『SKYACTIV-Xはどう進化させる?』マツダCX-30開発主査に訊く「CX-30のX比率は現在国内では約5%、欧州では40-50%です」(後編)
- 2020/08/09
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MotorFan編集部 鈴木慎一
M F:完全に新規開発で、本当に革新的なSPCCIエンジンであるSKYACTIV-Xが高価なのはわかります。24VのM HYBRIDもスーパーチャージャーもついている。だとしたら、ラインアップの頂点にSKYACTIV-D2.2を置いて、SKYACTIV-G2.0>SKYACTIV-D1.8>SKYACTIV-X>D2.2という序列にするっていうアイデアはどうですか? D2.2はターボ2基で450Nm。わかりやすく「スゴイ」ですから。「GTD」みたいな位置づけで。
佐賀:(笑)アイデア、承っておきます。D2.2については、CX-30にはちょっと過剰なんじゃないかと思っています。エンジンコンパートメントのスペースやパッケージングがなかなか搭載するのは難しいんです。CX-30のコンセプトを考えてのことです。
M F:よくわかります。わかったうえで勝手なことを申し上げているのですが……(笑)。D1.8搭載のCX-30は燃費も走りもすごくいい。でも、たとえば大人3名+荷物を積んだときに圧倒的な余裕があるわけじゃない。頂点にD2.2があれば、売れる数はあまり多くはないかもしれませんが、Xが「D2.2とD1.8の間」ってことになって、わかりやすくなると思ったんです。
M F:さて、SKYACTIV-Xです。圧縮着火燃焼を火花点火で制御するという革新的なSPCCI 燃焼を実現したエンジンを世に出した。革新的ゆえに不具合も出ているのではないかと推測しているのですが、いかがですか?
佐賀:いいえ。不具合はほとんど出ていません。SKYACTIV-Xには、これまでのエンジンより多くのセンサーを付けていて、そこからのデータがかなり集まっていますコネクテッド技術で繋がっていますから、膨大なデータを収集できています。それを分析していますが、不具合はほとんどないですね。
M F:逆に言えば、まだかなり安全マージンをとっているってことでしょうか。SKYACTIV-Xのポテンシャルはまだまだあると思うのですが、今後はどうしていくお考えですか?
佐賀:方向性はふたつあると思っています。ひとつは、新世代エンジンとしてこれをマツダのスタンダードエンジンにしていくという考え方です。もうひとつは、もっとパワーとトルク、気持ちよさを追求したハイパフォーマンスな方向です。Xにはエアサプライとしてスーパーチャージャーが付いています。いまは送風機として使っていますが、スーパーチャージャーですから過給もできるわけです。
M F:レスポンスが自然吸気エンジンみたいで過給エンジンのトルク感があるSKYACTIV-Xなら、わかりやすいですね。今日は、SKYACTIV-Xがわかりづらい! という話ばかりしてしまいました……。
佐賀:たとえば、SKYACTIV-Xの『気持ちよさ』は、ある程度運転の技術をお持ちでクルマをコントロールできる方はわかりやすいんだけど、結局そのいわゆる解釈する分解能っていうとちょっと話が難しくなっちゃいますが、そういうところが正直解釈しにくいのであれば、それを解釈しやすいようにしてあげる。たとえば、それはサウンドかもしれないし、メーターの針の上がり方、そういった演出のところもある。もしかしたらトルクとかパワーの出し方とかね。そういったところにもあるのかもしれないです。そのあたりは当然いまもいろいろと考えています。今後うまく開発を進めて、かつ、どうにか、いま乗っていただいているお客さまにもなにか還元できないかなって考えています。
M F:いまSKYACTIV-Xに乗っているかたにも、ですか。それ、興味ありますね。
佐賀:あぁ! これ以上は言えません! ついついしゃべりすぎてしまいそうになる(笑)。SKYACTIV-Xは新技術なので、じつはデビューしたあともいろんな技術的な知見がたまっています。毎月いろんな技術報告を受けているなかで、マイナーチェンジとかこのあとどうするかを議論をしているので、ぜひ楽しみにしていてください。
M F:ありがとうございました。
インタビューを終えて
MAZDA3、CX-30から始まった新世代商品群は、SKYACTIV-Xエンジンだけでなく、さまざまな領域で、大きな進化が見られる。乗り心地、ハンドリング、燃費性能、NVH、オーディオの音質などそれは本当に多岐にわたっている。技術の進化を商品に展開していくスピードはマツダならではと言っていい。ただし、それがやや「技術オリエンテッド」に傾きすぎている(個人的には大歓迎なのだが)きらいもある。佐賀さんのお話を伺って、マツダ自身もそれに気づいていることがわかった。商品の魅力を、的確にわかりやすく伝えることは、技術開発とおなじくらい重要だ。佐賀さんがCX-30を今後どう育てていくのか、楽しみになった。
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