50周年記念・三菱デリカの歴史を振り返る! 三菱『歴代デリカのすべて 連載第3回』星を継ぐもの……三代目デリカのサクセスストーリー
- 2018/05/23
- MotorFan編集部 大橋 俊哉
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誕生から50周年を迎えた三菱デリカの五世代50年の歴史を振る連載企画の第3回。三代目デリカは二代目に続き「スターワゴン」を名乗り、二代目にも増してレジャービークルとして進化していく。4WDワンボックスワゴンを時代が後押しし、歴代トップの販売台数を記録。そのモデルライフに迫る!
ボディを拡大し、エンジンはシリウスからサイクロンへ
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1986年6月にデリカは7年ぶりのフルモデルチェンジを果たす。7年といえば、当時おおよそ4年ごとだった乗用車のモデルサイクルと比べると長く感じるが、モデルライフの長い商用モデルをラインナップしていることを考えれば当然といえば当然だったと言えるだろう。
開発自体は83年春頃から始まっており、衝突安全性の向上と、ラゲッジルームから運転席までのウォークスルーを可能とするフルフラットフロアを実現すべく、セミキャブオーバーレイアウトにする構想もあったという。83年当時のワンボックス車は商用車がメインでありスペース効率に優れるフルキャブオーバーが当たり前だった。デリカは商用モデルもラインナップする以上、セミキャブオーバーは時期尚早と判断され、最終的には二代目と同じくキャブオーバースタイルを踏襲していく。
とはいえ三代目に進化するにあたり、軽量化とボディ剛性向上を図るべくモノコックボディを採用。直線基調だった二代目に比べてやわらかな曲線でフォルムを構成する「ソフトキューブスタイル」とし、全長も二代目から200mm延長されている。
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エンジンは1986年2月のギャランΣ/エテルナΣ、ミラージュ、ランサーフィオーレのマイナーチェンジモデルで初搭載されたサイクロンエンジンを採用。
4D56型2.5リッター直列4気筒OHCディーゼルターボ(85ps/20.0kgm)とG63B型2.0リッター直列4気筒OHCガソリンエンジン(91ps/15.4kgm)が用意され、拡大したボディと重量増に対応する出力と新時代の環境性能、燃費性能が与えられた。
「スターワゴン」を襲名し、よりタフに!よりゴージャスに!
しかし、時代はバブル景気が膨らんでいく過程にあり、デリカスターワゴンにもより豪華な装備が施されていくことになる。
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インテリアでは、セカンドシートに「ロングスライドパーソナル回転シート」を採用。二代目の回転対座シートからさらにアレンジ幅を広げ、広い室内をさまざまな用途に合わせて使えるシートアレンジを可能としていた。
さらに、2WD車のみではあったが、後席ルーフの左右をグラスウインドウとした「クリスタルライトルーフ」を採用し、世界初の電動サンシェードも装備。広大な面積のガラスエリアにより明るく開放的な室内空間を手にいれることとなった。
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多様なボディバリエーションと地道な改良
ボディバリエーションはホイールベースの長さを「標準」と「ロング」の二種類用意するとともに、ルーフも標準の「エアロルーフ」と「ハイルーフ」を用意し、それぞれ組み合わせが可能だった。ただし、1986年の登場時は4WD車は全高を小型車枠(5ナンバー枠/全高2.0m以下)に収めるため標準ボディとエアロルーフの組み合わせのみの設定だった。
4WDイメージの強いデリカではあるが、2WD車も引き続きラインナップしており、「如何にもオフロード!」といった外観の4WDに対し、クリーンでシンプルなスタイリッシュさを備えるとともに、クリスタルライトルーフを用意することで4WDとは異なったイメージを演出していた。
87年9月の改良で電子制御燃料噴射装置「ECIマルチ」を採用。2WD車に大型樹脂バンパーを装着することで安全性の向上を図っている。88年8月には4WD車に4速AT仕様を追加し、4WD車のイージードライブ化に対応した。
1989年8月の改良ではガソリンエンジン車にマルチポイントインジェクション(MPI)を採用した4G64型2.4リッター直列4気筒OHCガソリンエンジン(115ps/18.7kgm)を搭載。ユーザーから指摘されていたパワー不足を解消することに成功した。
この排気量アップは、90年度から2.0リッター以上の乗用車の自動車税が大幅に引き下げられることと無関係ではなかったと思われる。排気量2.4リッターの自動車税は、89年度までは8万1500円だったのが、90年度からは4万5000円になる。2.0リッターの自動車税3万9500円との差額は縮まり、バブル景気下の経済状況でこれくらいの税額アップあればむしろパワーアップの方が歓迎されたのではないだろうか。
同時に、これまで設定のなかった4WD車のハイルーフ仕様とクリスタルライトルーフ仕様を追加。もともと人気のあったクリスタルライトルーフ仕様が4WD車に追加されたことで、デリカスターワゴンの販売はこの仕様が中心になっていく。これも自動車税の税率が、ボディサイズによる5ナンバー(小型車枠)/3ナンバー(普通車枠)とは関係なくなったことが影響しているのかもしれない。
たゆまぬ改良は続き、90年8月にはヘッドライトを4灯式プロジェクタランプ化し、フロントマスクにガーニッシュを追加。4WD車は大型フロントガードを新デザインに変更し、2WD車はフロントバンパーを変更するなどフロントマスクを刷新している。
さらに最上級グレードとなる「スーパーエクシード」を追加。内装にエクセーヌ生地を採用し、カラオケ機能付きオーディオまで装備していた。
「スーパーエクシード」をトップに据えた「エクシード」系のグレードは、セカンドシートをキャプテンシートとして7名乗車とし、より室内の快適さを求めた仕様となっていた。
1991年8月の改良では、これまで5速MTのみだった2.4リッターガソリンエンジン車に4速ATを追加。衝突安全性の向上を図るべく、全グレードにサイドドアインパクトビームとハイマウントストップランプを追加している。
インテリアでは本格派4WDに相応しい、ダッシュボード上の三連メーターを設置。高度計と傾斜計に加え、内外気温計を追加した。
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春夏秋冬を彩る特別仕様車にも注目
レジャービークルとして人気を博していたデリカスターワゴンは、クラス唯一の本格4WD車を設定するということもあり、アウトドア志向のユーザーからは特に支持が厚かった。特に1980年代以降のスキーブームでは、多数の乗員とスキー板を乗せて出掛けられるゲレンデムーバーとして人気を集めていた。それだけに、二代目デリカスターワゴンで、スキーに特化した特別仕様車「シャモニー」が設定された(85年)のも当然と帰結と言えた。
もちろん、三代目デリカスターワゴンにも同様にシャモニーは設定され、フルモデルチェンジ間もない86年10月には早々に追加されている。以降、87年から93年まで毎年設定される定番の特別仕様車となった。
2WDの「エクシード」グレードをベースにしており、2.0リッターガソリンエンジンと4速ATの組み合わせのみで、専用の内外装をまとい、標準とは異なるカラーのクリスタルライトルーフを備えていた。
限定400台という設定だったが、こちらは残念ながらシャモニーと違い単発で終わってしまっている。
1994年には春・夏シーズンをイメージした内外装に、オートキャンプを中心としたフィールドレジャーに適した機能を充実させた特別仕様車「ジャスパー」を発売。
その翌年、95年に最後の特別仕様車となる「アクティブワールド」を発売し、これが三代目デリカスターワゴンの最後の特別仕様車となった。
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