日産スカイラインGT-R(R34)1992-2002 最後の反骨精神 【週刊モーターファン・アーカイブ】
- 2020/11/05
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MotorFan編集部
第2回日本グランプリ(1964)でトップを走るポルシェ904を一度とはいえパスして1番手を走って以来、セダンでもスポーツカーを凌ぐ性能を得られる という夢を実現してきたのがスカイラインGT、そしてGT-R。現在では日産GT-Rという専用ボディとなったため、セダンボディをリファインしての登場はなくなってしまった。ファンならずとも、面白くもあり、ちょっと面白くもない話でもある。
週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。
レポート=工藤貴宏(90年代国産車のすべて より 2011年刊)
GT-Rを初代(ケンメリ)とハコスカを第1世代、R32からR34を第2世代、そしてR35は第3世代と分類することがある。しかし、GT-Rの定義を「セダン派生たるスカイラインに、高出力エンジンを詰め込んだ超高性能仕様」とするならば、このR34型スカイラインGT-Rは最後のGT-Rとなるだろう。
R34GT-Rは、デビューした当初から最強だった。先々代のR32から使われてきたRB26DETTエンジンと4WDシステムのアテーサE-TSは熟成が進んでネガティブな要素はすっかり払拭されており、エンジンは出力こそ280psのままだったが最大トルクが40.0kgmまで引き上げられて加速性能はさらに向上。それを先代R33よりも小さなボディに詰め込んでいたのだから、とびきりの速さだった。
R34GT-Rを印象付けるもうひとつの特徴は空力への挑戦だ。高性能仕様の「Vスペック」は車体の裏側にカーボン製のカウル&ディフューザーを装備する。先端と後端を覆ってボディ下面に流れる空気を整え、ダウンフォースを生むことが狙い。旋回性能や動力性能だけではなく超高速域の安定性までしっかりと踏み込んだことが、それまでのGT-Rに対するR34の進化である。
R32で幕を開けた第2世代GT-Rのスタートは第1世代同様にレースを前提としたものだった。R32ではグループAというカテゴリーが中心だったこともあり、レーシングカー市販車のスタイルとメカニズムが見事にオーバーラップしていた。しかし、R34の時代になるとレースカテゴリーが改造範囲の広いスーパーGTに発展していたことで、競技車両との結びつきはうすいものになった。
そんなR34GT-Rであるが、今でもその存在感は決して低くない。それは、熟成が進んで完成度が高かったこともあるが、セダン系ボディをモディファイして走りに特化させるという独特な開発が、洗練とはまた違うカタチを生んでいることもあるだろう。しかし、「スカイラインの名の付く最後のGT-R」という歴史上の理由も、R34GT-Rを印象付ける非常に大きな事柄ではないだろうか。
R34GT-Rは1万1344台を市場に送り出し、2002年8月までに生産が終了した。そして、5年のブランクを経て2007年末にR35 GT-Rにバトンタッチしたのはご存知の通りだ。
しかし、スカイラインのボディに強靭な直6エンジンを搭載するというスカイラインGT-Rの血統は、R35には受け継がれていない。R35が目指したステージは世界である。
そう、GT-Rが日本向けのモデルとしてスカイラインをベースとした”メーカー純正チューニングカー”だった時代は、R34で終わってしまった。日本を見て伝統を守り通したR34は、最後のサムライGT-Rといえるのかもしれない。
SPECIFICATION GT-R(GT-RV.スベック)
[発表] 1999年1月
[価格] 499.8万円(599.8万円Vスペック)
[寸法・重量・性能]
全長×全幅×全高:4600×1785×1360mm
ホイールベース:2665mm
トレッドF/R:1480/1490mm
車両重量:1760(1780)
10モード燃費:8.1km/ ℓ
[エンジン]
型式:RB26DETT
種類:直列6気筒DOHCツインターボ
ボア×ストローク:86.0×73.7mm
排気量:2568cc
圧縮比:8.5
最高出力:280ps/6800rpm
最大トルク:40.0kgm/ 4400rpm
燃料噴射装置:ECCS
燃料タンク容量:65ℓ
[走行伝違装置]
駆動:4輪・電子制御トルクスプリット式
サスペンションF:マルチリンク式
サスペンションR:マルチリンク式
ブレーキF:ベンチレーテッド・ディスク
ブレーキR:ペンチレーテッド・ディスク
タイヤF/R:245/40ZR18
R33GT-Rは1995年登場
アテーサE-TSを採用した新生スカイライン。GT-Rは89年登場のR32に始まり 、 その6年後に登場したのがR33モデル。GT-R以外あまり評判のよくなかったR32からの人気挽回を狙う。当時大型化の進むセダン市場のなかでこのR33も3ナンバー化された。それを受けGT-Rも全幅1780mm、全長4675mmとなった。ホイールベースはセダン&クーペで変わらない2720mmを継承。GT-Rも必然的にちょっとファットになった。
モーターファン別冊 その他のシリーズ 90年代国産車のすべて
■10~20年前のクルマに感動しよう!
80年代という時代は、非常に興味深いクルマがふんだんに登場し日本の自動車史に名を残すモデルが目白押しでした。そこには80年代後半にむけて興ったバブル経済の影響も少なからずありました。逆に90年代はバブル経済の崩壊が代表的なキーワードとなることもあり、あまり良い印象がありません。同様にその当時のクルマもそれほどインパクトがあった記憶がないのです。しかし、情熱だけで押してきた80年代に対して、90年代は80年代に並行して行われていた技術開発が開花した時代でもあったのです。実は「クルマはこうあったらいいな」という思いが結実したのが90年代だったのです。そして興味深いのが、これらのクルマの多くは現在でも中古車市場で販売されている点です。程度は保証の限りであはりませんが、興味を持てたら自分のクルマにしてみるのも面白いかもしれません。
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