機能向上を果たしたアイサイト・ツーリングアシストの“本当に使える性能” アイサイト・ツーリングシステムの安全性能を解説|スバル・レヴォーグ試乗レビュー
- 2019/07/29
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MotorFan編集部
独自開発したシステムで高度運転支援に先鞭をつけた「アイサイト」が、1999年の実用化以来、度重なる改良を施し、「ツーリングアシスト」としてさらに進化した。安心&快適にロングドライブを愉しめる、さらに高度な制御が与えられたのだ。
REPORT●安藤 眞(ANDO Makoto)
PHOTO●宮門秀行(MIYAKADO Hideyuki)
※本稿は2017年8月発売の「ニューモデル速報 Vol.555 新型レヴォーグのすべて」に掲載されたものを転載したものです。車両の仕様や道路の状況など、現在とは異なっている場合がありますのでご了承ください。
さらに高度な制御が与えられたアイサイト・ツーリングアシスト
アイサイトについては、もう説明する必要はないかもしれない。
2台のカメラを平行に並べたステレオカメラによって前方の状況を認識し、衝突回避軽減ブレーキ機能や先行車追従クルーズコントロール機能を実現。
その効果は絶大で、公益財団法人交通事故総合分析センターのデータに基づくスバルの分析では、アイサイトの有無で、人身事故は約61%、追突事故は約84%の低減効果があったという(母数は30万台弱)。
アイサイトは2008年にレガシィに搭載して発売されて以来、改良が繰り返されており、2014年には撮像素子をカラー化し、カメラの撮影画角もワイド化した“バージョン3”へと進化。レヴォーグには当初から、バージョン3が搭載されている。
今回はそのハードウェアをベースに、より広い速度域で、違和感のない運転支援が可能になる新制御を導入。「アイサイト・ツーリングアシスト」として生まれ変わった。
改良点のひとつ目は、先行車追従クルーズコントロール機能。
これまでは、設定可能車速の上限は100km/hまでだったが、一部高速道路の最高速度アップを想定し、120km/hまで設定できるようになった(いずれもメーター誤差を加味した値まで設定できる)。
さらに、工事区間で片方の白線が消えている場合でも、片側の白線を頼りに操舵アシストが行なわれるようになっている。
改良点のふたつ目は、アクティブレーンキープアシストの作動速度域拡大と、制御ロジックの改良。
アイサイトはバージョン3から、道路の区画線を認識し、車線の中央を走るよう電動パワーステアリングにアシスト力を加える機能を導入しているが、作動する速度は、約60km/h〜100km/hまでだった。
今回はそれを、先行車追従クルーズコントロール機能と同じ0km/h〜120km/hにまで拡大。
制御に使用する情報も、白線に加えて先行車の走行軌跡を導入。渋滞時に先行車に隠れて白線が見えなくなってしまう場合でも、先行車の走行軌跡を目安にすることで、スムーズな操舵アシストができるようになった。
では、実際に試してみよう。用意されたコースは、日本自動車研究所の外周路。
アイサイト・ツーリングアシストの想定フィールドは自動車専用道だが、今回のコースは、道幅もカーブの曲率も、一般道に近い。アイサイトにとっては、かなり厳しい環境である。
ブレーキを踏んでステアリングスイッチを操作し、クルーズコントロールの速度を設定する。停止状態でもセットできるようになったところも、今回の改良点だ。
ブレーキペダルから足を放しても走り出さないのは、スバルのテストドライバーが運転するクルマが前に止まっているから。この状態で、先行車追従クルーズ機能を体感するのが、今回の試乗メニューである。
カーブに差し掛かると、ドライバーがハンドルを切ろうとするタイミングで、絶妙のアシストが入る。操舵には不規則感もなく、切り過ぎや切り足りないということもない。
途中、先行車が車線変更したり、分岐路があったりしたが、迷うことなく走行。先行車がふらつき走行をしても、惑わされることなく車線の真ん中を走り続ける。
先行車が停止すれば、必要な車間距離を保って停止し、停止から3秒以内なら、ペダル操作をすることなく、先行車の発進に合わせて再発進する。これなら高速道路で渋滞しても、ドライバーのストレスは最小限で済みそうだ。
いわば“半自動運転”だが、実際にアイサイト・ツーリングアシストは、国交省やSAE(Society of Automotive Engineers)の定義する自動運転の“レベル2”の基準を満たす。
しかしスバルは、決して「自動」という言葉は使わず、ドライバーの「アシスト」であることを強調する。
スバルは運転を「楽しいもの」と考えており、ドライバーからそれを奪ってしまう完全自動運転(無人運転)は目指さない方針なのだ。
ひとつ注文を付けるとすれば、設定操作が音声認識&音声ガイドでできるようにならないか、ということ。
設定スイッチはステアリングの右スポークに集約されており、操作もよく整理されているのだが、使用頻度が少なく操作を忘れてしまったり、機能が解除された場合、復帰する操作が即座に思い出せなかったりするケースもあるはず。
スイッチを「アイサイト」だけにして、あとは音声認識で設定できるようになれば、もっと使いやすくなるのではないか。
■ 熟成の二眼カメラのハード面には変更なく機能性を向上!
2台のカメラで撮影した映像のズレから、対象物までの距離を計算。先行車のブレーキランプやウインカーの点滅も認識し、ブレーキやステアリングの制御に利用することで、滑らかなアシストを実現。
■ 左右両サイドの白線と先行車それらを個々に認識する
ハンドル制御に使用している情報は、メーターパネル中央のマルチインフォメーションディスプレイに青色で表示される。車間距離が開く60km/h以上では、白線を頼りに走行。車間が詰まる60km/h以下になると、先行車の走行軌跡も制御情報に加える。
■ コンソール上のディスプレイにも作動状況をリアルに表示可能
センターコンソール最上部のマルチファンクションディスプレイにも、アイサイトの作動状況がグラフィックで表示される。助手席や後席からも見えるので、同乗者も作動の様子を確認することができる。
ディスプレイの表示内容を切り替えるスイッチも、助手席から手の届くところに付いている。
■ 先行車追従機能も大幅に機能アップして運転を支援する
先行車の軌跡を制御情報に加えたことで、カーブでのアシストも滑らかさを向上。
高速道路の本線で遭遇するカーブを制限速度内で走っている範囲なら、ほとんど操舵アシストで対応できるが、手放し運転を検知すると、すかさず警報音が鳴る。
1.6L/2.0L直噴ターボとリニアトロニック、4WDを組み合わせたパワートレーン、そしてWRXと兄弟関係にある、鍛えられた基本骨格とサスペンションを備えるレヴォーグ。17年7月に実施されたマイナーチェンジで、全車が標準装備するアイサイトは新たにツーリングアシストが加わり、足まわりやパワーステアリング制御、エンジン特性を最適化するだけでなく、遮音性の向上も実現。エクステリア/インテリアのブラッシュアップも実施するなど、そのきめ細やかな進化の全貌を解説した1冊です。
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