NISSAN Leaf e+(イープラス) 日産リーフe+(イープラス):「プラス100kmの安心感」「プラス50kWの加速感」「ほとんど劣化しません」
- 2019/02/25
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世良耕太
リアルワールドでは、EPAの値が最も近い。参考までに記しておくと、満充電状態の試乗車は、482kmの航続可能距離をメーターに表示していた(エアコンはオフ)。別の試乗車でバッテリー残量が86%のときに確認したら、395kmだった(走り方によって数字は変動する)。エアコンをオンにしたら航続可能距離は342kmになった。
それでも300km台である。ちょっと走ると二桁の数字になって「大丈夫かなぁ」と不安になった24kWh時代を知る身としては、隔世の感がある。日産の販売点では、40kWh版に対するe+の魅力を「プラス100kmの安心感」と伝えているという。
e+の特徴は航続距離が伸びたことだけではない。モーターがパワフルになったのだ。40kWh版の最高出力は110kW(150ps)だったが、e+は160KW(218ps)である。試乗に際して日産からは、「40kWh版は50km/hを超えると加速Gが落ちるが、e+は70km/hまで引っ張ってそこから落ちる」との説明があった。
データ上では、80km/hから120km/hの中間加速で、e+は40kWh版に対して13%加速性能がアップしている。実際に走らせてみると、大人しい姿と強烈な加速のギャップに驚きを禁じ得ない。いとも簡単に、派手な動きやノイズをともなわず、シュイーンと加速する。あまりにもさりげなく強烈な加速を披露するので、遠慮することなく何度でも(バッテリー容量はたっぷりあるし)、全開加速を楽しみたくなる。
例えば高速道路の走行車線を走っていて前のクルマに詰まり、70km/hまで車速が落ちたとする。追い越し車線の車列が途切れた瞬間を狙って一気に加速して100km/hまで持っていこうと、アクセルペダルを全開にする。と、その直後、そうなったのがはっきりわかるくらいフロントが浮いて猛然と加速する。ステアリングが軽くなってどこに向かうかわからず不安、なんてことはなく、しっかりしている。
あっという間に100km/hだ。頼もしいし、病みつきになる。エンジンが載ったクルマなら、エンジンサウンド(聞きようによってはノイズ)の高まりをともない、まずは変速機の回転数を上げるのにエネルギーを使って加速に転じるのだが、バッテリーとモーターの組み合わせならそんなことはなく、間髪入れずに加速する。「プラス100kmの安心感」だけでなく、「プラス50kWの加速感」もe+の大きな魅力だ。
厳密にいえば、バッテリーパックの寸法は一部でほんのわずかに大きくなっているが、e+がバッテリーに使うスペースは40kWh版と変わらず、居住スペースを犠牲にしていない。構造を進化させることで無駄容積を減らし、容量を55%増やした。バッテリーセルの数でいえば192セル(96セル×2並列)が288セル(96セル×3並列)になっている。
材料系を進化させて容量を増やす選択肢もあるが、そうはしなかった理由のひとつに、安全性や信頼性が確保できていることが挙げられる。新しい材料を開発した場合は、長時間かけてイチから耐久評価を行なわなければならない。特性を十分に理解した材料ならそこに手間暇をかける必要はない。開発担当者に言わせると、「構造的にはもう限界値」だそうで、現状のスペースで容量を上げるなら、あるいは小さな容積で同程度の容量を確保するなら、次は材料系に手をつける以外に選択肢はなくなりそうだ。
40kWh版と同じ材料を用いることで、40kWh版と同じ「8年16万km」のバッテリー容量保証を行なっているのも、見過ごされがちだが重要な点だ(2015年に30kWh版が登場したタイミングで8年16万kmに拡大)。「ほとんど劣化しません」と開発担当者は胸を張る。「ぜひ、年数が経過した段階で、リーフと他車を乗り比べてください」と。
スケールの小さな体験談で恐縮だが、デジカメの予備バッテリーの購入価格をケチろうと、安さに釣られてサードパーティ製に手を出したことがあった。最初だけと言いたいところだが、最初から純正品とは比較にならず(電池の減りが早く)、結局は無駄使いに終わった。日産にはリーフを発売してからだけでも9年の実績がある。新車時の容量だけを重視しているわけではないことは、覚えておきたい。
Specifications
日産リーフe+ G
全長×全幅×全高:4480×1790×15405mm ホイールベース:2700mm 車両重量:1670kg 定格出力:85kW 最高出力:160kW(218ps)/4600-5800rpm 最大トルク:340Nm/500-4000rpm 駆動用バッテリー総電力量:62kWh 駆動方式:FWD 価格:472万9320円
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