ホンダ・フリードハイブリッドモデューロX | より雑味が少ない盤石の走りへ進化。だがワインディングではベース車と同じi-DCDの恩恵と弊害が明確に露見する ホンダ・フリードハイブリッドモデューロX 新旧比較試乗インプレ…変更箇所は少ないが効果は絶大なマイナーチェンジ。開発者の飽くなき“完璧”への執念すら感じる
- 2020/09/16
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遠藤正賢
そして、最も肝心な走りは、どのように進化したのか。ベース車と同様に「違う仕様もテストしたが、空力の進化を加味してもサスペンションとホイールはそのままがベストだった」(関係者)とのことで、マイナーチェンジ後もこの2つは従来より変更されていない。
だがその分、フロントエアロバンパーとグリルが大きく変わっている。マイナーチェンジ前は「X」の字をグロスブラックの加飾と開口部で表現していたが、マイナーチェンジ後はベース車のデザインコンセプトがシンプルな方向に180度転換されたのに伴い、ボディ色で「X」の字を象るデザインに変更されている。しかしながら、そのためにかえってデザイン要素が増え、より一層濃い顔つきになったのはいかがなものか。…大多数の購入ユーザーは真逆の印象を受けるのだろうが。
下面は劇的に変更されており、マイナーチェンジ前はバンパー下部中央に設けられた「エアロガイドフィン」で空気の流れを真っ直ぐに整え、ゴム製の整流板でホイールハウス内の内圧を低減していたが、マイナーチェンジ後はバンパー下部中央に設けられた2つの大きな凹凸の「エアロスロープ」と、両サイド各7本の小さなフィン「エアロボトムフィン」に変更された。
なお、専用形状のサイドロアスカート、ディーラーオプションと同一形状のテールゲートスポイラーは従来と変わらず、ディフューザー形状となっている専用リアロアスカートはボディ同色のサイド部のみが見直されている。
これら空力の進化は大きく、マイナーチェンジ前の車両に見られた直進安定性の心許なさは、最早全く感じられない。そのうえ旋回時も、ヨーの立ち上がりは素早く、ロールは入り・戻りとも穏やかかつリニアになっており、すべての挙動から雑味が減りスッキリした印象を受けた。
こうした違いは、箱根のワインディングに持ち込むと、絶大な安心感をドライバーのみならず同乗者にももたらしてくれる。ブレーキング時には挙動が乱れにくく、かつ旋回時には路面のRやバンク角に沿って、ドライバーの意思を先読みするかのように自然に曲がっていく。
しかも、コーナーへの進入速度がやや高すぎたり、コーナーの奥がタイトで旋回中にブレーキを踏まざるを得なくなったりしても、あるいは大きなギャップを乗り越えても、リヤタイヤがブレイクする予兆すら感じさせないのだ。
ハイブリッド車はガソリン車に対し60kg重くなっているが、160Nmを発するモーターのトルクはその車重増を補って余りあるほどで、発進加速や高速道路の合流加速、ワインディングの上り坂をほどほどのペースで走る際には、極めてスムーズに1430kgの背高ボディを引っ張ってくれる。
だが、7速DCTは低いギヤでギクシャクしやすく、モーターの滑らかさを台無しにしてしまうのが玉に瑕。また、上りのワインディングを速いペースで走り続けると、比較的短時間でバッテリー残量計が残り1目盛りにまで落ち込み、エンジントルクの大半が充電に回されるため、速度を維持するのが精一杯になってしまう。
しかもその落差が激しいため、ワインディングを気持ち良く走り続けたいなら、燃費に目をつぶってでもガソリン車を選んだ方が良さそうだ。なお今回の燃費は、外気温35℃という猛暑にも関わらず、高速道路で19.5km/L、ワインディングで12.7km/L、トータル約400km走行後は17.7km/Lだった。
また、他社ではLTA(レーントレースアシスト)に相当するLKAS(レーンキープアシスト)は、操舵アシストの精度が粗く左右にフラフラしがちで、最新のホンダ車に対し大きく見劣りする。いずれも同乗者がいる際は車酔い、いなくとも周囲の車両との事故を誘発しかねず、早々にスイッチをオフにした。
このように、フリードモデューロXが今回のマイナーチェンジで受けた変更点は、決して多いとは言えない。だが、それらの効果は極めて大きく、ドライバーがより運転に集中でき、極上の乗り心地とハンドリングを楽しめるよう進化している。
ホンダアクセスはメーカー直系の会社だからこそ、サードパーティーよりもむしろチューニング上の制約は多いことだろう。だがその制約の中で、より“完璧”に近いものを作り上げようという、開発者の飽くなき執念すら感じさせる仕上がりを見せてくれた。
■ホンダ・フリードハイブリッドモデューロXホンダセンシング(キャプテンシート仕様)
全長×全幅×全高:4290×1695×1710mm
ホイールベース:2740mm
車両重量:1430kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC
総排気量:1496cc
エンジン最高出力:81kW(110ps)/6000rpm
エンジン最大トルク:134Nm/5000rpm
モーター最高出力:22kW(29.5ps)/1313-2000rpm
モーター最大トルク:160Nm/0-1313rpm
トランスミッション:7速DCT
サスペンション形式 前/後:マクファーソンストラット/トーションビーム
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:185/65R15 88S
乗車定員:6名
WLTCモード燃費:───km/L
市街地モード燃費:───km/L
郊外モード燃費:───km/L
高速道路モード燃費:───km/L
車両価格:325万6000円
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