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トヨタ2000GT(1967)日本を世界に知らしめたスーパーカー【週刊モーターファン ・アーカイブ】

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正面に立つと、その圧倒的な低さに驚く。フェンダーまわりのふくよかさ、大きく回り込むフロントウィンドウとそれに沿うワイパーの造形など、どこを見ても飽きない。

トヨタのイメージリーダーカーとして登場したトヨタ2000GT。
直列6気筒2ℓのDOHCエンジン、流麗な外観など、工芸品的なクルマであった。

週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

解説●渡辺 陽一郎(60年代国産車のすべて より 2012年刊)

センター出しのマフラーと、必要最小限のバンパーが特徴。抑揚ある面構成と僅かなキャラクターを司るエッジのコンビネーションが美しい。

 日本の名車として、不動の地位を獲得したのがトヨタ2000GTだ。65年に東京モーターショーで披露。その後67年に発売されたが、その前のイメージアップ戦略も入念だった。66年に自動車試験場で高速耐久トライアルを実施。複数の国際新記録を樹立している。グランプリレースにも参戦した。

 最も注目すべきは、それまでのスポーツカーとは一線を画すボディスタイルだろう。ロングノーズのデザインを採用し、ホイールを収めるフェンダーは大きく盛り上がる。全長は4175mm、全幅は1600mmのボディは意外に小さいが、全高を1160mmに抑えて実にカッコイイ。

シャシーの特徴であるX型バックボーンフレームと、2000GT。この写真は1967年7月70日に、モーターファンの透視図製作用に撮られたもの。

 筆者が幼い頃、自宅近所の体育館でトヨタ車の合同展示会が開備された。そこで出会ったのがトヨタ2000GT。ボンネットの前端にある切れ込みが気になった。「これは何?」と説明員に尋ねると、車内に手を入れてスイッチを操作。大きなヘッドランプが持ち上がった。ボディの前端に固定されるのはフォグランプで、ヘッドランプは電動で昇降するリトラクタブル式になる。

 ボディ側面の前輪とドアの間にも切れ込みがあり、この部分の右側を開くとバッテリー、左側にはエアクリーナーが収まる。前後重量配分の均衡化と、低重心化を図っていた。

 エンジンは直列6気筒の2ℓDOHC。三国製ソレックスキャプレターを3連装して、最高出力は150ps(6600rpm)、最大トルクは18kgm(5000rpm)を発揮する。

 ベースとなったエンジンはクラウンに搭載されていたシングルカムのM型。これを当時モーターサイクルで頭角を現わしていたヤマハ発動機がチューニングして、クラウンのシングルキャブレター仕様に比べると最高出力を45ps、最大トルクを2kgm向上させている。トランスミッションは5速MTのほかに、3速ATのトヨグライドも設定。このあたりも進歩的だった。

モーターファン誌のテスト風景。すべての能力において、想像以上のポテンシャルを見せつけた。
センタークラスター上部に5連メーターを装備。その下側には、時計とストップウォッチが配臨される。
ヤマハチューンによる直列6気筒DOHCエンジン。モーターファンのテストでは、0-400加速を15.9秒でこなす。

 シャシーは上から見るとフレームをX型に組んだ骨格を持ち、サスペンションはダブルウイッシュボーン式の4輪独立懸架。ホイールは軽量なマグネシウム製だ。内装では本物のウッドを使うインパネやステアリングホイールが目を引く。

 東京地区の店頭売り渡し価格は238万円。同じ67年に一新されたクラウンのスーパーDXが2台買える価格で、あらゆる部分を高級に仕上げた本格スポーツカーであった。

1967年。発表の年に一部開通した西湘バイパスにて。フェアレディ、コスモスポーツとのライバル比較。周囲のクルマと違和感があるほどに先進的なクルマたちだ。

第13回東京モーターショー(1966)会場でボンドカー発見!

映画007シリーズ「007は二度死ぬ」で、ボ ンドカ ーとして用いられた2000GTのオープンモデル。ちなみに2000GTの発表は67年5月26日で、映画の封切りは67年6月7日というからプロモーションとしても完璧。米英もほぼ同時封切りだったので、見知らぬ日本車を007の映画のなかで知ることになった。

SPECIFICATIONS(2000GT 1967)

〈寸法重量〉
全長×全幅×全高:4175×1600×1160mm
ホイールベース:2330mm
トレッド前/後:1300/1300mm
車両重量:1120kg
乗車定員:2人
〈エンジン〉
M型 直列6気筒DOHC
ボア×ストローク:75.0×75.0mm
総排気量:1998
圧縮比:8.4
最高出力:150ps/6600rpm
最大トルク:18.0kgm/5000rpm
燃料供給装置:ソレックス型3連
〈トランスミッション〉
5MT
〈駆動方式〉
RWD
〈ステアリング型式〉
ラック&ピニオン式
〈サスペンション〉
前・ダブルウイッシュボーン式、後・ダブルウイッシュホーン式
〈ブレーキ〉
前・ティスク、後・ティスク
〈タイヤサイズ〉
165HR15
〈最高速度〉
220km/h
〈価格・当時〉
238.0万円

モーターファン別冊 その他のシリーズ 60年代国産車のすべて

「00年代国産車のすべて」「90年代国産車のすべて」「80年代国産車のすべて」「70年代国産車のすべて」と10年刻みで製作してきた雑誌ですが、こちらは60年代版。60年代とは日本車がオリジナルに目覚めた時代といってもいいでしょう。トヨタ2000GTを頂点として、いすゞ117クーペや日産スカイラインGT-R、日野コンテッサ、日産ブルーバード410,510そして2代目、3代目コロナと、様々な名が生まれたのも60年代です。これらのクルマを60年代のモーターファン誌の写真と記事をベースとして紹介しています。知らなかった事実に出会えるかもしれません。

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