各メーカーが多大な開発リソースを注ぐ最新Cセグメント車それぞれのキャラクターは? トヨタ・カローラスポーツをホンダ・シビック、スバル・インプレッサスポーツ、VWゴルフと徹底比較!「ライバル比較インプレッション」
- 2019/07/15
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岡本 幸一郎
欧州車的な印象が際立つ新型カローラの上質な走り
メカニズム面において、ひと昔前のCセグ車なら、それほど大差はなかったところだが、いまやこの4台にも象徴されるように、各モデルで特色が見られて興味深い。
最新版のトヨタが誇る新世代プラットフォームとパワートレーンが与えられたカローラは、とりわけ動力性能と燃費性能に優れるプリウス譲りのハイブリッドが与えられた点は他社に対する大きなアドバンテージ。そのハイブリッドは、実際にドライブしても低速から実にトルクフルな走りが身上だ。
一方の1.2ℓガソリンもターボ過給らしい十分なトルクを持ち、上までよく回ることが印象的だった。さらに、ガソリンは3ペダルのMTが選べることも特筆できる。
対するライバルの、まずゴルフについて述べると、多彩なラインナップの揃えられた中で、今回の「ハイライン」は比較的ベーシックな上級グレードという位置づけとなっており、1.4ℓガソリン直噴ターボとDCTの組み合わせとなる。
トルコンを持たないDCTはATやCVTほどスムーズでない面があるのは否めないものの、相変わらず歯切れの良いシフトチェンジとダイレクト感のある走りはDCTならではの強みだ。近年の動向としてはDCT離れもやや見受けられるが、フォルクスワーゲンの方針が変わることはなさそうで、新しいモデルに乗るたび前述の課題が時間の経過とともに解消しているように感じられる。
動力性能において印象的なのはシビックの速さだ。今回最強の182㎰を発生する1.5ℓガソリン直噴ターボはわかりやすくパワフル。低回転域では過給が追いつかずリニアさに欠ける面も見受けられるが、踏み込んだときのパンチの効いた加速力は、今回の中では圧倒的だ。動力性能において同等クラスの競合車よりも優位に立つことを是とするあたりは、いかにもホンダらしい。こちらもCVTだけでなくMTも選べる。
インプレッサは今回で唯一となる自然吸気の2.0ℓエンジンを搭載する。ごく普通にドライブするには十分な動力性能を備えているものの、いささか印象が薄いのは否めなかった。感触としては実燃費もあまりよろしくない。あえて今回試乗した上級の「S」系グレードを選ぶユーザーにはなおのこと、パワーフィールにもう少し印象に残る“何か”が欲しいところだ。
そのインプレッサは、いうまでもなくAWDがメインである点も大きな特徴である。生来のスタビリティが高いからこそ、13.0対1というクイックなステアリングギヤ比による、思い切ったシャシーセッティングが可能となる。とりわけトルクベクタリング機構の与えられた「S」系モデルは、より俊敏なハンドリングを実現している。
ハンドリングの切れ味の鋭さでは、「アジャイルハンドリングアシスト」を持つシビックがさらに上回り、スポーティな味付けは随一。足まわりは引き締められているが乗り心地も悪くなく、俊敏かつ安定性が高い。
いかにスポーティなドライブフィールを実現するか、というのは、このクラスのトレンドのひとつとなっているようだ。それに対しゴルフは、良い意味であまり尖ったところがない。いたって滑らかな走り味であり、とりたてて俊敏でもないが、操舵に対する応答遅れもなく、しなやかな足まわりと常に四輪の接地性が高いことによって、気になる部分が出てこないのだ。ステアリングを切っても、インプレッサやシビックほど横Gが急激に立ち上がることがなく、それでいて本来の意味で、まさしく切った通りに曲がる操縦性を身に着けている。
全体としてとても乗りやすく安心感があり、ゴルフが高く評価されている理由がここにある点がうかがえる。日本勢とは異質の何かがゴルフにはあるように感じていたところ、カローラをドライブして目からウロコが落ちた。ゴルフと遜色ないどころか、むしろ上回った面もある、と感じさせるほどのハンドリングの仕上がりだったからだ。
それには進化したTNGAはもとより、トヨタにとっても初となる機能を備えたステアリングやサスペンションが効いていることに違いない。欧州勢ではすでに搭載している車種が多いが、日本車ではまだ少数しかない「戻り制御」を加えたステアリングのパワーアシスト制御は、やはり良いものであることは明白。また、圧力が加わると減衰を高めるという画期的な特性を持つオイルを採用した新開発ショックアブソーバーも、快適な乗り心地と車両挙動の抑制を見事に両立している。このカローラの極めて素直なドライブフィールは、既存の日本車の多くとは一線を画する。良いものを積極的に採り入れる近年のトヨタの開発姿勢が、しっかり成果につながっているようだ。
先進安全運転支援装備についても、いずれも充実しているが、自転車や夜間の歩行者まで検知できるようになるなど性能向上を果たした第二世代のTSSを搭載したカローラが、機能面では一歩先んじたことには違いない。
日本ではまだ5ナンバーサイズの支持派も少なくないわけだが、CセグとBセグでは得られるものがまったく異なり、そこには車両価格の差よりもずっと大きな差があるように思える。近年は徐々にユーザーの意識も変わり、Cセグ車に対するイメージも変わってきているように感じられるが、そこにカローラというビッグネームが復活すると、より親しみが感じられるようになることも期待できる。
しかも今度のカローラは、多くのライバルよりもずっと若々しい。トヨタがぜひ乗ってほしいと考えている若年層から、上級車を乗り継いで、そうしたクルマの価値を熟知している年齢層の高いユーザーまで、多くの人に受け入れられる。そんな高い完成度を身に着けていることが、今回試乗してみて、強く実感できた。
SUBARU IMPREZA SPORT 2.0i-S EyeSight(4WD)
縦置きボクサーエンジン、チェーン式の自社開発CVT、4WDを中心に据えたグレード展開という、スバル独自の道を行くモデル。ステレオカメラによる予防安全装備だけでなく、国産車として初となる歩行者保護エアバッグを全グレードに標準装備するなど、安全面への配慮も見逃せない。
水平対向4気筒DOHC/1995㏄
最高出力:154㎰/6000rpm
最大トルク:20.0㎏m/4000rpm
JC08モード燃費15.8㎞/ℓ
車両本体価格:261万3600円
VOLKSWAGEN GOLF TSI Highline "Tech Edition"(特別仕様車)
1974年の初代デビュー以来、FFハッチバック車のベンチマークとして君臨してきたフォルクスワーゲンの旗艦モデル。七代目となる現行型は17年に大掛かりなマイナーチェンジが実施され、大型液晶ディスプレイによるデジタルメーターを新たに採用するなど、商品力にさらなる磨きを掛けている。
直列4気筒DOHCターボ/1394㏄
最高出力:140㎰/4500-6000rpm
最大トルク:25.5㎏m/1500-3500rpm
JC08モード燃費18.1㎞/ℓ
車両本体価格:349万9000円
モーターファン別冊・ニューモデル速報 Vol.570 トヨタカローラスポーツのすべて
磨き込まれた足まわりとシャープなスタイリングで魅了
コネクティッド第一弾!
ドライビングインプレッション
ライバル車比較試乗
開発ストーリー
メカニズム詳密解説
デザインインタビュー
使い勝手徹底チェック
バイヤーズガイド
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