タイプRは乗り手と場所・状況を選ぶがハッチバック6速MTは誰もがいつでも走りを楽しめる ホンダ・シビック6速MT車比較試乗…タイプRは途轍もなく速いが、ハッチバック6MTも充分に速く、楽しく、扱いやすい。これはアコードユーロRの再来か!?
- 2018/08/29
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遠藤正賢
何事においても割り切りが激しい本田技研工業(ホンダ)は、実は国内向けMT車の設定が少ないメーカーの一つだが、昨年9月末に発売した10代目シビックには、超高性能モデル「タイプR」のほか、そのベース車である「ハッチバック」にも6速MT車を用意している。そんな両車の使い勝手や走りを、都内の市街地と高速道路、箱根のワインディングを中心に検証する。
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まずはボディサイズから比較すると、
ホンダ・シビックハッチバック6速MT 全長×全幅×全高:4520×1800×1435mm ホイールベース:2700mm トレッド前/後:1535/1555mm 最低地上高:135mm
ホンダ・シビックタイプR 全長×全幅×全高:4560×1875×1435mm ホイールベース:2700mm トレッド前/後:1600/1595mm 最低地上高:125mm
ベース車のハッチバック6速MTが多くの機械式駐車場に入庫できる全幅1800mmに収められ、最低地上高も135mm確保されているのに対し、タイプRは全長が40mm長く、全幅が75mm、トレッドがフロント65mm/リヤ40mm広く、最低地上高は10mm低い。サスペンションこそローダウンされていないものの、前後アンダースポイラーおよび整流板、マフラーの下側への張り出しが大きく、オーバーハングも伸びている。
さらにタイヤを比較すると、
ハッチバック6速MTが装着する235/40R18 95Yのグッドイヤー・イーグルF1アシンメトリック2でさえ充分に低偏平かつスポーティな性格だが、タイプRが装着する245/30ZR20 90Yのコンチネンタル・スポーツコンタクト6は、トレッドパターンこそウェット路に配慮したものとなっているものの、まるでゴムマットをホイールに巻いたような状態で、ホイールと路面との間隔はほぼないに等しい。
そのためタイプRでは、大きな凹凸や駐車場の輪留め、あるいは傾斜の強い坂道やコンビニ、ガソリンスタンドなどの出入口に、正面から入ればアンダースポイラーやマフラー、斜めに入ってもホイールのリムを擦る可能性が高く、街乗りでは非常に気を遣う。そもそもそのような場所に近づくべきではない、というのが正直な所だ。
シートも両車で大きく異なり、ハッチバック6速MTはCVT車やセダンと同じ細身のセパレートタイプだが、タイプRは4点式シートベルト用ホールを備えた専用のセミバケットタイプ。サイドサポートは背もたれ、座面とも大きく、座面前端の持ち上げも大きいためホールド性は抜群だが、その分だけ乗降性は悪い。ベルトホール周辺のガーニッシュも先代FK2型より縮小されているが依然として切り欠きは大きく、肩まわりの収まりが悪いのがやや難点と言える。
リヤシートも、ハッチバック6MTはCVT車やセダンと同じ、可動式ヘッドレストとシートベルトを中央席にも備えた3人掛け仕様だが、タイプRは軽量化のため中央のヘッドレストとシートベルトが省略され、左右のヘッドレストも固定式とされた2名掛け仕様となっている。
ただしラゲッジルームは両車とも、後席の6:4分割可倒機構と横引きカーゴエリアカバーを標準装備しているため、タイプRでもクラス随一の使い勝手は変わらない。
運転席まわりはハッチバック6MTが黒を基調とした控えめな装いで、タイプRは赤のアクセントが随所に加わり、ステアリングがDカットタイプになっている。いずれも外見に反して室内空間・視界とも広く、車両感覚も掴みやすいが、280万440円のハッチバック6速MTでも価格に対し見た目の質感は高いとは言えない。
特にモータースポーツでの使用も想定されるタイプRさえもこの方式に統一し、サイドターン/ドリフトを封じてしまったのは、まったくもって理解に苦しむ。マイナーチェンジを待たずにレバー式へ変更するか、それに代わる手段を講じることを切に望む。
だがシフトフィールはホンダ車らしく絶品。シフトストローク40mmのタイプRがソリッドかつ軽く、無意味にシフトチェンジしたくなるのは相変わらずだが、ハッチバック6MTも、タイプRよりはストロークが長く手応えも柔らかいが節度感は高い。
また、シングルマスフライホイールを採用するタイプRに対し、ハッチバック6速MTはデュアルマスで振動・騒音が少ないため、MT初心者あるいは長距離長時間のドライブであればハッチバック6速MTの方が操りにくく疲れにくいだろう。
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