ボルボV60クロスカントリーで真冬の北海道をひた走る! ドリフトの真似事なども……【雪上インプレッション】Dセグメント・クロスオーバーSUV試乗記
- 2020/02/22
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MotorFan編集部 小泉 建治
最近のボルボのスポーティなイメージは、ESCの制御にも表れていた!
一般道での試乗を終え、今度はクローズドの特設コースを走る。
まずは30度はあろうかというバンクを走り、同じく30度から35度ほどの急坂を下りる。
写真をごらんいただければわかるとおり、徒歩でもまともに進めないような傾斜だが、V60クロスカントリーはあっけなくクリアする。うっすら見える筆者の緊張感に欠けた表情からも、その容易さがご想像いただけるはずだ。
雪道性能からは話がずれるが、急坂を下りる瞬間にまったく車体の腹を擦らなかったことに感心した。なにしろ坂に差し掛かる直前は路面がまったく見えず、特設コースでなければ絶対に進もうとは思わないほど急激に下り坂が始まるのである。前述の210mmの最低地上高と18.4度のランプアングルが活きた結果だ。
自動車メーカーの開発テストコースにあるような、左右交互に凹凸が設けられたモーグルコースもなにごともなかったかのようにクリア。運転している本人にとしては、まったくたいしたことをやっている感覚がなかったのだが、あとで写真を見てみると、気持ちいいほどにサスペンションが伸び縮みして車体をフラットに保っていることに感心させられた。
続いて、フラットなスペースで定常円旋回や全開加速からの急制動などを体験する。
ドライブモードを「コンフォート」から「ダイナミック」へ、ESCを通常モードから「ESCスポーツ」へ切り替える。普段だったら雪道では絶対にやらないが、ここはクローズドのテストコースなので……。
というわけでスウェディッシュラリーを頭に思い浮かべながらドリフトの真似事のようなことをやってみたのだが、ESCを完全オフにはできないにもかかわらずかなりのドリフトアングルを許容してくれる。上級者であれば綺麗なドリフトを維持することも可能らしい。
ボルボのイメージからして、これは意外だった。ちょっとしたスリップでもすぐに制御が入り、ヤンチャなお遊びは許してくれないような気がしていたからだ。
当然、ちゃんと制御はしてくれている。「ドリフトアングルを許容……」などとカッコつけて書いたが、もしもESCが完全にオフされていたらクルンッとスピンしていたはずだし、ヘタをすれば2〜3回転くらいして雪壁に激突していたかもしれない。
モダンでスポーティな最近のボルボのキャラクターは、ESCの制御にまで見て取れるのだ。
もちろん、通常モードであればちょっとでもスピンやスリップの兆候が出た瞬間に制御が入り、車両の姿勢を乱すことはないのでご安心を。
一方でボルボらしいと感じたのは、緊急時にシートベルトを締め上げるテンショナーの働きっぷりだ。
ドリフト状態に入ると緊急事態と判断してテンショナーが作動するのだが、最初は弛みを取る程度で、とくに驚くこともない。しかしそれでもドリフト状態を続けると、どんどん締め上げる強さが増し、最強状態になると、もう本当に痛い! そんなに締め上げなくても大丈夫だろって思うほど痛い。容赦ない。高校大学とアメフト部に所属し、柔道部の寒稽古にも参加していた───つまりボディコンタクトや絞め技には一定の耐性のある筆者がそう思うのだから、華奢な女性ではアザができるかもしれない。まぁ、ガラスを突き破って大怪我を負うよりもアザですんだほうが百万倍マシだ。V60クンありがとう。
もうひとつ感心させられたのが、エマージェンシーブレーキの存在だ。
これは電子制御式サイドブレーキのスイッチを引き上げ続けると、ABSを介入させながら素早く車両を止めてくれるもの。ドライバーに体調の異変などが起きた場合、助手席のパッセンジャーがクルマを停止させることができるのだ。作動中にドライバーが一定の強さでアクセルを踏み続ければ「運転できる状態に戻った」と判断されて解除される。
昔ながらの機械式サイドブレーキであれば、いざというときに助手席の人間が引くことができたが、最近の電子制御式サイドブレーキでもそれを可能としたのはボルボらしい。しかもABSを介入させながらの作動なので、雪道でも驚くほど短い距離で完全停止させることができた。
言うまでもなく雪道での運転にはリスクが伴う。長きに渡って安全性に注力し続け、なおかつ北欧生まれのボルボは、やはりこの分野において一日の長がある。ハードの優劣だけではなく、ドライバーが何を望んでいるか、そしてどうすれば安心して運転してもらえるのか、といったソフトの部分も含めての話である。
■ボルボ V60クロスカントリー T5 AWD Pro
全長×全幅×全高:4785×1895×1505mm
ホイールベース:2875mm
車両重量:1810kg
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボチャージャー
総排気量:1968cc
ボア×ストローク:82.0×93.2mm
圧縮比:10.8
最高出力:187kW(254ps)/5500rpm
最大トルク:350Nm/1500-4800rpm
トランスミッション:8速AT
サスペンション形式:ⒻダブルウィッシュボーンⓇインテグラルアクスル
ブレーキ:ⒻベンチレーテッドディスクⓇディスク
タイヤサイズ:ⒻⓇ235/45R19
ホイールサイズ:ⒻⓇ8.0J×19
駆動方式(エンジン・駆動輪):F・AWD
ハンドル位置:右
乗車定員:5名
最小回転半径:5.7m
JC08モード燃費:11.6km/L
車両価格:664万円
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