIをドライブしてきたYカメラマンは「長距離走ると腰が痛い」とお疲れのご様子。
翌朝、北陸道から国道41号を通って飛騨山中のスーパーカミオカンデへ向かう。急な上り坂でも110ps/205Nmのパワースペックは1180kgの車重に十分。目黒を出た時に感じた足の動きとエンジンが渋かったのも、だいぶなじんでスムーズになってきた。借りだした時のオドメーターは997km。つまり、慣らしが終わってなかったのだ。最新の出来の良い3気筒エンジンは、ラフな振る舞いを見せない。
国道から一本逸れてスーパーカミオカンデに向かう狭い山道で撮影した。ツイスティなコースも、コンパクトなC3は、楽しい。ミラー越しに見るMINIは、車重(1770kg!)通り動きが重い。さて、スーパーカミオカンデは、観光地でない。もちろん、特別な機会を除いては中に入ることもできない。入口は単なる地味なトンネル。しかし、その前に立つと、驚くほど冷たい風が吹き付けてくる。スーパーカミオカンデの風だ。
「ここがノーベル賞の源か」という感慨に浸る時間もなく、長沼教授を富山駅に送り、一路東京へ帰る。夜に予定していた打ち合わせに間に合わせるために、休憩もとらずに走る走る。気がつくと、C3も滑るようにすーっと“ゾーン”を走っていた。これだよ、これ。最後までに気になったのは、市街地でのトランスミッションの躾だけ。借り出した時のネガな印象は、消えていた。いいじゃん、C3。
シトロエンC3 SHINE DEBUT EDITION
■全長×全幅×全高:3995×1750×1495mm ■ホイールベース:2535mm ■車両重量:1180kg ■エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ ■総排気量:1199cc ■ボア×ストローク:75.0×90.5mm ■最高出力:81kW(110ps)/5500rpm ■最大トルク:205Nm/1500rpm ■トランスミッション:6速AT ■サスペンション形式:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡトーションビーム ■ブレーキ:Ⓕベンチレーテッドディスク Ⓡディスク ■タイヤサイズ:FR205/50R17 ■車両価格:226万円
9月1日発売のモーターファン最新号Vol.9のメイン特集は、「激走!1万5000km」シトロエンC3、MINI初のPHEVであるクーパーS E ALL4、トヨタ・カムリ、マイナーチェンジした日産フェアレディZ、ガソリンエンジンを搭載したマツダCX-3、VWゴルフ・オールトラック、ダイハツ・ミラ イースとVW up!、マツダCX-5、それからBMW 5シリーズとなぜか「青春18切符」という組み合わせのロングドライブ特集です。ひたすら走ったからこそ書ける本当の新車インプレッション、どうぞご覧になってください。
|
|
自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanwebおすすめのバックナンバー
自動車業界 特選求人情報|Motor-FanTechキャリア
日産自動車株式会社
バックエンド/Webフロントエンジニア
年収
500万円〜900万円
勤務地 東京都目黒区中目黒1-8
この求人を詳しく見る
外資系再生エネルギー企業を親会社とする車載電池メーカー
工程・設備技術エンジニア<車載用リチウムイオンバッテリー>
年収
423万円〜846万円
勤務地 神奈川県座間市,神奈川県相模原市
この求人を詳しく見る
日産自動車株式会社 バックエンド/Webフロントエンジニア
年収 | 500万円〜900万円 |
---|---|
勤務地 | 東京都目黒区中目黒1-8 |
外資系再生エネルギー企業を親会社とする車載電池メーカー 工程・設備技術エンジニア<車載用リチウムイオンバッテリー>
年収 | 423万円〜846万円 |
---|---|
勤務地 | 神奈川県座間市,神奈川県相模原市 |
これが本当の実燃費だ!ステージごとにみっちり計測してみました。
日産キックス600km試乗インプレ:80km/h以上の速度域では燃費...
- 2021/03/26
- インプレッション
BMW320d ディーゼルの真骨頂! 1000km一気に走破 東京〜山形...
- 2021/04/03
- インプレッション
日産ノート | カッコイイだけじゃない! 燃費も走りも格段に...
- 2021/02/20
- インプレッション
渋滞もなんのその! スイスポの本気度はサンデードライブでこ...
- 2019/08/11
- インプレッション
PHEVとディーゼルで燃費はどう違う? プジョー3008HYBRID4と...
- 2021/06/28
- インプレッション
スズキ・ジムニーとジムニーシエラでダート走行の燃費を計って...
- 2019/08/09
- インプレッション
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ
フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chap...
- 2018/08/28
- 新車情報
マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善...
- 2020/04/26
- コラム・連載記事
マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエン...
- 2019/07/15
- テクノロジー
ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態
- 2020/04/19
- テクノロジー
林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えて...
- 2020/02/24
- テクノロジー
マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレイ...
- 2019/07/27
- テクノロジー
Motor-Fanオリジナル自動車カタログ
自動車カタログTOPへMotor-Fan厳選中古車物件情報
シトロエン C3
シャイン 純正ナビTV バックカメラ クリアランスソナー クルーズコントロール ブラインドスポッ...
中古価格 117.9万円
シトロエン C3
シャイン
中古価格 184.9万円
シトロエン C3
エディション2021
中古価格 259.7万円
シトロエン C3
エル 限定車 純正ナビ地デジ ドラレコ ETC 保証付 スマートキー バックカメラ 純正17AW
中古価格 163万円
シトロエン C3
シャイン シトロエン認定中古車 1年保証 アクティブセーフティブレーキ ブラインドスポットモニタ...
中古価格 144.2万円
シトロエン C3
シャイン 禁煙車 純正ディスプレイオーディオ USB接続 バックカメラ クルーズコントロール ス...
中古価格 238.3万円